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小学校の英語教育の実施状況を数字で読む。文部科学省の調査で分かるのは令和5年度が最後だった

参観日に、5年生の英語の授業を後ろから見ていました。

教室の前に立っていたのは、担任の先生と、外国人のALTの先生の2人でした。

隣のクラスのお母さんが「うちの学年、ALTの先生が来る回数が少ないらしいよ」と小さな声で言いました。

じゃあ、うちの学校は多いほうなのか、少ないほうなのか。

私は、そのもやもやを保護者同士の噂で決めたくなかったので、文部科学省が毎年出している「英語教育実施状況調査」を開いて、数字だけを読み直しました。

この記事に書いてあるのは、その調査に書いてあった数字と、もう調べられていないことだけです。

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小学校の英語教育の実施状況は、令和5年度の数字が最後の全国集計だった

先に結論を書きます。

文部科学省の「英語教育実施状況調査」で、小学校の状況がまとまった数字として出ているのは、令和5年度調査(調査実施基準日=令和5年12月1日)が最後でした。

その次の令和6年度調査、さらにその次の令和7年度調査は、どちらも調査対象が中学校と高等学校だけになっています。

調査調査実施基準日<調査対象>に書かれている学校種
令和5年度令和5年12月1日公立小学校・中学校・高等学校
令和6年度令和6年12月1日公立中学校・高等学校
令和7年度令和8年2月1日公立中学校・特別支援学校中学部・高等学校・特別支援学校高等部

出典=文部科学省 令和5年度「英語教育実施状況調査」の結果について/令和6年度/令和7年度

つまり、いま私たちが見られる小学校の全国数字は、2023年12月時点のものです。

ここから先は、その令和5年度調査に載っていた数字だけを並べていきます。

小学校の英語の授業時数は、制度としてはもう固まっている

数字を読む前に、前提だけ1つ置きます。

小学校の英語は、学習指導要領(平成29年告示)の別表第一で、授業時数が決められています。

学年名前年間の授業時数
小1・小2(設定なし)—
小3・小4外国語活動35単位時間
小5・小6外国語70単位時間

1単位時間は45分です。

出典=文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)別表第一

制度は全国一律ですが、これから見るとおり、中身の実施状況はまったく一律ではありませんでした。

小学校の英語を教えているのは誰か|担当教員163,475人の内訳

令和5年度調査の対象になった公立小学校は18,560校です。

その小学校で3〜6年の英語の授業を担当していた教師は、延べ163,475人でした。

担当している人延べ人数割合
学級担任88,439人54.1%
専科教師等(その小学校に所属)37,419人22.9%
他学級・他学年の担任(授業交換)16,517人10.1%
他の小学校に所属する教師10,474人6.4%
非常勤講師7,252人4.4%
中学校・高等学校に所属する教師2,448人1.5%
特別非常勤講師926人0.6%

半分強は、いまも学級担任の先生が教えています。

ここでいう「専科教師等」とは、外国語教育だけを担当する教師と、学級担任になっていない教師で外国語教育を担当する教師のことだと、調査票に書かれていました。

出典=文部科学省 令和5年度公立小学校における英語教育実施状況調査(集計結果・PDF)

小学校の3・4年と5・6年で、教える人の顔ぶれが変わる

同じ小学校の中でも、学年によって担当者の構成が違いました。

担当している人第3・4学年第5・6学年
延べ人数82,997人80,478人
学級担任60.7%47.3%
専科教師等20.0%25.8%
他学級・他学年の担任(授業交換)9.8%10.4%
他の小学校に所属する教師4.3%8.6%
中学校・高等学校に所属する教師0.8%2.3%

5・6年になると、学級担任が教える割合は47.3%まで下がり、半分を切ります。

代わりに専科教師等が25.8%、よその小学校から来る教師が8.6%まで増えていました。

令和4年度調査と比べると、3・4年の学級担任は64.4%から60.7%へ、5・6年は51.4%から47.3%へ、どちらも下がっています。

担任1人で抱える形から、複数の大人で分担する形へ、1年で少しずつ動いていました。

小学校の先生で英語の免許を持っているのは25,040人

次は、先生の側の資格です。

令和5年度調査では、調査対象になった小学校の教師349,240人のうち、中学校・高等学校の英語免許状を持っている教師は25,040人でした。

割り算をすると、全体の7.2%にあたります。

この人数自体は、調査のたびに増えていました。

調査年度英語免許状を持つ小学校教師
平成28年度17,749人
平成29年度18,801人
平成30年度20,182人
令和元年度21,221人
令和3年度23,080人
令和4年度24,008人
令和5年度25,040人

7年で7,291人増えた計算になります。

この表に令和2年度がないのは、概要資料の折れ線グラフにその年の点が置かれていなかったからです。

小学校で英語を教える先生のうち、CEFR B2相当以上は3,683人

免許より、もう一段きびしい数字がありました。

令和5年度調査は、小学校に所属して3〜6年で英語の授業を行っている教師のうち、外部試験を受けてCEFR B2レベル相当(英検準1級など)以上を取得している人数を聞いています。

項目人数
対象教師数85,847人
うちCEFR B2レベル相当以上を取得3,683人

割合にすると4.3%です。

参考までに、同じ令和5年度調査で中学校の英語担当教師の平均値は44.8%、高等学校は80.7%でした。

小学校の英語は、英語の専門家が教える前提では設計されていない、ということが数字に出ています。

だからこそ、次に見るALTの人数が効いてきます。

小学校に参画しているALTは11,851人。前年より566人減っていた

令和5年12月1日時点で、小学校の授業に参画していたALT等は11,851人でした。

令和4年度調査の12,417人から、566人減っています。

契約・任用の形人数割合
JETプログラム2,616人22.1%
自治体が独自に直接任用2,735人23.1%
労働者派遣契約4,048人34.2%
その他(請負契約・地域人材など)2,452人20.7%
合計11,851人100%

小・中・高を重複なしで足した純計は18,127人で、こちらも令和4年度の19,251人から1,124人減っていました。

ALTは増え続けているイメージがありましたが、この年は減っていました。

出典=文部科学省 令和5年度 ALT参画人数(小中高)及び小学校 都道府県別一覧表(PDF)

小学校の授業に、ALTはどれくらいの割合で入っているか

人数だけでなく、「英語の総授業時数のうち何%にALTが入ったか」も学校ごとに聞かれていました。

回答した学校数は、次のとおりです。

ALTが入った授業時数の割合第3・4学年第5・6学年
75〜100%10,309校7,633校
50〜74%3,282校5,745校
25〜49%2,856校2,970校
1〜24%1,631校1,902校
0%428校286校

3・4年では10,309校、つまり過半数の学校が、授業の75%以上にALTが入っていると答えています。

一方で、5・6年の75〜100%は7,633校まで下がり、代わりに50〜74%が5,745校に増えていました。

年間の授業時数が35単位時間から70単位時間へ倍になる5・6年のほうが、ALTの入る「率」は下がる形になっています。

そして、ALTが1時間も入らない(0%)と答えた学校も、3・4年で428校、5・6年で286校ありました。

ALTが何をしているかについては、概要資料に活動別の割合が載っています。

  • 児童のやり取りの相手になる|小学校の97.6%
  • 発音のモデル・発音指導|97.5%
  • 教師とのやり取りを児童に示すモデル提示|97.5%
  • 児童の発言や作文へのコメント・フィードバック|89.2%
  • パフォーマンステスト等の補助|75.1%
  • 授業以外の授業や学校行事での交流|56.6%
  • クラブ・個別指導など授業外の教育活動|33.3%

発音とやり取りの相手はほぼ全校で担っている一方、授業の外で子どもと関わる学校は半分前後でした。

小学校の英語の授業は、何にどれだけ時間を使っているか

授業の中身についても、数字が出ていました。

まず、授業時間のうち児童が英語で言語活動をしている割合です。

授業の半分以上の時間を言語活動にあてていると答えた小学校は94.4%でした(令和4年度は91.9%)。

その内訳は、75%以上が55.6%、50%以上75%未満が38.7%です。

次に、言語活動の時間全体を10としたときの、領域ごとの配分です。

領域小学校全体第5学年第6学年
聞くこと2.642.712.58
読むこと1.331.321.35
話すこと[やり取り]2.852.932.77
話すこと[発表]1.901.861.94
書くこと1.271.191.36

「話すこと」の2つを足すと4.75で、言語活動のほぼ半分が話す活動でした。

参考までに、中学校は3.64、高等学校は3.20です。

また、話すことを評価するパフォーマンステストの実施回数は、小学校で平均7.9回でした。

中学校の5.2回、高等学校の2.8回より多く、小学校がいちばん多く実施しています。

ICT機器の活用では、1人1台端末を使った授業が96.4%、学習者用デジタル教科書を使った授業が82.1%でした。

一方、遠隔地の子どもと英語で交流する活動は12.9%、遠隔地の英語に堪能な人と個別に会話する活動は5.2%にとどまっています。

小学校の英語の実施状況は、住んでいる自治体で差がある

ここがいちばん、保護者の実感と噛み合う部分だと思いました。

都道府県・指定都市ごとの一覧表を見ると、同じ項目でも数字がかなり開いていました。

項目(5・6年)全国いちばん低い自治体いちばん高い自治体
言語活動が授業の半分以上の学校の割合94.4%佐賀県 85.0%岐阜県・和歌山県・さいたま市・神戸市 100.0%
CAN-DOリスト形式の学習到達目標を設定している学校の割合84.4%横浜市 46.6%京都市・大阪市・神戸市・岡山市・広島市・福岡市など 100.0%

CAN-DOリストの設定率は、いちばん低い自治体といちばん高い自治体で2倍以上の開きがありました。

ALTの中身にも差があります。

小学校のALTのうちJETプログラムによる人の割合は、全国では22.1%でしたが、神戸市は98.8%、長崎県は87.1%でした。

反対に、横浜市・名古屋市・大阪市・福岡市・千葉市・川崎市などは0.0%で、JET以外の形でALTを確保しています。

どちらが良い悪いという話ではなく、同じ「小学校の英語」でも、自治体ごとに組み立て方が違うということです。

小学校の英語教育の実施状況を見て、今日、家で決められること

数字をひととおり読んで、私が家でやろうと決めたことは3つでした。

  • 誰が教えているかを、噂ではなく学校に聞く。担任なのか専科なのか、5・6年で変わるのかは、学校だよりや懇談会で確かめられます。
  • ALTが入る回数を、年間の授業時数に対する割合で考える。週1回来ているかどうかより、35時間・70時間のうち何回かで見たほうが、全国の数字と比べられます。
  • 家では「話すこと」を足しにいかない。学校の言語活動はすでに半分近くが話す活動なので、家では読む・書くの時間を少し置くほうが、ぶつかりにくいと判断しました。

そして、いちばん大事だと思ったのは、令和6年度以降は小学校の全国数字が出ていないという事実のほうでした。

全国平均と比べる材料は、いまのところ令和5年度で止まっています。

だから、目の前の学校の状況は、学校に直接聞くしかありません。

小学校の英語教育の実施状況について読んだ資料の一覧

小学校の英語教育の実施状況に関する確認日と免責

本記事の数字は、2026年9月12日に上記の文部科学省のページとPDFを開いて確認したものです。

割合のうち、7.2%・4.3%と表中の一部は、公表されている実数から私が割り算して出したものです。

調査は毎年公表されるため、今後の年度で小学校が再び対象に入る可能性があります。

最新の公表状況は、文部科学省のページでご確認ください。

お子さんの学校の実施状況は、全国の数字とは異なります。気になることは、担任の先生や学校にご相談ください。

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