「子供の英語、いつから始めました?」
園の送り迎えで、この質問をされる日が来ます。
3歳から通わせている人がいて、小学校に上がってからでいいと言う人がいて、家では何もしていないと言う人がいます。
私は、その答えを自分の感覚で決めたくなかったので、国が出している資料を開いて読み直しました。
学習指導要領、学校教育法、幼稚園教育要領、WHOの指針、英検の公式情報です。
この記事に書いてあるのは、そこに書いてあったことと、書いていなかったことだけです。
子供の英語をいつから始めるか、国の制度は「小学3年生」から動き出す
先に結論を書きます。
日本の公的な制度のなかで、英語が最初に登場するのは小学校3年生です。
それより前の年齢について、国が「何歳から英語を始めなさい」と示した基準は見つかりませんでした。
見つからなかったことは、そのまま書きます。
つまり「いつから」の答えは、国の側には小3という一点しかないということです。
それより前は、各家庭が決めていい空白地帯になっています。
空白だからこそ、広告の声が大きく聞こえるのだと思いました。
だからこの記事では、まず「国が決めている側」だけを数字で並べます。
子供の英語がいつから何時間あるのか、授業時数の表で確かめる
授業の時間数は、学校教育法施行規則の別表第一(第五十一条関係)で決まっています。
英語にあたる部分だけを抜き出すと、こうなりました。
| 学年 | 区分 | 年間の授業時数 | 週あたりの目安 |
|---|---|---|---|
| 小1・小2 | 設定なし | 0単位時間 | なし |
| 小3 | 外国語活動 | 35単位時間 | 週1コマ |
| 小4 | 外国語活動 | 35単位時間 | 週1コマ |
| 小5 | 外国語(教科) | 70単位時間 | 週2コマ |
| 小6 | 外国語(教科) | 70単位時間 | 週2コマ |
同じ別表の備考に、「この表の授業時数の一単位時間は、四十五分とする」と書かれています。
そして学習指導要領の総則には、各教科等の授業は年間35週以上にわたって行うよう計画する、とあります(第1学年は34週)。
35単位時間を35週で割ると、週に1コマ45分。
70単位時間なら週2コマ、90分です。
小3から小6までを全部足すと210単位時間で、45分をかけると9,450分になります。
時間に直すと、小学校の英語は4年間で157時間30分でした。
丸1日を24時間として数えると、6日と13時間半ぶんです。
私はこの数字を出したとき、思っていたより短いと感じました。
ちなみに中学校は、別表第二で外国語が各学年140単位時間、1単位時間は50分です。
中学の3年間だけで350時間=小学校4年間の2倍以上が用意されています。
出典=学校教育法施行規則(e-Gov法令検索)/小学校学習指導要領(平成29年告示)
子供の英語は、いつから読み書きが入るのかで中身が変わる
時間数より大事だったのが、この違いです。
小3・小4の外国語活動と、小5・小6の外国語科は、扱う領域そのものが違いました。
| 項目 | 小3・小4(外国語活動) | 小5・小6(外国語科) |
|---|---|---|
| 領域 | 3領域=聞くこと/話すこと[やり取り]/話すこと[発表] | 5領域=上の3つ+読むこと/書くこと |
| 目標に使われている語 | コミュニケーションを図る素地 | コミュニケーションを図る基礎 |
| 扱う語 | 告示に語数の定めなし | 3・4年で取り扱った語を含む600〜700語程度 |
| 評価 | 教科ではない | 教科(成績がつく) |
読むことと書くことは、5年生からです。
3年生と4年生の2年間は、耳と口だけで進みます。
そして5年生で加わる「読むこと」の目標は、告示の本文ではこう書かれていました。
活字体で書かれた文字を識別し,その読み方を発音することができるようにする。
アルファベットを見て、その音が言える。
国が5年生に求めている「読む」は、そこからの出発でした。
ここを知ってから、幼児期に読み書きを急がせる理由が、私のなかで薄くなりました。
子供の英語をいつから、と考える前に、就学の年齢は法律で決まっている
「何歳から」を国の言葉で確かめたくて、学校教育法の条文も開きました。
第十七条の第一項に、こうあります。
保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。
法律が年齢を指定しているのは、小学校に入る「満六歳」の一点だけでした。
そこから数えて3年目が、英語の始まる小3です。
学年の区切りがあるので個人差は出ますが、目安としては8歳から9歳になる年にあたります。
国が用意した英語のスタートラインは、8歳前後。
これが、感覚ではなく条文から出てくる唯一の数字でした。
子供の英語について、幼稚園の国の基準は一言も触れていない
ここがいちばん驚いたところです。
幼稚園には、幼稚園教育要領という国の基準があります。
平成29年3月告示のこの文書を、私は本文まるごと機械で検索しました。
- 検索対象=幼稚園教育要領の本文(約5万字)
- 「外国語」=0件
- 「英語」=0件
幼稚園教育要領が示している領域は、5つでした。
健康、人間関係、環境、言葉、表現の5領域です。
「言葉」の領域はありますが、その中身は言葉の獲得に関するもので、外国語のことではありません。
⛔ これは「幼児期に英語をやってはいけない」という意味ではありません。
国は幼児期の英語について、やれとも、やるなとも、何も書いていないというのが正確なところです。
賛成も反対も、公的資料からは引っぱり出せませんでした。
この空白を、親が自分で埋めることになります。
子供の英語をいつから始めるほど有利か、公的資料はそこまで言っていない
「早く始めたほうがいい」の根拠を探しましたが、公的資料の中には見つかりませんでした。
学習指導要領が示しているのは、開始学年と時間数と目標の言葉だけです。
その目標の言葉が、また控えめでした。
小3・小4の外国語活動は「コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を育成することを目指す」。
小5・小6の外国語科は「コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を育成することを目指す」。
素地と基礎。
どちらも「話せるようになる」とは書いていません。
国が4年間・157時間かけてやることでさえ、選ばれている言葉は素地と基礎です。
それを知ってから、家庭の取り組みに「話せるようになる」を背負わせるのをやめました。
もうひとつ、制度の側から言えることがあります。
先ほどの表のとおり、中学の3年間には350時間が用意されています。
9年間で見れば、量の本番は中学以降にあります。
就学前の数年で全部が決まる設計には、少なくともなっていませんでした。
子供の英語をいつから動画で見せるかは、別の物差しで決める
開始年齢の相談でいちばんこじれるのが、ここでした。
早く始めようとすると、手段はたいてい英語の動画になります。
画面を見せる時間については、WHOが2019年に5歳未満の指針を出しています。
| 年齢 | WHOのスクリーンタイムの推奨 |
|---|---|
| 1歳未満 | 画面を見ることは推奨されない |
| 1歳 | 推奨されない |
| 2歳 | 1時間を超えないこと。少ないほどよい |
| 3〜4歳 | 1時間を超えないこと。少ないほどよい |
同じ発表のなかでWHOは、画面を使わない大人とのやり取りを重く見ています。
読み聞かせ、お話、歌、パズルが、子どもの発達にとても大切だと書かれていました。
この2つを並べると、家での線引きが決まります。
英語の絵本を読んであげることと、英語の音声を流すことは、WHOの推奨とぶつかりません。
ぶつかるのは、英語の動画を長時間つけておくやり方のほうです。
「英語だから見せていい」ではなく、「英語でも画面は画面」。
早く始めたいときほど、この1行が効きました。
子供の英語がいつからどこまで届いたかは、英検の級の設計で測れる
始める時期を決めたら、次は「どこまで来たか」を測る物差しが要ります。
英検の公式サイトに、各級の目安が出ています。
| 級 | 公式に示されている目安 |
|---|---|
| 5級 | 中学初級程度 |
| 4級 | 中学中級程度 |
| 3級 | 中学卒業程度 |
| 準2級 | 高校中級程度 |
| 2級 | 高校卒業程度 |
いちばん下の5級でも、目安は中学初級程度です。
小学生の段階では、まだ手前にいるのがふつうだと分かります。
もっと手前を測りたいときのために、英検には英検Jr.という別のテストがあります。
BRONZE・SILVER・GOLDの3つのグレードがあり、グループ会場のペーパー版は試験時間が約30分・約35分・約45分です。
受験料は公式サイトに税込と明記されていて、BRONZE 2,500円、SILVER 2,700円、GOLD 2,900円です(2026年度・グループ会場ペーパー版)。
公開会場は2011年度から設置されておらず、個人で受けるならオンライン版を使う案内になっています。
⛔ 受けさせることをすすめているわけではありません。
英検Can-doリストを親が読むだけでも、「いま何ができれば次の段」が見えます。
公式の説明によると、このリストはCEFRや学習指導要領における英語力の考え方を踏まえて作られたものだそうです。
子供の英語にいつからお金が動くのかは、国の調査に出ている
周りが早く始めているように見えるとき、私は数字を見るようにしています。
文部科学省の令和5年度「子供の学習費調査」に、公立小学校の学習塾費が学年別で載っていました。
| 学年 | 公立小学校の学習塾費(年間平均) |
|---|---|
| 第1学年 | 31,504円 |
| 第2学年 | 35,291円 |
| 第3学年 | 46,108円 |
| 第4学年 | 80,935円 |
| 第5学年 | 106,550円 |
| 第6学年 | 145,161円 |
⛔ この金額は英語だけの費用ではありません。
調査の「学習塾費」には教科を問わない塾の費用が入っていて、英語の内訳は示されていません。
それでも、第3学年から第4学年でおよそ1.8倍に跳ねているのは読み取れます。
学校で英語が始まるのが小3で、教科になるのが小5です。
家計が動くタイミングは、制度が動くタイミングの少しあとに来ていました。
周りが小さいうちから大金を投じている、という印象は、少なくともこの調査には出ていません。
子供の英語をいつから始めるか、今日うちで決められること
ここまでを、今日できる形に落とします。
私が決めたのは3つだけでした。
- 締め切りを小3に置く=学校で始まるのが小3なので、それまでに「英語が嫌いではない」状態にしておくことだけを家の目標にする
- 手段を画面から先に決める=就学前は、動画より読み聞かせ・歌を先に置く(WHOの推奨に沿う)
- お金の判断を小4まで待つ=学習塾費が跳ねるのは第4学年から。それまでは無料の教材で子どもの反応を見る
3つ目については、有料の契約を急がない理由がもうひとつあります。
消費者庁は、語学教室を特定継続的役務提供の対象7役務の1つに挙げています。
期間が「2月を超えるもの」、金額が「5万円を超えるもの」という要件も同じページに示されています。
法定書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができること、中途解約のときに事業者が請求できる額に上限があることも書かれていました。
⛔ 家庭用の教材(物の販売)と語学教室(役務の提供)は、法律上の扱いが違います。
契約の前に、その契約がどちらなのかを書面で確かめるのがいちばん確実でした。
子供の英語をいつから始めるかについて、よくある質問
Q. 子供の英語は何歳から始めるのが正解ですか。
国が示しているのは、学校で始まる学年(小3)だけです。
家庭での開始年齢について、公的な基準は見つかりませんでした。
Q. 0歳や1歳から始めたほうが有利ですか。
有利だと書いた公的資料は見つかりませんでした。
ただしWHOは、1歳未満と1歳について画面を見る時間を推奨していません。
Q. 小学校に入ってからでは遅いですか。
制度上は、小3が全員のスタートラインです。
遅いかどうかを判定した公的資料は、私が探した範囲では見つかりませんでした。
Q. 幼稚園や保育園の英語の時間は、国の基準に入っていますか。
幼稚園教育要領の本文に「英語」「外国語」という語は1件もありませんでした。
園ごとの取り組みとして行われているものです。
Q. 何から始めればいいですか。
WHOが挙げている読み聞かせ・お話・歌は、英語でもそのまま当てはめられます。
無料で読める英語の絵本は、Oxford OwlのFree eBook Libraryのように出版社が公開しているものがあります(利用には無料の登録が必要です)。
子供の英語をいつから始めるか調べるために開いたページ
- 学校教育法(e-Gov法令検索)
- 学校教育法施行規則 別表第一(e-Gov法令検索)
- 文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)PDF
- 文部科学省 小学校学習指導要領解説(外国語活動・外国語編)
- 文部科学省 学習指導要領「生きる力」
- 文部科学省 令和5年度 子供の学習費調査
- WHO|To grow up healthy, children need to sit less and play more(2019-04-24)
- WHO|Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years of age
- 公益財団法人 日本英語検定協会 各級の目安
- 公益財団法人 日本英語検定協会 英検Can-doリスト
- 英検Jr. 受験案内・年間日程
- 消費者庁 特定継続的役務提供
- Oxford Owl|Free eBook Library
子供の英語をいつから、に関する情報の確認日と免責
本記事の内容は、2026年9月12日に上記のページを開いて確認したものです。
制度・料金・公開資料は変わることがあります。
最新の情報は、それぞれの発行元のページでご確認ください。
子どもの発達には個人差があります。
この記事は特定の教育方法や開始年齢の効果を保証するものではなく、公的資料に書かれていることと書かれていないことを整理したものです。
気になることがあるときは、園・学校の先生や、かかりつけの小児科など、お子さんを直接見ている方にご相談ください。
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