子どもが英検3級に受かったあと、学校から配られた紙に「CEFR A1相当」と書いてありました。
受かったのは嬉しかったのですが、その横に並んでいるアルファベットの意味が分かりませんでした。
検索すると「英検3級はA1」「英検2級はB1」と書いたページがたくさん出てくるのに、どこから引いた数字なのかが書かれていません。
自分の感覚で「じゃあ次はB1を目指そうか」と決めるのが、どうしても気持ち悪かったのです。
そこで、文部科学省が自分のサイトに置いている対照表のPDFを落として、上から順に読み直しました。
この記事に書いてあるのは、その対照表に書いてあったことと、書いていなかったことだけです。
CEFRと英検の対照表は、文部科学省が平成30年3月に作った1枚にまとまっている
先に結論を書きます。
「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」という題名のPDFが文部科学省のサイトにあり、作成時期として平成30年3月と刷り込まれています。
A4横1枚の表に、CEFRの6段階と、8つの資格・検定試験のスコアが並んでいます。
英検は「実用英語技能検定 1級-3級」という列で載っています。
つまり、親が推測でレベルを当てはめる必要はありません。
表の縦軸がCEFR、横軸が試験で、交わったマスに「その試験の何点から何点までがその段階か」という数字が入っているだけの、単純な作りでした。
同じPDFには、附属資料として2枚の説明ページも付いています。
| ページ | 中身 |
|---|---|
| 1枚目 | CEFRの6段階と各試験のスコアを並べた対照表そのもの |
| 2枚目(附属資料①) | CEFRとは何か、6段階それぞれの説明文 |
| 3〜4枚目(附属資料②) | 各試験がどうやってCEFRと対応づけたのか、検証体制と検証方法の一覧 |
検証方法まで同じPDFに入っているというのが、読む前にいちばん意外だったところです。
CEFRの6段階は、欧州評議会が2001年に発表した共通参照レベルだった
附属資料①には、CEFRそのものの説明が書かれています。
語学のシラバスやカリキュラムの手引きを作ったり、外国語運用能力を評価したりするための共通の基盤として作られたもの、という位置づけです。
20年以上にわたる研究を経て、2001年に欧州評議会が発表した、と明記されていました。
6段階は、上から C2、C1、B2、B1、A2、A1 と並びます。
さらに、その6つは3つのまとまりに分けられています。
| まとまり | 段階 | 記述のはじまり |
|---|---|---|
| 熟練した言語使用者 | C2・C1 | 聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる(C2) |
| 自立した言語使用者 | B2・B1 | 抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる(B2) |
| 基礎段階の言語使用者 | A2・A1 | よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることができる(A1) |
A1は「基礎段階の言語使用者」の下側で、家族や買い物、住んでいるところといった、身の回りのことが範囲になっています。
子どもの紙に書いてあったA1は、この一番下のところでした。
CEFR対照表に載っている英検の数字は、級ではなく英検CSEスコアだった
ここが、読み直していちばん認識を改めたところです。
対照表の英検の列に入っている数字は、級の名前ではなく、英検CSEスコアという4桁の点数でした。
列の上のほうに「各級CEFR算出範囲」として(3299)、下のほうに(1400)と書かれています。
つまり、英検がCEFRに対応づけられるのは1400点から3299点までの範囲だ、という意味です。
そして表の中には、その範囲を6段階に切り分ける境目の数字が、上から下まで並んでいました。
境目をそのまま書き写すと、次のようになります。
| CEFR | 実用英語技能検定(英検CSEスコア) | その帯に合格スコアが置かれている級 |
|---|---|---|
| C2 | スコアの記載なし | なし |
| C1 | 2600〜3299 | 1級(合格スコア2630) |
| B2 | 2300〜2599 | 準1級(合格スコア2304) |
| B1 | 1950〜2299 | 2級(合格スコア1980) |
| A2 | 1700〜1949 | 準2級(合格スコア1728) |
| A1 | 1400〜1699 | 3級(合格スコア1456) |
よく見かける「英検2級はB1」という言い方は、2級の合格スコア1980が、B1の帯である1950〜2299の中にあることから来ていました。
CEFRのC2の欄に、英検のスコアは1つも書かれていない
表を上から見ていくと、いちばん上のC2の行が空いています。
ここは読み飛ばしてしまいそうになるのですが、表の下に注記が付いていました。
「スコアの記載がない欄は、各資格・検定試験において当該欄に対応する能力を有していると認定できないことを意味する」と書かれています。
つまり、空欄は「まだ調べていない」でも「だいたい同じ」でもありません。
その試験ではその段階を認定できない、という意思表示です。
英検のC2の欄が空いているというのは、英検1級を満点で取ってもC2の認定にはならない、という読み方になります。
同じ行を横に見ると、IELTSには9.0という数字が入っていて、ケンブリッジ英語検定にも(230)という範囲の上限が入っています。
試験によって、対応づけできる範囲そのものが違うということです。
「どの試験も同じものさしに乗っている」わけではない、というのが、この空欄の意味でした。
CEFR対照表に、英検4級と5級は載っていない
子どもが最初に受けるのは5級や4級であることが多いので、そこも探しました。
英検の列の見出しは「実用英語技能検定 1級-3級」です。
PDFをテキストにして機械で数えたところ、「4級」「4級」「5級」「5級」はいずれも0件でした。
載っていないだけで、下の級に価値が無いという話ではありません。
対照表の英検の算出範囲が1400点からなので、そこに届かない範囲は表の外に出ている、という構造です。
だから「英検5級はCEFRのどこ?」という問いには、この対照表からは答えが出せません。
出せないものを出せるかのように書いてある説明を見かけたら、そこは出典を確かめたほうがいい、と自分の中で線を引きました。
CEFRの判定は、範囲を外れたときの扱いまで表の下に書いてある
注記はもう1つあります。
ケンブリッジ英語検定、実用英語技能検定、GTECは複数の試験から構成されていて、それぞれの試験がCEFRと対照できる範囲が決まっている、と書かれています。
そのうえで、範囲を下回った場合にはCEFRの判定は行われないとあります。
逆に範囲を上回った場合には、その範囲の上限に位置づけられているCEFRの判定が行われる、とも書かれています。
スコアが高ければ高いほど上の段階に上がり続ける、という作りではないということです。
この一文があるかないかで、表の読み方はかなり変わります。
- 英検の対照範囲=1400〜3299(英検CSEスコア)
- 範囲を下回ったとき=CEFRの判定は行われない
- 範囲を上回ったとき=その範囲の上限のCEFR判定になる
- 空欄=その段階に対応する能力を有していると認定できない
表の本体より、下の小さい注記のほうが、家で判断するときには役に立ちました。
CEFRとの対応づけをどう検証したかも、同じ資料に書かれている
附属資料②には、試験ごとに検証体制と検証方法の概要が並んでいます。
実用英語技能検定の欄には、中学・高校・大学で英語指導の経験があり、英検の試験概要に理解が深い専門家が各技能12〜13名参加した、と書かれています。
リーディングとリスニングにはBasket法とModified Angoff法、スピーキングにはBody of work法、ライティングにはContrasting group法を使った、という手法名まで載っていました。
4技能それぞれにCEFRの閾値を設定し、それを合計したうえで標準誤差の範囲を調整して、4技能総合の閾値を決めたという説明です。
手法の中身までは私には判断できません。
ただ、「誰が何人で、どの方法で決めたか」が公開されているかどうかは、親でも確かめられる部分です。
同じ欄には、英検の団体側で関係性を掲載しているページのURLも一緒に載っていました。
CEFR対照表には、令和元年8月に作り直された版もある
文部科学省のサイトには、もう1枚、似た表が置かれています。
題名は「大学入試英語成績提供システム参加予定の資格・検定試験とCEFRとの対照表」で、平成30年3月の対照表より令和元年8月作成、と表の右上に書かれています。
英検の列は「英検CBT:準1級-3級」「英検2020 1day S-CBT:準1級-3級」「英検2020 2days S-Interview:1級-3級」という書き方に変わっています。
ただし、CEFRの段階を切る英検CSEスコアの数字は、平成30年3月版と同じでした。
| 項目 | 平成30年3月版 | 令和元年8月版 |
|---|---|---|
| 英検の列の見出し | 実用英語技能検定 1級-3級 | 英検CBT・英検2020 1day S-CBT・英検2020 2days S-Interview |
| CEFR算出範囲 | 1400〜3299 | 1400〜3299 |
| C1の下限 | 2600 | 2600 |
| A1の下限 | 1400 | 1400 |
表の枠組みは変わっていないので、家でレベルの目安を見るぶんには、どちらを見ても同じ数字にたどり着きます。
CEFR対照表が作られた背景の制度は、導入が見送られている
ここは、数字と切り離して書いておきます。
文部科学省の「大学入試英語ポータルサイト」には、大学入試英語成績提供システムについて、令和2年度からの導入を見送ることとした、と書かれています。
同じページには、各大学がシステムを介さずに英語資格・検定試験を独自に活用することは可能だ、とも書かれています。
つまり、制度は止まっていますが、対照表そのものは文部科学省のサイトに資料として残っている状態です。
小学生の家庭にとっては、入試制度の話よりも「級とCEFRの対応はどこの誰が決めたのか」という点のほうが直接役に立ちます。
その答えが、この対照表と附属資料でした。
表の数字は、試験の側が改定すれば変わりうるものなので、受験の前には試験団体のページで最新の表記を確かめてください。
今日、CEFRと英検の対照表を見ながら家で決められること
読み終わって、家で決められることは3つでした。
- 学校や塾から渡された紙に書かれたCEFRの段階は、対照表の英検CSEスコアの帯と突き合わせて確かめる。級の名前だけで判断しない
- 手元の英検の結果票に載っている英検CSEスコアを控えておく。次の級の合格スコアとの差が、そのまま「あと何点か」になる
- 「英検5級はCEFRのどこか」といった、対照表に載っていない話は目標にしない。表に載っている1400点から数える
この3つは、どれも文部科学省の対照表に書かれている数字だけを根拠にしています。
「0件」と書いたものは、PDFをテキストにして機械で検索した結果です。
表の数字を足したり引いたりして作った値は、この記事では出していません。
この記事は特定の学習方法や試験の効果を保証するものではなく、公開されている資料に書かれていることと書かれていないことを整理したものです。
お子さんの進み方で気になることがあるときは、学校の先生など、直接見ている方にご相談ください。
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