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子供の英語の発音は親のせい? 学習指導要領で「発音」を全件数えたら、正しい発音は0件だった

お風呂で子どもが「アポー」と言いました。

私の言い方が、そのまま出てきた音でした。

うれしいより先に、ひやっとしたのを覚えています。

私の英語の発音が悪いせいで、この子の発音まで固まってしまうんじゃないか、と思ったからです。

私は、その不安を自分の感覚で決めたくありませんでした。

なので、文部科学省が出している学習指導要領の告示を丸ごとテキストにして、「発音」という語で片っ端から数え直しました。

この記事に書いてあるのは、そこに書いてあったことと、書いていなかったことだけです。

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子供の英語の発音に、学習指導要領は「ネイティブのように」とは書いていない

先に結論を書きます。

私が読んだのは、文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)のPDFです。

このPDFは1冊で、教育基本法・幼稚園教育要領・小学校学習指導要領・中学校学習指導要領までまとめて収められています。

つまり、小学校と中学校の条文を同じ土俵で比べられる1冊です。

この1冊の中で「発音」は18件、「ネイティブ」は3件ありました。

では「正しい発音」は何件だったか。

0件でした。

「正確な発音」も0件、「流暢」も0件です。

数えた語件数どこに出てくるか
発音18外国語・外国語活動の条文に11件。残り7件は国語・音楽・理科(音の「発音体」)
ネイティブ33件とも「指導計画の作成」=先生の体制の話
強勢2小学校の外国語と中学校の外国語の「音声」に1件ずつ
イントネーション2同上
区切り4うち外国語は3件(残り1件は算数の「3桁ごとに区切り」)
アクセント8外国語は0件(国語に1件、音楽の記号名に7件)
正しい発音0—
正確な発音0—
流暢0—

出典=文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)(2026年9月12日に取得したPDFをテキスト化して数えました)

外国語の条文が発音の話をするときに使っているのは「アクセント」ではなく「強勢」でした。

「アクセント」のほうは、国語科と音楽科の言葉です。

言葉づかいが違うということは、求めていることも違う、ということでした。

子供の英語の発音について、指導要領が名指ししているのは5つだけ

小学校5年生・6年生の「外国語」には、〔知識及び技能〕の中に「音声」という項目があります。

そこに並んでいるのは、たった5つです。

記号条文がそのまま使っている言葉親の言葉にすると
(ア)現代の標準的な発音いま実際に使われている標準的な音
(イ)語と語の連結による音の変化単語と単語がつながると音が変わること
(ウ)語や句,文における基本的な強勢どこを強く言うか
(エ)文における基本的なイントネーション文の上がり下がり
(オ)文における基本的な区切りどこで切って言うか

「発音」は、5つのうちの1つでしかありません。

しかも、この5つの前には条件が1行ついています。

「次に示す事項のうち基本的な語や句,文について取り扱うこと」。

全部の語ではなく、基本的な語と句と文について扱う、と書いてあります。

私はここを読んで、力が抜けました。

国が小学生に求めているのは、基本的な語句の音を扱うところまでです。

子供の英語の発音の入り口は、小3・小4の「気付く」と「慣れ親しむ」

小学校3年生・4年生は「外国語活動」で、教科ではありません。

その目標の1つ目には、こう書かれていました。

「日本語と外国語との音声の違い等に気付くとともに、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむようにする」。

内容のほうにも、同じ趣旨の1行があります。

「英語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに、日本語との違いを知り、言葉の面白さや豊かさに気付くこと」。

動詞に注目してください。

「気付く」と「慣れ親しむ」と「知る」です。

「できるようにする」でも「身に付ける」でもありませんでした。

学年教科等年間の授業時数発音まわりで条文が使う動詞
小1・小2外国語の欄なし—条文なし
小3・小4外国語活動35単位時間気付く/慣れ親しむ/知る
小5・小6外国語70単位時間気付く/理解する/(基本的な語句について)取り扱う

出典=文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)(授業時数は別表第一。1単位時間は45分)

小3・小4の外国語活動は、35単位時間です。

年間35週で割ると、45分が週に1回という量になります。

週45分で到達させる目標が「ネイティブのような発音」であるはずがない、とも言えます。

子供の英語の発音に「ネイティブ」が出てくる3か所は、全部が先生の話だった

「ネイティブ」の3件は、前後ごと全部読みました。

3件とも、同じ言い回しの中にありました。

「ネイティブ・スピーカーや英語が堪能な地域人材などの協力を得る等、指導体制の充実を図る」という文です。

  • 小学校の外国語活動「指導計画の作成と内容の取扱い」
  • 小学校の外国語(5・6年)「指導計画の作成と内容の取扱い」
  • 中学校の外国語「指導計画の作成と内容の取扱い」

3件とも、主語は学校の側です。

子どもが目指す姿として「ネイティブ」が出てくる箇所は、この1冊に1件もありませんでした。

ネイティブ・スピーカーは、あくまで指導体制を厚くするための協力者として書かれています。

「ネイティブのように発音できるようにする」という趣旨の記述は、見つかりませんでした。

子供の英語の発音は、中学校に上がるとどこまで求められるのか

同じPDFに入っている中学校学習指導要領の「音声」も読みました。

並んでいる5項目は、小学校とまったく同じです。

違っていたのは、5項目の前にある1行のほうでした。

 「音声」の前置き中学校だけに足されているもの
小学校(5・6年)次に示す事項のうち基本的な語や句,文について取り扱うこと—
中学校次に示す事項について取り扱うこと(限定の一文なし)発音表記を補助として使える/発音と綴りとを関連付けて指導する

中学校では「基本的な語や句、文について」という限定が外れます。

そして、中学校の条文にだけ2つの記述が足されていました。

  • 「音声指導の補助として、必要に応じて発音表記を用いて指導することもできる」
  • 「発音と綴りとを関連付けて指導すること」

発音記号が条文の視野に入ってくるのは、小学校ではなく中学校でした。

小学校の段階で発音記号を親が教え込む必要は、条文の上では出てきません。

子供の英語の発音は、英検のCan-doリストにも1文字も出てこない

もう1つ、子どもが受けることの多い英検でも同じことをしました。

公益財団法人 日本英語検定協会が公開している英検Can-doリストの、5級・4級・3級・準2級のページをそれぞれ開いて数えました。

4つの級すべてで、「発音」は0件、「ネイティブ」も0件でした。

級推奨目安「聞くこと」のCan-do(要約)「発音」の語
5級中学初級程度ゆっくりかつはっきりと話されれば、短い話から必要な情報を聞き取れる0件
4級中学中級程度ゆっくりかつはっきりと話されれば、短い話の概要を捉えられる0件
3級中学卒業程度ゆっくりかつはっきりと話されれば、短い話の概要や要点を捉えられる0件
準2級高校中級程度ゆっくりかつはっきりと話されれば、その概要を捉えられる0件

出典=公益財団法人 日本英語検定協会 英検Can-doリスト/同 各級の目安(2026年9月12日に確認)

Can-doリストは「各級に合格するための技能別の目標となる英語力」を示したものだと、協会自身が説明しています。

その目標のどこにも、発音の良し悪しは書かれていませんでした。

子供の英語の発音より先に、指導要領も英検も「ゆっくりはっきり」と書いている

ここが、私がいちばん救われたところです。

小学校の外国語の「聞くこと」は、ア・イ・ウの3つとも同じ言葉で始まっていました。

「ゆっくりはっきりと話されれば」。

そして英検のCan-doも、5級から準2級まで「ゆっくりかつはっきりと話されれば」が入っていました。

国の条文と、民間の検定が、同じ条件を置いていたということです。

測られているのは、速いネイティブの音を追えるかどうかではありません。

ゆっくり、はっきり話されたときに分かるかどうかです。

「ゆっくり、はっきり」なら、日本語話者の親にもできます。

子供の英語の発音に親の発音が移るかどうかは、公的資料に書かれていなかった

ここは正直に書きます。

「親の発音が子どもに移る」とも「移らない」とも、書かれていませんでした。

学習指導要領にも、英検の公開ページにも、その論点そのものがありません。

見つからなかったことは、見つからなかったまま書きます。

その代わりに、条文から言い切れることだけ並べます。

  • 条文が求めている動詞は「気付く」「慣れ親しむ」「理解する」「取り扱う」だった
  • 小学校の「音声」は、基本的な語や句、文についての5項目に限定されていた
  • 親の発音の良し悪しを条件にした記述は、1件もなかった

むしろ条文は、日本語話者の側に立っていました。

「音声指導に当たっては、日本語との違いに留意しながら、発音練習などを通して」と書いてあります。

日本語と英語で音がどう違うのかに気付かせる、という設計です。

その「違い」は、日本語を話す親のほうがよく分かっています。

日本語話者であることは、条文の枠組みでは不利ではなく材料でした。

子供の英語の発音のために、今日、家で決められること

読み終えて、私が家でやることを3つに絞りました。

3つとも、条文にそのまま書いてあることだけです。

  • ゆっくり、はっきり言う。 指導要領の「聞くこと」も英検のCan-doも、そろってこの条件を前提に置いていたから
  • どこを強く言うかだけ、一緒に遊ぶ。 条文の言葉でいう「強勢」。単語のどこを強く言うかを当てっこするだけでいい
  • アルファベットの読み方を言えるようにする。 小学校の「読むこと」は「活字体で書かれた文字を識別し、その読み方を発音する」ことを目標にしているから

3つ目は、外国語活動の「聞くこと」にも同じ趣旨で出てきます。

「文字の読み方が発音されるのを聞いた際に、どの文字であるかが分かるようにする」という一文です。

文字の名前が言えて、聞けば分かる。ここが小学校の到達点として書かれていました。

この3つのどれにも、親の発音がネイティブかどうかは関係しません。

私は「アポー」でも構わない、と思えるようになりました。

条文が求めていたのは、きれいな音ではなく、違いに気付く経験のほうでした。

もちろん、ここに書いたのは公的資料に書かれていた範囲だけです。

発音の習得そのものについて、この記事は何かを保証するものではありません。

子供の英語の発音を確かめるために開いた公的資料と公式ページ

この記事で数字と引用の根拠にしたのは、次のページだけです。

子供の英語の発音に関する情報の確認日と免責

本記事の内容は、2026年9月12日に上記のPDFと公式ページを開いて確認したものです。

件数は、PDFをテキスト化して語を数えた結果です。

制度・告示・公開資料は変わることがあります。

最新の情報は、それぞれの公式ページでご確認ください。

子どもの発達には個人差があります。

この記事は特定の学習方法や教材の効果を保証するものではなく、公的資料に書かれていることと書かれていないことを整理したものです。

気になることがあるときは、園・学校の先生や、お子さんを直接見ている方にご相談ください。

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