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子供の英語と中学受験は別々の財布から出ていく。文部科学省の調査で学年別の金額を数え直した

小学3年生の夏、英会話の月謝を振り込んだ日に、塾の夏期講習のチラシが届きました。

同じ月に、同じ財布から、二つ払えるのかと手が止まりました。

周りの親は「英語は受験が終わってから」と言うし、別の親は「英語こそ受験で効く」と言います。

どちらも本当っぽく聞こえて、どちらも根拠を見せてくれませんでした。

私は、この判断を「周りの雰囲気」で決めたくなかったので、文部科学省の調査と学習指導要領を開いて、実額と時間だけを拾い直しました。

この記事に書いてあるのは、公的資料に書いてあったことと、書いていなかったことだけです。

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子供の英語と中学受験は、別々の財布から出ていくお金だった

先に結論を書きます。

国の統計では、中学受験の塾代と、子供の英会話代は、そもそも別の項目として集計されています。

塾代は「補助学習費」の中の「学習塾費」です。

英会話は「その他の学校外活動費」の中の「教養・その他」です。

つまり、両立させるというのは「片方を増やせば片方が減る」話ではなく、二つの別の支出を同時に走らせるという話でした。

そして、その二つは学年ごとに別の動き方をします。

片方は小4から急に増え、もう片方はほとんど増えません。

この「増え方の違い」を知らないまま両方を続けると、小5・小6で家計が詰まります。

以下、全部その調査の数字です。

子供の中学受験にかかるお金は、小学4年生で折れ曲がる

文部科学省の令和5年度 子供の学習費調査には、小学生の学年別の金額が載っています。

公立小学校に通う子供1人あたり、1年間の金額です。

学年学習塾費補助学習費(塾を含む合計)その他の学校外活動費
第1学年31,504円80,572円136,278円
第2学年35,291円65,947円145,972円
第3学年46,108円76,470円154,523円
第4学年80,935円116,753円154,521円
第5学年106,550円143,318円152,220円
第6学年145,161円186,559円120,786円

出典=文部科学省 令和5年度子供の学習費調査 調査結果の概要(表5・表6)

学習塾費は、第3学年の46,108円から第4学年の80,935円で、1年で約1.8倍になっています。

第1学年と第6学年を比べると、31,504円から145,161円で約4.6倍です。

一方で「その他の学校外活動費」は、第1学年の136,278円から第6学年の120,786円へ、むしろ下がっています。

同じ調査は「公立では小学校第6学年以降、私立では小学校第4学年以降において、補助学習費の割合がその他の学校外活動費の割合を上回る傾向にある」と書いています。

つまり、多くの家庭で「習い事の財布」が「勉強の財布」に押し出されるタイミングが、学年ではっきり決まっているということです。

私が見たかったのは、まさにこの折れ曲がりの位置でした。

公立小学校の6年間を単純に足すと、学習塾費の合計は445,549円です。

ただし、この金額は「塾に通っていない家庭の0円」も混ぜた平均です。

同じ調査によると、公立小学校で学習塾費が0円の家庭は61.0%でした。

実際に1円以上支出した家庭だけの平均は、公立小学校で約19万3千円(年額)です。

受験を考えている家庭が見るべきなのは、平均7万5千円のほうではなく、この19万3千円のほうだと思いました。

子供の英会話は「学習塾費」に入っていない。調査の分類を読むと分かる

ここが、私がいちばん驚いたところです。

同じ調査の用語の定義を読むと、支出の区分がこう書かれていました。

区分調査が定義している中身(要点)
学習塾費学習塾へ通うために支出した全ての経費。入会金、授業料(月謝)、講習会費、教材費、通っている学習塾での模擬テスト代、学習塾への交通費
通信教育・家庭教師費家庭教師への月謝(謝礼)、教材費、通信添削などの通信教育を受けるために支出した経費
家庭内学習費家庭の中での学習に使用する物品・図書の購入費
教養・その他習字、そろばん、外国語会話などを習うために支出した経費、一般図書・雑誌購入費、博物館などへの入場料・交通費、パソコン・タブレット、自主的な検定試験受験料など
国際交流体験活動留学・ホームステイなど海外での学習・交流活動のために要した費用、自宅外で参加する国際交流イベントの参加費

出典=文部科学省 令和5年度子供の学習費調査結果のポイント(調査事項・用語の説明)

英会話教室の月謝も、英検などの自主的な検定試験の受験料も、「教養・その他」に入ります。

塾代とは、別の欄です。

公立小学校の「教養・その他」を学年別に並べると、こうなります。

学年公立小学校私立小学校
第1学年36,673円118,500円
第2学年34,997円124,595円
第3学年38,792円100,195円
第4学年35,555円97,571円
第5学年40,071円72,243円
第6学年30,717円63,178円

出典=同 調査結果の概要(表7 学年別その他の学校外活動費)

⛔ ここで大事な注意があります。

この「教養・その他」は、英会話だけの金額ではありません。

習字も、そろばんも、本代も、博物館の入場料も、パソコンも同じ欄に入っています。

調査を全部読んでも、英会話だけを取り出した金額はどこにも載っていませんでした。

だから「子供の英語にいくらかかるか」の全国平均は、この調査からは出せません。

出せないものは、出せないと書いておきます。

それでも分かることはあります。

公立小学校の「教養・その他」は6年間ずっと3万〜4万円台で、塾代のような急増をしていないということです。

子供を私立小学校に通わせている家庭は、金額の桁が一つ違う

比較のために、私立小学校の数字も並べます。

項目(年額・平均)公立小学校私立小学校公私比率
学習費総額366,599円1,741,516円4.8倍
うち学校外活動費256,489円709,667円2.8倍
うち学習塾費75,194円259,492円約3.5倍
うち教養・その他36,111円96,198円約2.7倍

出典=同 調査結果の概要(表1・表6・表7)

私立小学校の学習塾費は、第6学年で442,735円です。

調査は、これが「公立・私立を問わず最も多い」学年だと書いています。

私立小学校の6年間の学習塾費を単純に足すと、1,562,236円になります。

同じ6年間で、公立小学校は445,549円でした。

ここまでが、お金の話です。

次は時間の話に移ります。

子供の英語に学校が用意している時間は、6年間で157時間30分しかない

お金の次に私が知りたかったのは、「学校がやってくれる分」がどれくらいあるかでした。

文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)の別表第一に、年間の授業時数が書いてあります。

学年教科等年間の授業時数1単位時間
小1・小2外国語の欄なし—45分
小3・小4外国語活動各35単位時間45分
小5・小6外国語各70単位時間45分

35+35+70+70で、6年間の合計は210単位時間です。

1単位時間が45分なので、9,450分=157時間30分になります。

小3・小4は週1コマ、小5・小6は週2コマの計算です。

受験の塾が小4から週2回・3回と増えていくのと比べると、学校の英語の時間は6年間ほとんど変わりません。

だから「学校の英語だけで受験に必要な水準まで届くか」は、時間の側から見ても慎重に考えるべきところでした。

では、その157時間30分で、どこまで届くと国は書いているのでしょうか。

子供が小学校の英語で扱う語は「600〜700語程度」と告示に書いてある

小学校学習指導要領(平成29年告示)の外国語の章を読むと、扱う語の数がはっきり書かれていました。

原文は「第3学年及び第4学年において第4章外国語活動を履修する際に取り扱った語を含む600〜700語程度の語」です。

3年生から6年生までの4年間を全部合わせて、600〜700語程度ということです。

領域は五つに分かれています。

  • 聞くこと
  • 読むこと
  • 話すこと[やり取り]
  • 話すこと[発表]
  • 書くこと
  • そして、目標にあたる文にはこう書いてあります。

    「コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す」。

    続く条文も「実際のコミュニケーションにおいて活用できる基礎的な技能」「自分の考えや気持ちなどを伝え合うことができる基礎的な力」です。

    読むこと・書くことについても、「音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現の意味が分かるようにする」という書き方でした。

    国が小学校の英語に求めているのは、基礎と慣れ親しみであって、入試に耐える読解力ではない、と読めます。

    参考までに、中学校学習指導要領(平成29年告示)を開くと、語数は「小学校で学習した語に1600〜1800語程度の新語を加えた語」でした。

    小学校卒業時点の600〜700語程度は、中学卒業時点で想定されている総量のおよそ4分の1にあたります。

    ここが、受験で英語を使う場合に「何が足りないのか」の正体でした。

    子供の英語がいまどこにいるかは、英検の級で位置を測るのが早い

    語数や領域の話は、親の感覚には落ちてきません。

    そこで私は、外部検定の目安を物差しに使うことにしました。

    公益財団法人 日本英語検定協会は、各級の推奨目安を公開しています。

    級推奨目安
    5級中学初級 程度
    4級中学中級 程度
    3級中学卒業 程度
    準2級高校中級 程度
    準2級プラス高校上級 程度
    2級高校卒業 程度
    準1級大学中級 程度
    1級大学上級 程度

    出典=公益財団法人 日本英語検定協会 各級の目安

    二つの公的資料を並べると、英検3級(中学卒業程度)は、告示でいえば600〜700語に1600〜1800語を足した先にある、ということになります。

    これは私が二つの資料を突き合わせた読み方であって、協会と文部科学省がそう対応づけているわけではありません。

    ただ、位置の感覚をつかむには十分でした。

    小学生のうちに英検を受けるなら、まず5級・4級が学校の延長線上にある級です。

    なお、就学前や低学年向けの英検Jr.の受験料は、BRONZE 2,500円/SILVER 2,700円/GOLD 2,900円と公式に書かれています。

    この受験料については、公式ページに「受験料(税込)」と明記がありました。

    一方、この記事で使った学習費調査の金額は、本文を機械で検索しても「税」の字が出てくるのは「世帯の年間収入(税込み)」の1か所だけで、支出額そのものに税込・税抜・税別の明記はありませんでした。

    家計が実際に支払った額を集計した調査なので、支払い時の税を含んだ額と読むのが自然ですが、調査に書いていない以上「明記がない」とだけ書いておきます。

    子供の中学受験で英語入試を使うかどうか、この記事では学校名を書かない

    ここは、はっきり書いておきます。

    「どの中学校が英語入試をやっているか」は、この記事では一校も挙げません。

    まとめ記事や塾のサイトには一覧が出ていますが、それを引き写して並べると、募集要項が変わった年に間違った案内になります。

    入試の方式・科目・出願資格は、その学校が出している募集要項が唯一の一次情報です。

    志望校が決まっているなら、学校名+「生徒募集要項」で公式サイトを開いて、その年度のPDFを自分の目で確認してください。

    見るところは3つです。

  • 英語を選べる入試方式があるか(教科選択制か、専用枠か)
  • 外部検定のスコアや級を使う仕組みがあるか、あるなら何級からか
  • その方式の募集人数が何名か
  • 3つ目が抜けやすいのですが、募集人数が少ない方式は、英語ができても席そのものが少ないという意味です。

    ここまで確認できてはじめて、家の英語を「受験用」に切り替える判断ができます。

    子供の英語と中学受験を両立させるかどうかを、我が家の数字で決める

    ここまでの数字を、判断できる形に並べ直します。

    公立小学校の平均で、小6の1年間は学習塾費145,161円、教養・その他30,717円でした。

    受験をする家庭に絞れば、塾だけで年約19万3千円が現実的な目安になります。

    ここに英会話を重ねるなら、月謝×12か月をそのまま足した額が、小4以降ずっと上乗せされ続けます。

    時間も同じで、学校の英語は週1〜2コマのまま増えません。

    増えるのは塾の側だけなので、両立とは「増える側に押し出されない仕組みを先に作ること」だと分かりました。

    確かめることどこを見るか判断の目安
    志望校が英語を使えるかその学校の生徒募集要項(公式PDF)方式・級・募集人数の3点がそろって初めて「使える」
    いま英語がどこにいるか英検の各級の目安5級・4級が学校の延長線上
    家計が小5・小6で耐えるか学習費調査の学年別の金額塾は小4で約1.8倍、小6で小1の約4.6倍
    やめる基準を決めてあるか家の家計簿上限額と見直し月を先に紙に書く

    私は、英語を続けるかどうかより先に、小5になったら見直すと決めておくほうが効くと思いました。

    折れ曲がりの位置が統計で分かっているなら、その手前に自分で関所を置けます。

    子供の英語と中学受験について、今日、家で決められること

    大きな決断は、今日はしなくていいと思います。

    代わりに、今日のうちにできることが3つあります。

  • 志望校の生徒募集要項を1校だけ開く。方式・級・募集人数の3点をメモする。まだ志望校が無いなら、この項目は小4の夏まで保留でかまわない
  • 英語にかけている年額を電卓で出す。月謝×12に、教材費と検定料を足す。公立小学校の「教養・その他」の平均は年36,111円だった、という物差しと比べる
  • 見直す月を1つ決めて、カレンダーに入れる。統計上の折れ曲がりは小4なので、小3の冬か小4の春が候補になる
  • 3つとも、子供に何かをさせる話ではなく、親が数字を見るだけの話です。

    私は、この3つを書き出した時点で、夏期講習のチラシを前にした手の止まり方が変わりました。

    両立できるかどうかは、気持ちではなく、年額と学年の折れ曲がりで決まる話だったからです。

    子供の英語と中学受験を調べるときに開いた出典

  • 文部科学省 令和5年度子供の学習費調査
  • 文部科学省 令和5年度子供の学習費調査結果のポイント(PDF)
  • 文部科学省 令和5年度子供の学習費調査 調査結果の概要(PDF)
  • 文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)(PDF)
  • 文部科学省 中学校学習指導要領(平成29年告示)(PDF)
  • 文部科学省 外国語教育
  • 公益財団法人 日本英語検定協会 各級の目安
  • 公益財団法人 日本英語検定協会 英検Jr. 試験日程・受験案内
  • 子供の英語と中学受験に関する情報の確認日と免責

    本記事の内容は、2026年9月12日に上記の公的資料と公式ページを開いて確認したものです。

    金額はすべて令和5年度子供の学習費調査の年額で、子供1人あたりの数値です。

    同調査の支出額には税込・税抜・税別の明記がなく、英検Jr.の受験料のみ公式ページに「税込」と記載があります。

    制度・調査・料金は改定されることがあります。

    最新の情報は、それぞれの公式ページでご確認ください。

    入試に関することは、志望校が公表している生徒募集要項が唯一の根拠です。

    お子さんの学習の進め方については、通っている学校や塾など、お子さんを直接見ている方にもご相談ください。

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