上の子が中学に上がるとき、説明会で「英語の授業は英語で進めます」と言われました。
小学校の英語は歌とゲームが中心だったので、急にそう言われて心配になりました。
それは学校の方針なのか、国が決めていることなのかが、私には分かりませんでした。
そこで、中学校学習指導要領(平成29年告示)の本文と、文部科学省の令和7年度「英語教育実施状況調査」の概要を開いて読み直しました。
この記事に書いてあるのは、その2つに書いてあったことと、書いていなかったことだけです。
中学の英語の授業は「英語で行うことを基本とする」と告示に書いてある
これは学校が独自に決めていることではありませんでした。
中学校学習指導要領の外国語の章に、この一文がそのまま書かれています。
本文はこうです。
「生徒が英語に触れる機会を充実するとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、授業は英語で行うことを基本とする」と書かれています。
置かれている場所は、指導計画の作成と内容の取扱いの中です。
つまり、授業の進め方についての決まりごととして書かれています。
この一文を、私は本文の中で1件だけ見つけました。
中学の英語の授業で、日本語を使ってはいけないとは書かれていない
ここがいちばん誤解されやすいところだと思いました。
告示の言葉は「英語で行う」ではなく「英語で行うことを基本とする」です。
さらに、その直後に条件が続きます。
「その際、生徒の理解の程度に応じた英語を用いるようにすること」と書かれています。
同じ趣旨の規定は高等学校の学習指導要領にもあり、文部科学省の調査資料には解説からの抜粋が並べて載っていました。
「『授業は英語で行うことを基本とする』のポイントは、(略)『英語に触れる機会』と『実際のコミュニケーションの場面』であり、そうした趣旨の授業展開であれば、必要に応じて補助的に日本語を用いることも考えられる」という抜粋です。
日本語の使用そのものを禁じる書き方にはなっていません。
中学の英語の授業について、告示が続けて書いている工夫
解説の側には、教師がやる工夫も具体的に書かれています。
「発話の速度や明瞭さを調整する、使う語句や文などをより平易なものに言い換える、繰り返したり具体の例を提示したりするなどの工夫が必要である」という記述です。
速さを落とす、言い換える、繰り返す、例を出す、という4つが並んでいます。
告示の本文にも、指導上の配慮が前後に置かれていました。
「小学校第3学年から第6学年までに扱った簡単な語句や基本的な表現などの学習内容を繰り返し指導し定着を図ること」と書かれています。
小学校でやったことを、中学でもう一度やり直す前提が条文に書かれている、ということです。
中学の英語の授業で実際に英語がどれだけ使われているかの数字
では、現場ではどのくらい英語が使われているのか。
文部科学省は毎年「英語教育実施状況調査」でこれを測っています。
令和7年度の概要を読むと、教師の英語使用の割合として数字が載っているのは高等学校でした。
中学校については、資料の注記にこう書かれています。
「中学校は、令和5年度調査の結果のため括弧で表記」と書かれています。
つまり、いま公表されている中学校の教師の英語使用の数字は、令和5年度のものです。
令和7年度の新しい数字は、この概要からは読み取れませんでした。
調査の対象は公立中学校で、回答学校数は9,101校と書かれています。
この調査は、一部を変更しながら平成25年度から続けられていると注記されています。
令和2年度だけは、新型コロナウイルスの影響により中止されたと書かれています。
令和7年度からは、特別支援学級と特別支援学校中学部・高等部も調査の対象に加えられました。
数字を年度どうしで比べるときは、対象の範囲が広がっていることも合わせて見る必要があります。
中学の英語の授業と高校の授業を、同じ質問で並べた
高等学校のほうは、令和7年度の数字が本文に書かれています。
| 区分 | 教師が発話の半分以上を英語で行っている割合 |
|---|---|
| 高等学校の全体 | 36.9% |
| 英語教育を主とする学科及び国際関係に関する学科 | 74.4% |
高校でも、発話の半分以上が英語という学校は全体の4割に届いていません。
資料には「科目に関わらず、自治体間の差が見られる」とも書かれています。
「英語で授業をする」の中身は、学校と地域でかなり違う、と読むのが実態に近そうです。
もう1つ、調査には関係の強さを示す数字も載っていました。
生徒の英語による言語活動と教師の英語使用の相関係数は、高等学校が0.59、中学校が0.90と書かれています。
中学の英語の授業で、ネイティブ・スピーカーについて書かれていること
告示には、教える側の体制についても1行あります。
「指導計画の作成や授業の実施に当たっては、ネイティブ・スピーカーや英語が堪能な地域人材などの協力を得る等、指導体制の充実を図るとともに、指導方法の工夫を行うこと」と書かれています。
ここで並んでいるのは「ネイティブ・スピーカー」と「英語が堪能な地域人材」の2つです。
告示の書き方は「協力を得る等」なので、必ず配置しなさいという義務にはなっていません。
この語は、本文の中で3件見つかりました。
中学の英語の授業と小学校の授業は、条文の書き方が違う
同じことが小学校にも書いてあるのかを確かめました。
「授業は英語で行うことを基本とする」という一文は、主語が「生徒」になっています。
小学校の告示では、学ぶ子どものことを「児童」と書きます。
この一文の前後にも「小学校第3学年から第6学年までに扱った」という表現があり、中学校側の記述であることが分かります。
小学校の外国語と外国語活動の章には、同じ規定を見つけられませんでした。
小学校で英語だけの授業をしていなくても、それは制度上おかしなことではない、と読めます。
中学の英語の授業で扱う語は、小学校の語に1600〜1800語を足した数
授業が英語で進むかどうかの前に、扱う量そのものが変わります。
中学校の告示には「小学校で学習した語に 1600 〜 1800 語程度の新語を加えた語」と書かれています。
小学校の告示のほうは「600 〜 700 語程度の語」です。
| 校種 | 告示に書かれている語数 |
|---|---|
| 小学校(小5・小6の外国語) | 外国語活動で取り扱った語を含む600〜700語程度 |
| 中学校 | 小学校で学習した語に1600〜1800語程度の新語を加えた語 |
3年間で、小学校の2年間の3倍近い数の新しい語が足されます。
告示は「新語を加えた語」と書いているので、小学校の分が消えるわけではありません。
英語で進む授業がつらくなるとしたら、話す言語だけでなく、この語数の段差も同時に効いています。
中学の英語の授業について、この記事で分からなかったこと
2つの資料を読んでも分からなかったことが3つあります。
- わが子の中学校で英語がどれだけ使われているか(調査は学校単位や都道府県単位の集計で、学校名は出ていません)
- 中学校の令和7年度の教師の英語使用の割合(概要では令和5年度の結果が括弧で示されています)
- 「基本とする」がどこまでを許すのか(解説は補助的な日本語に触れていますが、割合の線は引かれていません)
この3つは開いた資料に書かれていなかったので、分からないと書いておきます。
調査の実施基準日は、特に指定がない場合は令和8年2月1日と書かれています。
中学の英語の授業について、今日わが家で確かめられること
ここまでで分かったことを、聞き方に置き換えます。
- 「授業で日本語は使いますか」=告示は「基本とする」と書き、解説は補助的な日本語に触れている
- 「小学校でやった表現をもう一度やりますか」=告示に「繰り返し指導し定着を図ること」と書かれている
- 「英語を話す人が授業に入りますか」=告示はネイティブ・スピーカーや地域人材の協力を「得る等」と書いている
どれも、告示と調査資料に出てくる言葉をそのまま使って聞ける形にしました。
本文を取得して読んだ日は2026年9月17日です。
調査は毎年更新されるので、最新の数字は文部科学省のページでご確認ください。
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