小学6年生の子が3級に挑戦することになって、「どのくらいの人が受かるの?」と聞かれました。
私も知りたくて検索したのですが、出てくる数字がページごとに違っていました。
同じ「3級の合格率」なのに、あるページは50%台、あるページは60%台で、どれも出典が書かれていませんでした。
そこで、数字を拾い集めるのをやめました。
試験を運営している公益財団法人 日本英語検定協会が、そもそも合格率を出しているのかどうかを、公式サイトを機械で数えて確かめました。
この記事に書いてあるのは、協会が公式サイトに書いていたことと、書いていなかったことだけです。
英検3級の合格率は、協会の公式ページ26枚を機械で数えても0件だった
先に結論を書きます。
協会のページ26枚をテキストにして、「合格率」「合格者数」「受験者数」という語を機械で数えました。
3つとも、26ページ合計で0件でした。
数えたのは、3級の過去問・試験内容/3級の試験内容/各級の目安/各級の審査基準/英検Can-doリスト/英検CSEスコアのご紹介/英検CSEスコアでの合否判定方法/受験の状況/試験日程・受験案内/申込/検定料/試験時間/受験票のお届けなどのページです。
つまり、私が開いた範囲では、協会は3級の合格率を数字で公開していませんでした。
公開されているものと、公開されていないものを、先に分けておきます。
| 協会が数字で公開しているもの | 協会が数字で公開していないもの(26ページで0件) |
|---|---|
| 各級の合格基準スコア(英検CSEスコア) | 級ごとの合格率 |
| 各級の技能ごとの満点スコア | 級ごとの受験者数・合格者数 |
| 学校種別の志願者数(小学校以下/中学・高校ほか) | 学年別・級別の合格率 |
| 2016年度第1回一次試験での正答率の目安 | 合格に必要な正答数 |
代わりに協会が置いているのが、合格基準スコアという固定の数字でした。
英検3級の合否は、1103という固定されたスコアで決まる
協会は「各級の合格基準スコア」を表で公開しています。
3級の行を含めて、子どもが受けやすい級だけ抜き出します。
| 級 | 一次試験の合格基準スコア | 測定技能 |
|---|---|---|
| 3級 | 1103 | Reading/Listening/Writing |
| 4級 | 622 | Reading/Listening |
| 5級 | 419 | Reading/Listening |
| 準2級 | 1322 | Reading/Listening/Writing |
協会は同じページで「各級の合格基準スコア(英検CSEスコア)は変動しません」と書いています。
別のページでは「各級の合格基準スコア(英検CSEスコア)は固定されています」という書き方もしていました。
その理由も添えられています。
「違う回に同じ級を受験した方の結果や同じ回に別々の級を受験した方の結果も、明確な数値で比較することができます」というのが協会の説明でした。
つまり3級は、その回に何人受かったかで線が動く試験ではありません。
上位から何割という決め方ではないので、合格率という数字がそもそも合否の基準になっていないということです。
英検3級の満点スコアは技能ごとに550点で、問題数とは連動しない
協会は「各級の技能ごとの満点スコア」も公開しています。
| 級 | 技能ごとの満点スコア |
|---|---|
| 3級 | 550点 |
| 4級 | 500点 |
| 5級 | 425点 |
| 準2級 | 600点 |
3級の一次試験は3技能で判定されるので、満点は550点×3=1650点になります(協会の数字から出した計算値)。
合格基準の1103は、その1650のうち約66.8%にあたります(計算値)。
ただし、このパーセントは「正答率が66.8%なら受かる」という意味ではありません。
協会は「技能ごとに問題数は異なりますが、問題数に関係なく、各技能にスコアを均等に配分しています」と書いています。
3級のライティングは2問しかないのに、リーディングの30問と同じ550点ぶんの重さを持っているということです。
協会はこれを「技能ごとに1問あたりのスコアへの影響は異なります」と説明しています。
同じ技能のなかでは、どの問題で正解してもスコアへの影響は同じだとも書かれていました。
英検3級のスコアは、同じ正答数でも回によって変わると協会が書いている
ここが、合格率という数字が出てこない理由の中心でした。
協会は「スコアは各回の全答案採点後、統計的手法(Item Response Theory)を用いてスコアを算出しているため、受験者の皆さまがご自身の正答数でスコアを算出することはできません」と書いています。
Item Response Theoryについても、協会自身が注釈を付けていました。
「テストにおける受験者の応答パターンを用いて、形式や難易度が異なるテストの結果を比較するための理論です」という説明です。
だから協会は、はっきり「正答数の目安を提示することはできません」と書いています。
「何問取れば受かる」という数字が公式に出てこないのは、出し惜しみではなく仕組みの問題でした。
合格ラインまでの距離を見るための仕組みは、別に用意されています。
それが「英検バンド」で、合格基準スコアを起点にスコアを25点刻みに区切り、上回った側は+1、+2、下回った側は数字の前に「−」が付く形で成績表に表示されます。
英検3級で協会が唯一出している正答率の目安は「各技能6割程度」
正答数は出せないと書いたうえで、協会は1か所だけ実績の数字を載せていました。
「2016年度第1回一次試験では、1級、準1級は各技能での正答率が7割程度、2級以下は各技能6割程度の正答率の受験者の多くが合格されています」という一文です。
3級は「2級以下」に含まれるので、6割程度のほうです。
ただし、この一文には条件が3つ付いています。
- 2016年度第1回という、特定の1回の結果である
- 「多くが合格されています」であって、「6割取れば合格」ではない
- 合計の正答率ではなく「各技能」の正答率である
協会はこの数字を出す直前に「合格するためには、技能のバランスが重要になります」という見出しを置いています。
1つの技能だけ突出していても届かない、という設計だということです。
英検3級の一次試験は、リーディング・ライティング・リスニングの3技能で判定する
スコアの話を、実際の問題数に重ねておきます。
| 技能 | 形式・課題 | 問題数 |
|---|---|---|
| リーディング | 短文の語句空所補充/会話文の空所補充/長文の内容一致選択 | 15/5/10 |
| ライティング | Eメール(返信メールを英文で書く)/英作文(質問に対する意見を論述) | 1/1 |
| リスニング | 会話の応答文選択/会話の内容一致選択/文の内容一致選択 | 10/10/10 |
リーディング30問、ライティング2問、リスニング30問で、一次試験は合計62問です(協会の表の問題数を足した計算値)。
時間はリーディング・ライティングで65分、リスニングが約25分と書かれています。
ここで、5級・4級から変わる点が1つありました。
3級のリスニング第1部「会話の応答文選択」は、協会の表に「放送回数1回」と書かれています。
5級と4級は3つの形式すべてが放送回数2回でした。
3級で初めて、1回しか流れない10問が登場します。
合格率を探すより、この「放送回数1回」の10問をどう扱うかを決めるほうが、家でできることに直結していました。
英検3級の二次試験の合格基準スコアは353で、スピーキングだけで判定する
3級から面接形式の二次試験が加わります。
協会は「二次試験はスピーキングのスコアのみで判定いたします」と書いていて、3級の二次試験の合格基準スコアは353でした。
スピーキングの満点スコアも550点なので、353は約64.2%にあたります(計算値)。
二次試験の中身も、協会が表にしています。
- 形式=英語での面接、約5分、個人面接(面接委員1人)
- 音読=30語程度のパッセージを読む(1問)
- パッセージについての質問(1問)/イラストについての質問(2問)/受験者自身のことなど(2問)
- 評価の観点=応答内容、発音、語い、文法、語法、情報量、積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度など
協会は聞き返しについても「自然な流れの中で行われた『聞き返し』なら、減点の対象にはなりません」と明記しています。
ただし、不自然に行われたり繰り返し聞き返したりした場合は減点の対象になる、とも続けて書かれていました。
黙読の時間も決まっていて、問題カードを受け取ったあとの黙読は20秒間です。
英検3級を受けた小学生の人数も、級別には公表されていない
合格率が無いなら、せめて何人受けたのかを知りたくなります。
協会は「受験の状況」というページで、志願者数を学校種別に公開していました。
| 年度 | 小学校以下 | 中学・高等学校(高専含む) | 合計 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 516,844人 | 3,144,528人 | 4,543,122人 |
| 2024年度 | 547,536人 | 3,123,527人 | 4,489,999人 |
| 2023年度 | 551,604人 | 3,259,884人 | 4,503,698人 |
この表は級別に分かれていないので、小学校以下の516,844人のうち何人が3級だったのかは分かりません。
協会は但し書きも付けていました。
「実用英語技能検定、英検IBA、英検Jr. の志願者数の合算」であり、集計方法を統一したため過去の数値と差異が生じる場合がある、という内容です。
つまりこの数字は「英検3級を受けた小学生の数」ではなく、英検Jr.も含んだ小学校以下の志願者の合計でした。
合格率を計算するのに必要な分母も分子も、公式には出ていません。
英検3級の「合格率◯%」という数字を見かけたときに確かめること
それでも、合格率を書いているページはたくさんあります。
見かけたときに私が確かめるようにしたのは、この3つです。
- いつの数字か。協会が級別の合格率を公表していない以上、何年度・第何回の数字なのかが書かれていなければ検証できません
- 一次だけの数字か、二次まで通した数字か。3級は一次と二次で合格基準スコアが別(1103と353)なので、どちらを指すかで意味が変わります
- 誰の集計か。協会のページに出典リンクが張られていなければ、そのページ独自の推計である可能性があります
合格率が分からないことは、家の勉強にとって困ることではありませんでした。
協会が公開しているのは、合格率よりも具体的な数字だからです。
何問出るか、何分か、どの技能が何点ぶんの重さを持つか、どこが1回しか放送されないか。
どれも、他人が何%受かったかより、目の前の子の準備に直接つながる数字でした。
今日、英検3級のために家で決められること
調べ終わって、家で今日決められることは3つでした。
- 合格率を探すのをやめて、3級の一次は3技能で判定されることを紙に書く。リーディング30問とライティング2問が同じ550点ぶんの重さです
- リスニング第1部の10問だけ、音源を1回しか流さずに解かせる。協会の表に「放送回数1回」と書かれているのはここだけです
- 二次試験があることを先に伝える。約5分の個人面接で、30語程度の音読と5つの質問という中身まで公開されています
この3つは、どれも協会が公開している表に書かれていることだけを根拠にしています。
足し算や割り算をした数字には、本文中に「計算値」と書き添えました。
「0件」と書いたものは、公式ページをテキストにして機械で検索した結果です。
スコアや形式は改定されることがあるので、受験の前には協会のページで最新の表記をご確認ください。
この記事は合否を保証するものではなく、協会が公開している資料に書かれていることと書かれていないことを整理したものです。
お子さんの進み方で気になることがあるときは、ふだん見てくださっている先生にもご相談ください。
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