「家で英語、毎日何分やればいいですか」
これは、私がずっと検索していた言葉です。
10分という人もいれば、30分という人もいて、どれを信じればいいのか分かりませんでした。
私は、そのもやもやを自分の感覚で決めたくなかったので、学習指導要領の告示とWHOの指針を開いて読み直しました。
読んでみて分かったのは、「何分やるか」を先に決めるから迷うのだ、ということでした。
この記事に書いてあるのは、そこに書いてあったことと、書いていなかったことだけです。
子供の英語の家庭学習は、時間ではなく「学校が届かない範囲」で決める
先に結論を書きます。
家でやる英語は、「1日何分」ではなく「学校のカリキュラムが扱わない範囲はどこか」から決めたほうが、決まります。
理由は単純で、学校が何を扱って何を扱わないかは、国の告示に全部書いてあるからです。
分量も、領域も、目標の言葉づかいも、公開された文書で確認できます。
一方で、「家庭学習を1日◯分やれば英語ができるようになる」と書いた公的資料は、私には見つけられませんでした。
見つからなかったことは、そのまま書きます。
だから、この記事では時間を指定しません。
代わりに、学校の中身を先に数字で出して、家の側で何が余っているのかを見えるようにします。
子供の英語の家庭学習を考える前に、学校の英語を週に割り戻す
比べる相手がないと、家の時間が多いのか少ないのか判断できません。
まず、学校の英語の量を告示の別表から拾いました。
| 学年 | 教科等 | 年間の授業時数 | 1単位時間 | 週あたり(年35週で割った場合) |
|---|---|---|---|---|
| 小1・小2 | 外国語の欄なし | — | 45分 | — |
| 小3・小4 | 外国語活動 | 35 | 45分 | 週1コマ=45分 |
| 小5・小6 | 外国語 | 70 | 45分 | 週2コマ=90分 |
出典=文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)(別表第一、および総則の「各教科等の授業は,年間35週(第1学年については34週)以上にわたって行うよう計画し」)
小3・小4は、週45分です。
年間にすると35×45分で1,575分、時間になおすと約26時間です。
小5・小6は年70単位時間なので、約52時間。
小3から小6までの4年間を足しても、合計210単位時間=約157時間にしかなりません。
4年かけて、丸6日と少し。
私はこの数字を出したとき、ちょっと手が止まりました。
子供の英語の家庭学習は、家の時間のほうが量では上回ることがある
同じ物差しで、家の時間を並べてみます。
| やり方 | 週あたり | 年間(50週で計算) | 小3の学校(年約26時間)との比 |
|---|---|---|---|
| 学校だけ(小3・小4) | 45分 | 約26時間 | 1.0倍 |
| 家で1日5分・週5日 | 25分 | 約21時間 | 約0.8倍 |
| 家で1日10分・週5日 | 50分 | 約42時間 | 約1.6倍 |
| 家で1日15分・週7日 | 105分 | 約88時間 | 約3.4倍 |
1日10分を週5日続けるだけで、量としては学校の外国語活動を超えます。
⛔ ただし、これは時間の長さを並べただけの計算です。
学校の45分には先生がいて、相手役の友だちがいて、決まった目標があります。
家の10分と同じ中身ではありません。
言えるのは、「家の時間は量としては決して小さくない」というところまでです。
だからこそ、その時間を何に使うかが効いてきます。
子供の英語の家庭学習が埋められるのは、3・4年で扱わない「読む」と「書く」
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
告示によると、小3・小4の外国語活動は3つの領域だけで組み立てられています。
| 学年 | 設定されている領域 | 領域の数 |
|---|---|---|
| 小3・小4(外国語活動) | 聞くこと/話すこと[やり取り]/話すこと[発表] | 3領域 |
| 小5・小6(外国語) | 聞くこと/読むこと/話すこと[やり取り]/話すこと[発表]/書くこと | 5領域 |
「読むこと」と「書くこと」が加わるのは、5年生からです。
つまり3・4年の2年間は、学校の設計上、耳と口だけということになります。
細かいことを言うと、3・4年の「聞くこと」には「文字の読み方が発音されるのを聞いた際に,どの文字であるかが分かるようにする」という一文が入っています。
文字にまったく触れないわけではありません。
ただ、聞いて文字が分かるところまでで、読んだり書いたりする目標にはなっていません。
家の側で「何を足すか」を迷ったとき、私はこの表を見るようにしました。
3・4年のうちは、アルファベットの形と音に慣れておく時間が、学校には用意されていない。
そこが、家でしか埋まらない場所でした。
子供の英語の家庭学習に「話せるようになる」を背負わせない
目標に使われている言葉も、条文から引いておきます。
小3・小4の外国語活動の目標は「コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す」。
小5・小6の外国語科は「コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す」。
素地と、基礎です。
国が4年かけてやることでさえ、選ばれている言葉は「素地」と「基礎」でした。
「話せるようになる」とは書いてありません。
この事実を知ってから、家の10分に「話せるようになってほしい」を乗せるのは、荷物が重すぎると思うようになりました。
家庭学習のゴールを「素地の手前」に置き直すと、続けやすくなります。
子供の英語の家庭学習の単位は、学校が認めている「10〜15分」でいい
短い時間で区切ることに、私はずっと後ろめたさがありました。
告示の総則に、こういう一文があります。
「各教科等の特質に応じ,10分から15分程度の短い時間を活用して特定の教科等の指導を行う場合において(中略)その時間を当該教科等の年間授業時数に含めることができること」
学校でも、10〜15分の細切れが正式な授業時数として認められている、ということです。
⛔ これは学校の時間割についての規定で、家庭学習について書かれたものではありません。
そこは正確に書いておきます。
ただ、教育課程を設計している側が「10〜15分は成立する単位だ」と考えていることは読み取れます。
だから、家で1日10分にすることに、引け目を感じなくてよかったんだ、と思いました。
子供の英語の家庭学習でアプリと動画を使うときの線引き
家庭学習をアプリや動画でやるなら、画面時間の話は避けて通れません。
WHOは2019年に、5歳未満の子どもの身体活動・座位行動・睡眠についての指針を出しています。
| 年齢 | WHOのスクリーンタイムの推奨 | 座っている時間についての推奨 |
|---|---|---|
| 1歳未満 | 推奨されない(Screen time is not recommended) | 養育者と一緒の読み聞かせ・語り聞かせがすすめられる |
| 1歳 | 推奨されない | 同上 |
| 2歳 | 1時間以下。少ないほどよい(less is better) | 同上 |
| 3〜4歳 | 1時間以下。少ないほどよい | 同上 |
出典=WHO|To grow up healthy, children need to sit less and play more(2019-04-24)
⛔ この指針の対象は5歳未満です。小学生については、この文書に推奨時間の記載はありませんでした。
なので「小学生は1日1時間まで」と言うことは、この資料からはできません。
ただ、WHOが画面時間の代わりにすすめているものは、はっきり書かれています。
読み聞かせ、語り聞かせ、歌、パズルのような、養育者とのやり取りがある活動です。
英語の家庭学習でいえば、絵本の読み聞かせと歌が、そのままここに当てはまります。
私は、下の子がまだ小さい家では、まず画面なしの形から選ぶことにしました。
子供の英語の家庭学習は、国の資料でも「家庭との連携」が前提になっている
家でやるのは親の勝手な上乗せだろうか、と思ったことがあります。
告示の総則には、こう書かれていました。
「児童の発達の段階を考慮して,児童の言語活動など,学習の基盤をつくる活動を充実するとともに,家庭との連携を図りながら,児童の学習習慣が確立するよう配慮すること」
学校側の配慮事項として、家庭との連携と学習習慣が、はじめから条文に入っています。
ここで書かれているのは「学習習慣が確立するよう」であって、「英語の点数が上がるよう」ではありません。
家庭学習に期待されているのは、成績より先に習慣のほうだと読めます。
だとすると、毎日同じ時間に同じことをする、という形そのものに意味があることになります。
中身を毎回変えて盛り上げようとすると、かえって条文の狙いから遠ざかります。
子供の英語の家庭学習にお金をかける前に見ておきたい数字
教材や塾を検討する前に、私は他の家がいくら使っているのかを調べました。
文部科学省の令和5年度 子供の学習費調査に、学習塾費の分布が載っています。
| 項目(公立小学校) | 調査結果 |
|---|---|
| 学習塾費の年間平均額 | 約7万5千円 |
| 学習塾費が0円だった割合 | 61.0% |
| 支出した家庭だけの年間平均額 | 約19万3千円 |
出典=文部科学省 令和5年度 子供の学習費調査(金額は保護者が実際に支出した額=税込の支払い実額です)
公立小学校では、6割の家庭が学習塾費0円でした。
これは英語だけの数字ではなく、塾全体の数字です。
それでも、「まわりはみんな通わせている」という感覚とは、だいぶ違いました。
お金をかけずに家でやっている家庭のほうが、数としては多数派です。
子供の英語の家庭学習について、よくある質問
Q. 何年生から始めればいいですか。
学校で英語が始まるのは3年生(外国語活動・年35単位時間)です。
それより前に家で何をするかについて、国が示した開始年齢の基準は見つかりませんでした。
Q. 1日何分が正解ですか。
公的資料に家庭学習の推奨時間はありませんでした。
分かっているのは、学校の外国語活動が週45分だということだけです。
Q. アルファベットを家で先に教えてもいいですか。
それを禁じる記述は告示にありませんでした。
3・4年で「読むこと」「書くこと」の領域が設定されていないのは事実なので、家で触れておく余地はあります。
Q. 動画で英語を見せるのはよくないことですか。
WHOの指針が数字を示しているのは5歳未満についてで、良い悪いを断じたものではありません。
同じ文書が、養育者と一緒の読み聞かせや歌をすすめている点は覚えておくと判断しやすいです。
今日、子供の英語の家庭学習について家で決められること3つ
最後に、今日のうちに決められることだけを書きます。
- ①埋める範囲を1つだけ選ぶ。 学年が3・4年なら「読む・書く」が学校の領域に入っていないので、文字と音に触れる時間にする。5・6年なら5領域そろっているので、学校で足りないと感じる領域を1つだけ選ぶ。
- ②時間ではなく「場所と順番」を決める。 何分やるかは公的な基準がないので決めようがない。朝ごはんの前、風呂上がり、のように1日の中の位置を固定する。告示が求めているのは学習習慣の確立なので、位置が決まれば形は満たせる。
- ③画面を使うかどうかを先に決めておく。 5歳未満の下の子が同じ部屋にいるなら、WHOの推奨にあたるので画面なしの形(絵本・歌)から選ぶ。小学生だけなら、この指針の対象外なので家のルールで決めてよい。
この3つは、教材を買わなくても、今日の夕方に決められます。
私は、決めるものを3つに絞ってから、ようやく続くようになりました。
子供の英語の家庭学習を調べるために開いた公式ページ
- 文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)PDF
- 文部科学省 小学校学習指導要領解説(外国語活動・外国語編)
- 文部科学省 学習指導要領「生きる力」
- 文部科学省 外国語教育
- 文部科学省 子供の学習費調査(令和5年度)
- WHO|To grow up healthy, children need to sit less and play more(2019-04-24)
- WHO|Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years of age
子供の英語の家庭学習に関する情報の確認日と免責
本記事の内容は、2026年9月12日に上記の公式ページと告示の本文を確認したものです。
制度・統計・公開資料は変わることがあります。
最新の情報は、それぞれの公式ページでご確認ください。
週あたりの時間は、告示の年間授業時数を年35週で割った計算値です。実際の時間割は学校ごとに異なります。
子どもの発達には個人差があります。
この記事は特定の学習方法の効果を保証するものではなく、公的資料に書かれていることと書かれていないことを整理したものです。
気になることがあるときは、学校の先生や、かかりつけの小児科など、お子さんを直接見ている方にご相談ください。
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