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小学生の英語のリスニングは、学習指導要領では「聞くこと」と書かれている。カタカナの技能名は0件だった

英語教室の体験に行ったら、先生から「リスニングを家でもやってください」と言われました。

家に帰ってから、では何をどれだけ聞かせればいいのか分からなくなりました。

そもそも学校では、聞く力にどこまでを求めているのかを私は知りませんでした。

そこで、文部科学省が公開している小学校学習指導要領(平成29年告示)の本文を開いて読み直しました。

この記事に書いてあるのは、その告示に書いてあったことと、書いていなかったことだけです。

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小学生の英語のリスニングは、国の告示では「聞くこと」と呼ばれている

先に結論を書きます。

告示が使っている言葉は「リスニング」ではなく「聞くこと」です。

第2章第10節の外国語には、こう書かれています。

「聞くこと、読むこと、話すこと[やり取り]、話すこと[発表]、書くことの五つの領域別に設定する目標の実現を目指した指導を通して」という書き方です。

この5つのいちばん最初に置かれているのが「聞くこと」です。

順番は、目標の並び順がそのまま書かれているだけです。

家で「リスニング」と呼んでいるものは、学校では「聞くこと」という名前の領域として扱われている、と読めます。

小学生の英語の告示に「リスニング」というカタカナは0件だった

言葉の使われ方が気になったので、告示の本文を機械で数えました。

数えた言葉件数
リスニング0件
ヒアリング0件
スピーキング0件
リーディング0件
ライティング0件
英会話0件
かけ流し0件
聞くこと34件
出典=文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」の本文を機械で計数(2026年9月17日)

技能をカタカナで呼ぶ書き方は、告示の中には1件もありませんでした。

代わりに「聞くこと」が34件出てきます。

教材の宣伝で見かける言葉と、国が使っている言葉は別物だ、ということです。

学校の先生と話すときは、告示側の言葉で聞いたほうが話が早くなります。

小学生の英語は3年生と5年生で領域の数が変わる

同じ小学校でも、学年によって扱いが違います。

学年名前領域
小3・小4外国語活動聞くこと/話すこと[やり取り]/話すこと[発表]の3つ
小5・小6外国語聞くこと/読むこと/話すこと[やり取り]/話すこと[発表]/書くことの5つ
出典=小学校学習指導要領(平成29年告示)第2章第10節外国語、第4章外国語活動

3年生と4年生のあいだは「読むこと」と「書くこと」が領域として立っていません。

この2学年は、聞くことと話すことだけで組まれています。

つまり、小学校の英語のうち最初の2年間は、聞く力がいちばん大きな比重を占める設計になっています。

目標の文も、育てたいものの呼び方が違います。

外国語活動は「コミュニケーションを図る素地となる資質・能力」、外国語は「コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力」と書き分けられています。

小学生の英語で「聞くこと」に求められているのは3つだけ(小3・小4)

外国語活動の「聞くこと」の目標は、告示にア・イ・ウの3行で書かれています。

  • ア=ゆっくりはっきりと話された際に、自分のことや身の回りの物を表す簡単な語句を聞き取るようにする
  • イ=ゆっくりはっきりと話された際に、身近で簡単な事柄に関する基本的な表現の意味が分かるようにする
  • ウ=文字の読み方が発音されるのを聞いた際に、どの文字であるかが分かるようにする

3つともに「ゆっくりはっきりと話された際に」または「聞いた際に」という条件が先に付いています。

自然な速さの英語を聞き取ることは、この2学年の目標には書かれていません。

ウの「どの文字であるかが分かる」は、意味ではなくアルファベットの読み方の聞き分けの話です。

文末が「〜するようにする」で揃っているのも、この学年の特徴です。

小学生の英語の「聞くこと」は5年生から一段上がる

外国語(小5・小6)の「聞くこと」も、ア・イ・ウの3行です。

  • ア=ゆっくりはっきりと話されれば、自分のことや身近で簡単な事柄について、簡単な語句や基本的な表現を聞き取ることができるようにする
  • イ=ゆっくりはっきりと話されれば、日常生活に関する身近で簡単な事柄について、具体的な情報を聞き取ることができるようにする
  • ウ=ゆっくりはっきりと話されれば、日常生活に関する身近で簡単な事柄について、短い話の概要を捉えることができるようにする

文末が「〜できるようにする」に変わっています。

中身も、語句から情報へ、情報から概要へと段が上がっています。

それでも「ゆっくりはっきりと話されれば」という条件は、3行すべてに残ったままです。

小学校を卒業する時点でも、速い英語の聞き取りは目標に含まれていません。

小学生の英語で聞き取る音について、告示が並べている5つ

「音声」の欄には、扱う事項が5つ並んでいます。

  • 現代の標準的な発音
  • 語と語の連結による音の変化
  • 語や句、文における基本的な強勢
  • 文における基本的なイントネーション
  • 文における基本的な区切り

告示は「次に示す事項のうち基本的な語や句、文について取り扱うこと」と範囲を限っています。

2つ目の「語と語の連結による音の変化」は、家でよく困るところです。

単語を1つずつ知っていても文になると聞き取れないのは、この項目が別立てで書かれていることと重なります。

扱う語の数も、同じ場所に書かれています。

「第3学年及び第4学年において第4章外国語活動を履修する際に取り扱った語を含む600〜700語程度の語」という記述です。

小学生の英語のリスニングに学校が使える時間は年35時間と年70時間

時間のほうも、告示の別表第一に数字で書かれています。

学年年間の授業時数1単位時間
小3・小4(外国語活動)35単位時間45分
小5・小6(外国語)70単位時間45分
出典=小学校学習指導要領(平成29年告示)別表第一および総則

この時間は、聞くことだけに使われる時間ではありません。

話すことも、5年生からは読むことと書くことも、この中に入っています。

聞く時間を増やしたいなら、学校の時間割の外で足すしかない、という計算になります。

小学生の英語で、聞くことの授業として告示が例に挙げている3つ

目標だけでなく、授業で何をするかの例も告示に書かれています。

「言語活動に関する事項」の「聞くこと」に、3つの活動が並んでいます。

  • 自分のことや学校生活など、身近で簡単な事柄について、簡単な語句や基本的な表現を聞いて、それらを表すイラストや写真などと結び付ける活動
  • 日付や時刻、値段などを表す表現など、日常生活に関する身近で簡単な事柄について、具体的な情報を聞き取る活動
  • 友達や家族、学校生活など、身近で簡単な事柄について、簡単な語句や基本的な表現で話される短い会話や説明を、イラストや写真などを参考にしながら聞いて、必要な情報を得る活動

3つのうち2つに「イラストや写真など」という言葉が入っています。

音だけを聞かせる活動としては書かれていません。

聞こえた音を、目に見えるものと結び付けるところまでが1つの活動として書かれています。

家で音源を流すときも、絵や写真を横に置くほうが告示の形に近くなります。

小学生の英語のリスニングについて、この記事で分からなかったこと

告示を読んでも分からなかったことが3つあります。

  • 家で1日何分聞かせればよいか(告示に家庭での時間の記述はありません)
  • 「ゆっくりはっきり」が具体的に何語毎分なのか(速度の数字は書かれていません)
  • 聞き流しに効果があるかどうか(「かけ流し」という語は0件で、告示はこの方法について何も書いていません)

この3つは告示に書かれていなかったので、分からないと書いておきます。

告示は学校の教育課程の基準なので、家庭の過ごし方を決める文書ではありません。

小学生の英語のリスニングで、今日わが家で決められること

ここまでで分かったことを、家の作業に置き換えます。

  • 速さで選ばない=告示の目標は3年生から6年生まで一貫して「ゆっくりはっきり」が前提になっている
  • 題材を身近なものに寄せる=目標の文に出てくるのは「自分のこと」「身の回りの物」「日常生活に関する身近で簡単な事柄」の3つだけ
  • 学年で狙いを変える=小3・小4は語句が分かるところまで、小5・小6は情報と概要をつかむところまで

どれも、告示の本文に出てくる言葉をそのまま使って決められることです。

本文を取得して数えた日は2026年9月17日です。

学習指導要領は改訂されることがあるので、最新の本文は文部科学省のページでご確認ください。

この記事を書くために開いた出典

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