朝ごはんの支度をしながら、英語のCDを流す。
車で保育園に向かう10分だけ、英語の歌にする。
やっていること自体は続いているのに、「これ、意味あるのかな」と思う日が来ます。
私は、そのもやもやを自分の感覚で決めたくなかったので、学習指導要領とWHOと英検の公式ページを開いて読み直しました。
この記事に書いてあるのは、そこに書いてあったことと、書いていなかったことだけです。
英語のかけ流しの効果は「聞くことに慣れる」までなら説明がつく
先に結論を書きます。
英語のかけ流しについて、公的な資料に「かけ流しをすればこうなる」と書かれた記述は見つかりませんでした。
見つからなかったことは、そのまま書きます。
ただ、日本の学校が小学校3・4年生の英語で何をねらいにしているかは、はっきり書かれていました。
文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)によると、3・4年の外国語活動は「聞くこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」の3つの領域だけで構成されています。
読むことと書くことは、5年生から加わります。
つまり最初の2年間は、耳と口だけということです。
家でやっているかけ流しは、この「耳」の部分と重なります。
そこまでは、親が自信を持って言っていいところだと思いました。
言えないのは、その先です。
英語のかけ流しの効果を語る前に、学校の目標を数字で見ておく
かけ流しの効果を判断するとき、比べる相手がないと「多いのか少ないのか」が分かりません。
なので、まず学校の英語がどれくらいの量なのかを、告示の別表から拾いました。
| 学年 | 教科等 | 年間の授業時数 | 1単位時間 |
|---|---|---|---|
| 小1・小2 | 外国語の欄なし | — | 45分 |
| 小3・小4 | 外国語活動 | 35 | 45分 |
| 小5・小6 | 外国語 | 70 | 45分 |
出典=文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)(別表第一)
35単位時間を年間35週で割ると、週1コマです。
45分が週に1回、と書くと、思っていたより少なく感じませんか。
私は、ここを見てから家の時間の見方が変わりました。
家で毎朝15分の音声を流していたら、週に約105分。
学校の週45分より多い計算になります。
⛔ ただし、これは時間の長さを比べただけです。
学校の45分は先生がいて、やり取りがあって、目標が決まっています。
同じ45分ではないので、「家のほうが多いから安心」とは言えません。
言えるのは、「家で流している時間は、量としては決して小さくない」というところまでです。
英語のかけ流しの効果が「話せるようになる」まで届くとは、公的資料に書かれていない
ここがいちばん大事なところだと思っています。
学習指導要領で、3・4年の外国語活動の目標に使われている言葉は「コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を育成する」でした。
5・6年の外国語科では、同じ文の1語だけが変わって「コミュニケーションを図る基礎」になります。
素地と基礎です。
どちらも、「話せるようになる」とは書いていません。
解説の全体像は文部科学省 小学校学習指導要領解説(外国語活動・外国語編)と学習指導要領「生きる力」にまとまっています。
国が9年間かけてやることでさえ、小学校段階では「素地」と「基礎」という言葉を選んでいる。
その事実を知ってから、家のかけ流しに「話せるようになる」を期待するのは、少し重すぎる荷物だと思うようになりました。
⛔ かけ流しに効果がない、と言っているのではありません。
公的資料は、かけ流し単体の効果について何も言っていない、というのが正確なところです。
分からないことを「分からない」と書けるのは、広告ではない側の強みだと思っています。
英語のかけ流しの効果と、画面を見せる時間は分けて考える
かけ流しの相談でいちばんこじれやすいのが、動画との混同です。
音声だけを流すことと、画面を見せることは、公的機関の扱いが別でした。
WHOは2019年に、5歳未満の子どもの生活時間についての指針を出しています。
WHOの発表によると、スクリーンタイムの推奨はこうなっています。
| 年齢 | WHOのスクリーンタイムの推奨 |
|---|---|
| 1歳未満 | 画面を見ることは推奨されない |
| 1歳 | 推奨されない |
| 2歳 | 1時間以下が望ましく、少ないほどよい |
| 3〜4歳 | 1時間以下であるべきで、少ないほどよい |
WHOは同じ発表のなかで、画面の代わりに読み聞かせ・お話・歌・パズルといった、画面を使わないやり取りをすすめています。
ここで気づいたことがあります。
英語のかけ流し(音声)と、英語の絵本の読み聞かせは、この推奨とぶつかりません。
ぶつかるのは、英語の動画をつけっぱなしにするやり方のほうです。
「英語だから見せてもいい」ではなく、「英語でも画面は画面」。
我が家の運用を決めるときに、この線引きがいちばん役に立ちました。
英語のかけ流しの効果を家で測るなら、この3つの記録だけでいい
効果があるかどうかを、感覚で毎日ジャッジすると疲れます。
私は、記録を3つに絞りました。
いずれも、公的な物差しに寄せてあります。
- 子どもが自分から口に出した英語の単語・フレーズを、日付つきでメモする
- 流した時間を週の合計だけ数える(1日ごとに悩まない)
- 3か月に1回、英検Can-doリストを開いて、5級の「聞く」の項目を親が読む
英検Can-doリストは、英検の公式サイトによると「各級に合格するための技能別の目標となる英語力」を示したもので、1級から5級までが対象です。
同じ公式ページには、CEFRや学習指導要領における英語力の考え方を踏まえて作成された、とも書かれています。
級の全体像は英検の各級の目安に出ています。
⛔ 3か月ごとに受験させる、という話ではありません。
親がリストを読むだけです。
「5級の聞く、まだ全然だな」ではなく、「この項目、この前できてたな」を1つ見つけるための道具として使っています。
記録が3つなら、続きます。
続かない記録は、無いのと同じでした。
英語のかけ流しの効果をうたう広告は、こう読むと落ち着ける
教材の広告を見ていると、聞かせるだけで話し出すような書き方に出会います。
そういうとき、私は消費者庁のページを1回開くようにしています。
消費者庁の景品表示法のページには、令和5年10月1日からステルスマーケティングが景品表示法違反になること、そして景品表示法第5条第3号にもとづいて「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難な表示」が規制対象に指定されたことが書かれています。
つまり、広告なのに広告に見えない形の宣伝は、いま国が禁じているということです。
これを知っていると、「普通のママの体験談」に見えるものを、少し落ち着いて読めます。
判断のしかたは1つだけ決めました。
効果の言い切りが強いものほど、公式の仕様(時間・回数・対象年齢・料金)を先に見る。
言い切りが強いのに仕様が書いていないものは、そっと閉じます。
英語のかけ流しの効果が出ないと感じたときに、先に見直す4つ
効果が見えないとき、教材を変える前に見るところがあると思っています。
いずれも、家で今日から確かめられることだけにしました。
- 音量:親が話しかける声より大きいと、会話のじゃまになります
- 時間帯:食事・宿題・きょうだいのけんかと重なっていないか
- 同じ音源の回数:毎回ちがう音源に変えていないか(同じ歌を繰り返すほうが、子どもは口ずさみやすい印象があります)
- 子どもの反応:嫌がっているのに続いていないか
4つ目だけは、他とちがって「やめる判断」に直結します。
嫌がっているのに続けるかどうかについては、別の記事で契約の話まで含めて整理しました。
⛔ ここに書いた4つは、公的資料に「こうしなさい」と書かれていたものではありません。
公的資料に書いてあるのは、量と目標の話までです。
家のやり方の部分は、私が親として決めていることとして読んでください。
英語のかけ流しの効果は、学校の英語のどこにつながるのか
家でやっていることが、学校の英語とどうつながるのかが見えないと、続ける気持ちが持ちません。
告示の本文を読むと、小学校の外国語(5・6年)で扱う語について、こう書かれていました。
第3学年及び第4学年において第4章外国語活動を履修する際に取り扱った語を含む600〜700語程度の語
大事なのは、この600〜700語のなかに、3・4年で出てきた語も含まれているという点です。
3・4年で何百語か覚えて、5・6年でさらに600語を足す、という積み上げではありませんでした。
「読むこと」「書くこと」に求められている水準も、思っていたより手前でした。
- 読むこと=活字体で書かれた文字を識別し、その読み方を発音することができるようにする
- 書くこと=大文字、小文字を活字体で書くことができるようにする
5年生の「書く」は、まずアルファベットを活字体で書けることから始まります。
ここを読んでから、家のかけ流しに求めるものが整理できました。
学校が5年生から求めるのは、まず文字と音が結びつくことです。
かけ流しで耳に入っている音が、あとから文字と結びつく順番になっている。
そう考えると、家でやっていることの置き場所が決まります。
⛔ 「かけ流しをしておけば5年生で困らない」とまでは、どの資料にも書かれていません。
書かれていたのは、求められている水準がここまでであるという事実だけです。
英語のかけ流しの効果を試すのに、最初からお金をかけなくていい
かけ流しを始めるとき、いちばん最初にやりがちなのが教材を買うことです。
でも、無料で公開されているものだけでも、始めるぶんには足ります。
- Oxford Owl|Free eBook Library=オックスフォード大学出版局の公式サイト。無料の電子絵本が公開されています(利用には無料の登録が必要です)
- 文部科学省 外国語活動・外国語科授業を観る=学校段階ごとの授業動画。子ども向けではありませんが、学校でどんな英語が話されているかを親が見られます
- 文部科学省 外国語教育について知る=学習指導要領と指導参考資料
有料の教材を検討するのは、無料のもので子どもの反応を見てからでも遅くないと思っています。
理由は、教材の契約が思ったより長い縛りになることがあるからです。
語学教室の契約については、消費者庁が特定継続的役務提供のページで、対象7役務の1つとして語学教室を挙げ、期間が「2月を超えるもの」・金額が「5万円を超えるもの」という要件を示しています。
同じページに、法定書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができること、中途解約のときに事業者が請求できる額に上限があることも書かれています。
⛔ 家庭用の教材(物の販売)と語学教室(役務の提供)は、法律上の扱いが違います。
契約の前に、その契約がどちらなのかを書面で確かめるのがいちばん確実でした。
英語のかけ流しの効果について、よくある質問
Q. 英語のかけ流しは1日何時間がいいですか。
公的機関が「かけ流しは1日◯時間」と示した資料は見つかりませんでした。
見つかったのは、画面を見る時間についてのWHOの推奨(3〜4歳で1時間以下)だけです。
音声のかけ流しは、この推奨の対象ではありません。
Q. かけ流しだけで英語が話せるようになりますか。
公的資料にはそう書かれていません。
学習指導要領でも、小学校の目標は「素地」と「基礎」という言葉になっています。
Q. 何歳から始めればいいですか。
学校で英語が始まるのは3年生(外国語活動・年35単位時間)です。
それより前に家で何をするかについて、国が示した開始年齢の基準は見つかりませんでした。
Q. 英語の絵本と組み合わせたほうがいいですか。
WHOは画面の代わりに読み聞かせをすすめています。
無料で読める英語の絵本は、Oxford OwlのFree eBook Libraryのように公式が公開しているものがあります。
Q. 効果が出ているか、親にはどう分かりますか。
この記事の3つの記録(自発的に出た語/週の合計時間/3か月ごとの英検Can-doリスト)が、私が続けられた最小限でした。
英語のかけ流しの効果を確かめるために開いた公式ページ
- 文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)PDF
- 文部科学省 小学校学習指導要領解説(外国語活動・外国語編)
- 文部科学省 学習指導要領「生きる力」
- 文部科学省 外国語教育
- 文部科学省 外国語教育について知る
- WHO|To grow up healthy, children need to sit less and play more(2019-04-24)
- WHO|Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years of age
- 公益財団法人 日本英語検定協会 英検Can-doリスト
- 公益財団法人 日本英語検定協会 各級の目安
- 消費者庁 景品表示法(表示規制)
- Oxford Owl|Free eBook Library
- 文部科学省 外国語活動・外国語科授業を観る
- 消費者庁 特定継続的役務提供
英語のかけ流しの効果に関する情報の確認日と免責
本記事の内容は、2026年9月8日に上記の公式ページを開いて確認したものです。
制度・料金・公開資料は変わることがあります。
最新の情報は、それぞれの公式ページでご確認ください。
子どもの発達には個人差があります。
この記事は特定の教育方法の効果を保証するものではなく、公的資料に書かれていることと書かれていないことを整理したものです。
気になることがあるときは、園・学校の先生や、かかりつけの小児科など、お子さんを直接見ている方にご相談ください。
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