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中学の英語のつまずきは制度側の段差。授業時数と語数を小学校と並べたら、どこで急に上がるのかが数字で出た

小学校の通知表では、外国語の欄がずっと良かった。

英語の歌もよく歌っていたし、授業も楽しいと言っていた。

それなのに、中学に入って最初のテストで急に点が取れなくなる。

そういう話を、上の学年のお母さんから何度も聞きました。

子どもの努力が足りないのか、それとも学校の英語そのものが途中で変わるのか。

私は、それを自分の感覚で決めたくなかったので、小学校と中学校の学習指導要領を2つ並べて、数字だけを拾い直しました。

この記事に書いてあるのは、2つの告示に書いてあったことと、書いていなかったことだけです。

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中学の英語でつまずくのは、制度側に段差があるから

先に結論を書きます。

小学校の外国語と中学校の外国語のあいだには、告示の数字で確かめられる段差が4つありました。

授業時数、語数、目標の書かれ方、そして「文法事項」という項目そのものです。

項目小学校5・6年中学校差
年間の授業時数70単位時間140単位時間2倍
1単位時間45分50分+5分
年間の合計時間3,150分(52.5時間)7,000分(約116.7時間)約2.2倍
扱う語数600〜700語程度(小3〜小6の4年間)新語1600〜1800語程度(3年間)1年あたり約3.4倍
目標の言葉コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力コミュニケーションを図る資質・能力限定する語が消える
「文法事項」の項目なし(項目名は「文及び文構造」)あり(項目名は「文,文構造及び文法事項」)新設

出典=文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)/文部科学省 中学校学習指導要領(平成29年告示)

この表を作ってから、私の見方は変わりました。

子どもが急に変わったのではなく、入れ物のほうが春に一段上がるということです。

ここから、1つずつ数字を見ていきます。

中学の英語は、授業時数が小学校のちょうど2倍になる

まず、時間の量です。

授業時数は、どちらの告示にも別表という形で載っていました。

学年教科等の名前年間の授業時数1単位時間週あたり
小1・小2外国語の欄なし—45分—
小3・小4外国語活動3545分約1コマ
小5・小6外国語7045分約2コマ
中1外国語14050分約4コマ
中2外国語14050分約4コマ
中3外国語14050分約4コマ

出典=小学校は別表第一、中学校は別表第二(どちらも学校教育法施行規則の別表として告示に収録)

年間35週で割ると、小5・小6は週2コマ、中学は週4コマです。

1コマの長さも45分から50分に伸びるので、週あたりの英語の時間は90分から200分になります。

週の英語時間が、春休みをはさんで2.2倍になる計算です。

もうひとつ、私が気になった数字があります。

年間の総授業時数は、小5・小6も中1〜中3も、どちらも1015単位時間で同じでした。

1日の長さは変わらないのに、そのなかで英語が占める割合だけが約6.9%から約13.8%へ倍になる、ということです。

他の教科の時間が減るわけではありません。

宿題や小テストを含めた家での負担も、同じ方向に動くと考えるのが自然だと思いました。

中学の英語のつまずきが一番はっきり出るのは「語数」

段差がもっとも大きいのは、時間ではなく語数でした。

ここは、校種を取り違えやすいところなので、告示の文をそのまま引きます。

  • 小学校=「第3学年及び第4学年において第4章外国語活動を履修する際に取り扱った語を含む 600〜700語程度の語」
  • 中学校=「小学校で学習した語に 1600〜1800語程度の新語を加えた語」

読み落としやすいのは、中学校側の「新語を加えた」という言い方です。

小学校の600〜700語を置き換えるのではなく、その上に積むと書かれています。

つまり中学卒業時点の語数は、合計で2200〜2500語程度になります。

区分期間告示に書かれた語数1年あたりの目安
小学校(小3〜小6)4年間600〜700語程度約150〜175語
中学校(中1〜中3)3年間新語1600〜1800語程度約533〜600語
合計(中学卒業時)7年間約2200〜2500語程度—

1年あたりで比べると、覚える語の量が3倍以上になります。

4年かけて600語だったペースから、1年で500語を超えるペースへ。

この切り替わりを、子どもは春休みの2週間ではさむだけです。

「単語が覚えられない」と中1の夏に言い出すのは、能力の問題というより、この傾きの変化だと私は受け取りました。

中学の英語では「読むこと」「書くこと」の目標の高さが変わる

領域の数だけを見ると、小5・小6も中学も同じ5領域です。

聞くこと、読むこと、話すこと[やり取り]、話すこと[発表]、書くこと。

数は同じですが、中身の文章がまったく別物でした。

特に差が大きかったのが、読むことと書くことです。

領域小学校5・6年の目標中学校の目標
読むこと活字体で書かれた文字を識別し、その読み方を発音する/音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現の意味が分かる簡単な語句や文で書かれたものから必要な情報を読み取る/短い文章の概要を捉える/社会的な話題の短い文章の要点を捉える
書くこと大文字・小文字を活字体で書く/音声で十分に慣れ親しんだ語句や表現を書き写す/例文を参考に書く簡単な語句や文を用いて正確に書く/まとまりのある文章を書く/考えたことや感じたこと、その理由などを書く
話すこと[やり取り]その場で質問をしたり質問に答えたりして伝え合う関心のある事柄について即興で伝え合う

出典=小学校学習指導要領 第2章第10節 外国語/中学校学習指導要領 第2章第9節 外国語

小学校の「書くこと」の中心は、書き写すことと例文を参考にすることでした。

見ながら写す、まねて埋める。

中学の「書くこと」には、その2つの条件が付いていません。

見ないで、正確に、まとまりのある文章を書く、に変わります。

読むことも同じで、小学校は「慣れ親しんだ語句の意味が分かる」まで。

中学は「初めて見る文章の概要と要点を捉える」ところまで届かせる書き方になっています。

ここが、定期テストで最初に点差になる場所だと私は考えています。

中学の英語から「文法事項」という項目が新しく立つ

私が一番おどろいたのは、項目名そのものの違いです。

小学校5・6年の内容で、言語材料の4つ目の項目名は「文及び文構造」でした。

中学校の同じ位置の項目名は「文,文構造及び文法事項」です。

「文法事項」という語が、中学校から加わります。

そして中学校の柱書には「小学校学習指導要領第2章第10節外国語第2の2の(1)のエ及び次に示す事項について」と書かれていました。

小学校でやった分を引き継いだうえで、下の表の中身が丸ごと足される構造です。

区分小学校5・6年(文及び文構造)中学校で新しく加わるもの
文単文/肯定・否定の平叙文/肯定・否定の命令文/be動詞やcan・doで始まる疑問文/who・what・when・where・why・howの疑問詞重文、複文/may・willなどの助動詞で始まる疑問文、orを含むもの、which・whoseで始まるもの/感嘆文
文構造[主語+動詞]/[主語+be動詞+補語]/[主語+動詞+目的語](名詞・代名詞)be動詞以外の動詞+補語/目的語が動名詞・to不定詞・that節・what節/[主語+動詞+間接目的語+直接目的語]/[主語+動詞+目的語+補語]/There+be動詞/It+be動詞+to不定詞
文法事項項目そのものがない関係代名詞(主格のthat・which・who、目的格のthat・whichの制限的用法)/接続詞/助動詞/前置詞/現在進行形・過去進行形・現在完了形・現在完了進行形/未来表現/比較表現/to不定詞/動名詞/現在分詞・過去分詞の形容詞用法/受け身/仮定法のうち基本的なもの

出典=小学校学習指導要領 第2章第10節 外国語 第2の2(1)エ/中学校学習指導要領 第2章第9節 外国語 第2の2(1)エ

右の列を、声に出して読んでみてください。

現在完了形も、受け身も、関係代名詞も、仮定法も、ぜんぶ中学校の欄に入っています。

小学校の欄には1つもありません。

子どもが「小学校では楽しかったのに中学で急に難しくなった」と言うのは、感想ではなく、告示の欄がそのまま変わっているということでした。

中学の英語では、目標の言葉から「素地」「基礎」が消える

数字ではありませんが、言葉の変化も段差の一部だと思ったので並べておきます。

目標の1文目に使われている言葉が、学年で3回変わっていました。

学年教科等領域の数目標に使われている言葉
小3・小4外国語活動3領域(聞く/話す[やり取り]/話す[発表])コミュニケーションを図る素地となる資質・能力
小5・小6外国語5領域コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力
中1〜中3外国語5領域コミュニケーションを図る資質・能力(限定する語なし)

素地、基礎、そして限定なし。

小学校のあいだは、目標のほうが「まだ素地です」「まだ基礎です」と言ってくれていたわけです。

中学からは、その保険の言葉が外れます。

もうひとつ、別表の作りにも違いがありました。

小3・小4の「外国語活動」は、別表第一のなかで各教科の授業時数の欄の外に置かれています。

小5・小6の「外国語」からは、国語や算数と同じ各教科の欄に入ります。

英語は、小3で始まって、小5で教科になって、中学でもう一段上がる。

3回ぶんの段差を、7年で登り切る設計になっていました。

中学の英語のつまずきは、学習塾費の形でも数字に出ている

告示から離れて、家計の側の統計も見ておきました。

文部科学省の令和5年度 子供の学習費調査に、学年別の学習塾費が載っています。

学年公立の学習塾費(年額・平均)
小学校5年106,550円
小学校6年145,161円
中学校1年133,647円
中学校2年213,759円
中学校3年341,220円

出典=文部科学省 令和5年度 子供の学習費調査(表6 学年別補助学習費)。金額は世帯が実際に支払った額(消費税を含む税込の支出)の平均です。

この表で、私の予想は外れました。

小6から中1にかけて、公立では学習塾費がいったん下がっています。

跳ね上がるのは中2と中3です。

中3は中1の約2.6倍でした。

授業時数と語数の段差は中1の4月に来るのに、家計が動くのは1〜2年あとだということです。

この調査は英語だけの数字ではないので、そのまま「英語でつまずいたから塾へ行った」とは言えません。

ただ、段差が来る時期と、家がお金で手当てする時期がずれていることは読み取れます。

中学の英語のつまずきについて、告示に書いていなかったこと

書いていなかったことも、そのまま書きます。

2つの告示のPDFを全文テキストにして、「つまずき」という語を機械で数えました。

小学校側1件、中学校側1件です。

しかもその1件は、どちらも同じPDFに収録されている幼稚園教育要領の、道徳性の芽生えに関する記述でした。

外国語の章には、つまずきという語は0件です。

  • 中学で英語につまずきやすい、という記述は見つかりませんでした
  • 小学校のうちに何ができていれば中学に対応できる、という到達基準も見つかりませんでした
  • 家庭が小6のあいだに何をすべきか、という指示も見つかりませんでした

告示は、学校が何を教えるかを決める文書です。

家で何をするかは、そもそも書く場所ではありません。

だから次のH2に書くことは、告示の引用ではなく、上の表の差から私が逆算したことです。

公的な裏付けがあるのは「差がここにある」という部分までで、「だからこうすべき」は私の判断だと、先に分けておきます。

小6のうちに家でできる、中学の英語への段差のならし方

表の差を、家でならせる形に置き換えると3つになりました。

1. 「書き写す」から「見ないで書く」へ1段だけ上げる

小学校の書くことの目標には「書き写す」「例文を参考に」という条件が付いていました。

中学の目標には、その条件がありません。

やることは、教科書の文を1回見て、閉じて、書くだけです。

1日1文で足ります。

我が家は、寝る前の1文にしました。

2. アルファベットの大文字・小文字と、語と語の区切り

小学校の告示には「大文字、小文字を活字体で書くことができるようにする」「語と語の区切りに注意して」「語順を意識しながら」という言い方が並んでいました。

つまり、ここは小学校で終わらせておく前提の部分です。

小文字のbとd、単語のあいだのスペース、文の最初の大文字。

この3つだけ、小6の3月に1回見てあげれば十分だと思います。

3. 音で知っている600〜700語を、文字でも見ておく

小学校の読むことの目標は「音声で十分に慣れ親しんだ」語句が分かるところまででした。

逆に言うと、音では知っているけれど文字では見たことがない語が、小6の3月時点でたくさん残っている状態が標準ということです。

中学の語数は、この600〜700語の上に1600〜1800語を積みます。

土台の語が文字で読めないまま積み始めると、最初の1年で差が開きます。

やることは、小学校の教科書の巻末の語のページを、音声と一緒に目で追うだけです。

新しい教材を買う必要はありません。

3つとも、1日5分で終わる範囲に収めました。

先取りで中学の文法をやらせることは、私は選びませんでした。

中学で新しく立つ文法事項の量は、上の表のとおり家庭で先回りできる量ではないからです。

ならすのは段差の手前の足場だけ、と決めたほうが、親も子も続きました。

中学の英語のつまずきについて、よくある質問

Q. 小学校の英語の成績がよければ、中学でもつまずきませんか。

そう書かれた公的資料は見つかりませんでした。

告示のうえでは、小学校の「書くこと」は書き写すまで、中学は見ないで正確に書くまでで、測っているものが違います。

Q. 中1の英語で最初につまずきやすいのはどこですか。

告示にその順番は書かれていません。

数字のうえで差が最大なのは語数(1年あたり約3倍以上)で、次が項目ごと新設される文法事項です。

Q. 小6のうちに塾へ入れたほうがいいですか。

学習費調査を見るかぎり、公立では小6から中1で学習塾費がいったん下がり、中2・中3で増えています。

ただしこれは全教科の平均額で、英語だけの内訳ではありません。

入れるかどうかの基準になる公的なデータは見つからなかったので、家庭ごとの判断になります。

Q. 中学の英語は週に何時間ありますか。

年間140単位時間、1単位時間50分なので、年35週で割ると週4コマ・200分が標準です。

中学の英語のつまずきを確かめるために開いた公式ページ

中学の英語のつまずきに関する情報の確認日と免責

本記事の数字は、2026年9月12日に上記の公式ページとPDFを開いて確認したものです。

授業時数と語数は、学習指導要領(平成29年告示)の本文と別表から直接拾いました。

週あたりのコマ数や1年あたりの語数は、年35週として私が割り算したものです。

告示に直接書かれている数字と、私が計算した数字は、上の各表で分けて示しました。

制度・統計・公開資料は改訂されることがあります。

最新の情報は、それぞれの公式ページでご確認ください。

子どもの学び方には個人差があります。

この記事は特定の学習方法の効果を保証するものではなく、2つの告示に書かれていることと書かれていないことを並べて整理したものです。

心配なことがあるときは、通っている学校の先生や、進学先の中学校にご相談ください。

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