MENU

小学生の英語の勉強法を、授業時数と語数から逆算する。学習指導要領に書いてあることだけで組み立てた

小学4年生の子が、学校から持ち帰った時間割に「外国語活動」と書いてありました。

週に1回、英語らしきものをやっているらしい、というところまでは分かりました。

では家では何を足せばいいのか、というところで完全に手が止まりました。

検索して出てくる「毎日15分」「単語を1日5個」といった数字には、どれも出どころが書かれていませんでした。

そこで、自分の感覚で家の勉強を決めるのをやめて、文部科学省が告示している小学校学習指導要領を開いて読み直しました。

この記事に書いてあるのは、告示に書いてあったことと、全文を機械で数えて書いていなかったことだけです。

TOC

小学生の英語の勉強法は、国が決めた授業時数と語数から逆算できる

先に結論を書きます。

小学校で英語に使える時間と、扱う語の数と、学年ごとの目標は、すべて数字と文章で公開されています。

だから「学校でどこまでやるのか」を親が推測する必要はありません。

家でやることは、その数字の外側に残っているところを埋めるだけで決まります。

  • 国が数字で決めているもの=授業時数(別表第一)/1単位時間の長さ/扱う語の数
  • 国が文章で決めているもの=学年ごとの目標(聞く・読む・話す・書くの領域別)
  • 国が決めていないもの=家庭学習の分量(後述のとおり、全文を数えて0件でした)
  • この記事で置き換えたもの=領域別の目標を、家の机と台所でできる作業に直したもの

まず、小学校の英語の全体像を1枚にしておきます。

学年名前年間の授業時数領域の数
第1学年・第2学年設定なし--
第3学年・第4学年外国語活動35単位時間3領域
第5学年・第6学年外国語70単位時間5領域
出典=文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」別表第一および第2章第10節・第4章(2026年9月16日に閲覧)

名前が「外国語活動」から「外国語」に変わる小5が、家の関わり方を変える一番大きな線です。

英語の授業は小3から。外国語活動が35時間、外国語が70時間

授業時数は、小学校学習指導要領に載っている別表第一に書かれています。

外国語活動の授業時数は、第3学年が35、第4学年が35です。

外国語の授業時数は、第5学年が70、第6学年が70です。

同じ表の備考に「この表の授業時数の一単位時間は、四十五分とする」と書かれています。

第1学年と第2学年には、外国語活動も外国語も欄がありません。

つまり、低学年で英語をやっていないことを心配する根拠は、この表の中にはありません。

同じ表には、学年ごとの総授業時数も載っています。

学年総授業時数外国語活動・外国語総授業時数に占める割合
第3学年98035(外国語活動)約3.6%
第4学年101535(外国語活動)約3.4%
第5学年101570(外国語)約6.9%
第6学年101570(外国語)約6.9%
出典=文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」別表第一。右端の割合は当記事で割り算した計算値です

いちばん多い第5学年・第6学年でも、学校の全授業のうち英語にあたるのは7%ほどという計算になります。

小学校で英語に使う時間は、4年間で157時間30分という計算になる

ここからは、告示の数字を使った割り算です。

第3学年から第6学年までの合計は、35+35+70+70で210単位時間になります。

1単位時間が45分なので、210×45で9,450分、時間になおすと157時間30分です(いずれも計算値)。

小3・小4は年35単位時間なので、1年を35週とすれば週1コマ、時間にして週45分という配分になります。

小5・小6は年70単位時間なので、同じ数え方で週2コマ、週90分です。

この「週45分」「週90分」という幅を知ってから、家で足す時間を決めるのと、知らずに決めるのとでは、話がまったく違いました。

週45分の授業に対して、家で毎日30分を足すのは、学校の4倍以上を家でやることになります。

家庭の分量をどうするかは各家庭の判断ですが、その判断材料になる数字は、告示の中にすでにありました。

小3・小4の英語は「聞く」と「話す」だけ。読み書きは目標に入っていない

小学校学習指導要領の第4章が、外国語活動です。

その第1の目標には、こう書かれています。

「外国語による聞くこと、話すことの言語活動を通して、コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す」

並んでいるのは、聞くことと話すことの2つだけです。

そして最後が「素地」という言葉で止まっています。

領域も、聞くこと/話すこと[やり取り]/話すこと[発表]の3つだけです。

目標の書き方も、小5以降とは語尾が違いました。

領域外国語活動(小3・小4)の目標の一部
聞くことゆっくりはっきりと話された際に、自分のことや身の回りの物を表す簡単な語句を聞き取るようにする。
話すこと[やり取り]基本的な表現を用いて挨拶、感謝、簡単な指示をしたり、それらに応じたりするようにする。
話すこと[発表]身の回りの物について、人前で実物などを見せながら、簡単な語句や基本的な表現を用いて話すようにする。
出典=文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」第4章外国語活動 第2 英語 1 目標(2026年9月16日に閲覧)

語尾がすべて「〜するようにする」で、「〜できるようにする」ではありません。

文字については、「文字の読み方が発音されるのを聞いた際に、どの文字であるかが分かるようにする」とだけ書かれていました。

聞いて文字が分かる、までで、書く話は出てきません。

小5・小6の英語は5つの領域に増え、「読む」「書く」が加わる

第2章第10節が、教科としての外国語です。

第1の目標は、こうなっています。

「外国語による聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動を通して、コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す」

2つだったものが4つに増え、「素地」が「基礎」に変わりました。

領域は、聞くこと/読むこと/話すこと[やり取り]/話すこと[発表]/書くことの5つです。

増えた2つ、つまり読むことと書くことが、家庭でいちばん困る場所でした。

そこで、増えた2領域の目標をそのまま書き出します。

  • 読むこと ア=活字体で書かれた文字を識別し、その読み方を発音することができるようにする。
  • 読むこと イ=音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現の意味が分かるようにする。
  • 書くこと ア=大文字、小文字を活字体で書くことができるようにする。また、語順を意識しながら音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を書き写すことができるようにする。
  • 書くこと イ=自分のことや身近で簡単な事柄について、例文を参考に、音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を用いて書くことができるようにする。

4つのうち3つに「音声で十分に慣れ親しんだ」という条件が付いています。

読む前に音があり、書く前に音がある、という順番が目標の文に埋め込まれていました。

小学校の英語で扱う語は600〜700語程度。中学校の1600〜1800語とは別に数える

語の数は、第5学年及び第6学年の内容に書かれています。

「第3学年及び第4学年において第4章外国語活動を履修する際に取り扱った語を含む600〜700語程度の語」という書き方です。

小3・小4で出てきた語も、この600〜700語の中に入っているということです。

一方、中学校学習指導要領(平成29年告示)のほうには、別の数字が書かれています。

校種告示の書き方
小学校(第5学年・第6学年)第3学年及び第4学年において第4章外国語活動を履修する際に取り扱った語を含む600〜700語程度の語
中学校小学校で学習した語に1600〜1800語程度の新語を加えた語
出典=文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」「中学校学習指導要領(平成29年告示)」(2026年9月16日に閲覧)

中学校の1600〜1800語は「新語を加えた」数なので、小学校の600〜700語とは別に数える書き方になっています。

同じ内容の欄には、語以外のものも並んでいました。

連語は「get up、look at などの活用頻度の高い基本的なもの」と例示されています。

慣用表現は「excuse me、I see、I’m sorry、thank you、you’re welcome などの活用頻度の高い基本的なもの」と、5つそのまま名前で挙がっていました。

この5つは、家の中で今日から使える言葉です。

英語の「書くこと」のゴールは、音声で慣れた表現を書き写すところまで

小学校の外国語で、書くことに求められているのは2つでした。

大文字と小文字を活字体で書けること。

そして、音声で十分に慣れ親しんだ表現を、語順を意識しながら書き写せること。

「書き写す」と書かれているので、何も見ずに自力で書き起こすところまでは求められていません。

イのほうにも「例文を参考に」という条件が付いています。

白紙に英作文を書かせる練習は、小学校の目標の外側にある、ということになります。

文と文構造の欄にも、同じ趣旨のことが書かれていました。

「日本語と英語の語順の違い等に気付かせるとともに、基本的な表現として、意味のある文脈でのコミュニケーションの中で繰り返し触れることを通して活用すること」

文法の名前を覚えさせる、という書き方はどこにもありませんでした。

学習指導要領に英語の家庭学習の分量は書かれていない(全文を数えて0件)

ここが、いちばん知りたかったところです。

家では1日何分やればいいのか、という数字です。

小学校学習指導要領(平成29年告示)の全文をテキストにして、機械で語を数えました。

数えた語件数
家庭学習0件
宿題0件
予習0件
復習0件
塾0件
保護者15件
2026年9月16日に、文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」の全文をテキスト化して当記事が数えた結果です

家庭学習・宿題・予習・復習・塾は、いずれも0件でした。

つまり、家で何分やるべきかという基準は、告示の中には存在しません。

「これだけやらないと遅れる」という数字を国が出していない以上、その数字はどこかの誰かが決めたものだということになります。

私はこれを知ってから、分量を追いかけるのをやめました。

授業時数から逆算した、家庭で足す英語の勉強法

ここからは、告示の文を家の作業に置き換えたものです。

置き換えたのは当記事なので、告示に書いてあることではありません。

学年告示が求めていること家でやる形に置き換えると
小3・小4ゆっくりはっきり話された語句を聞き取る親がゆっくり言った単語を、子が同じ速さで返す
小3・小4挨拶、感謝、簡単な指示をしたり応じたりする朝と夜の挨拶と、ありがとうだけ英語にする
小3・小4文字の読み方が発音されるのを聞いて、どの文字か分かるアルファベットを1文字ずつ読み上げ、その文字を指させる
小5・小6活字体で書かれた文字を識別し、読み方を発音する家にある英語表記のパッケージを1つ、声に出して読ませる
小5・小6音声で十分に慣れ親しんだ表現を、語順を意識して書き写す耳で覚えた1文を、見ながら3回書き写す
小5・小6例文を参考に、自分のことについて書く例文の名前と好きなものだけ入れ替えて書かせる
左と中央は文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」の記載。右端は当記事で家庭用に言い換えたものです

どの行も、先に音があって、あとから文字が来る順番で並べました。

告示の目標文の3つに「音声で十分に慣れ親しんだ」と書かれていたからです。

逆に言えば、音を飛ばして書き取りから始める練習は、告示の順番とは逆向きになります。

今日、家で小学生の英語について決められること

調べ終わって、家で今日決められることは3つでした。

  • 子どもの学年を別表第一に当てはめて、学校で英語に使われている時間を紙に書く(小3・小4は年35単位時間、小5・小6は年70単位時間、1単位時間45分)
  • 小3・小4なら、書かせるのをやめて、聞くことと話すことだけにする。告示の目標に読むことと書くことが入っていないため
  • 小5・小6なら、excuse me、I see、I’m sorry、thank you、you’re welcome の5つを家の会話に入れる。告示が名前で挙げている慣用表現のため

この3つは、どれも告示に書かれていることだけを根拠にしています。

足し算や割り算をした数字には、本文中に「計算値」と書き添えました。

「0件」と書いたものは、原文をテキストにして機械で検索した結果です。

学習指導要領や授業時数は改定されることがあるので、最新の表記は文部科学省のページでご確認ください。

この記事は特定の学習方法の効果を保証するものではなく、告示に書かれていることと書かれていないことを整理したものです。

お子さんの進み方で気になることがあるときは、学校の先生など、直接見ている方にご相談ください。

この記事を書くために開いた出典

Let's share this post !

Author of this article

Comments

To comment

TOC