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小学生の英語の塾を決める前に、学習塾費の実額と契約のルールを公的資料で確かめた

小学3年生の子が、友だちが通っている英語の塾に行きたいと言い出しました。

体験の帰りに渡された紙には、月々の金額と「年間一括でお得」という案内が書いてありました。

相場が分からないので高いのか安いのかも判断できず、その場でうなずきそうになりました。

持ち帰って、いったん止めることにしました。

調べる先を2つに絞りました。ひとつは文部科学省の学習費調査、もうひとつは消費者庁の契約のルールです。

この記事に書いてあるのは、その2つの公的資料に書いてあったことと、書いていなかったことだけです。

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小学生の英語の塾を決める前に、公的資料で確かめた2つのこと

先に結論を書きます。

確かめるのは「よその家がいくら払っているか」と「契約を途中でやめるときに何が起きるか」の2つでした。

前者は文部科学省の「令和5年度 子供の学習費調査」に、金額の平均が学年別まで載っています。

後者は消費者庁が説明している特定商取引法の特定継続的役務提供という枠組みに書かれています。

  • 金額の相場=文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」の学習塾費・その他の学校外活動費
  • 契約の枠組み=消費者庁「特定継続的役務提供」(語学教室・学習塾・家庭教師が対象に入っている)
  • 途中でやめるとき=クーリング・オフ(8日)と中途解約(上限額が政令で決まっている)

この2つを先に見ておくと、体験の帰りに渡される紙が「安いか高いか」ではなく「対象の契約かどうか」で読めるようになります。

順番に書いていきます。

英語の塾も含めた学習塾費は、公立小学校で年7万5194円だった

文部科学省の学習費調査には、学習塾費という項目があります。

令和5年度の調査で、小学校の学習塾費は公立が年7万5194円、私立が年25万9492円でした。

この金額は、塾に通っていない家庭も含めた全員の平均です。

同じ報告書には、学習塾費が0円の家庭の割合も載っています。

公立小学校では61.0%が0円で、実際に通わせているのは4割ほどでした。

学習塾費が何を含むかは、調査の項目定義に書いてあります。

項目定義に書かれている中身
学習塾費学習塾へ通うために支出した全ての経費(入会金、授業料=月謝、講習会費、教材費、通っている学習塾での模擬テスト代、学習塾への交通費)
通信教育・家庭教師費家庭教師への月謝(謝礼)、教材費、通信添削などの通信教育を受けるために支出した経費
家庭内学習費家庭の中での学習に使用する物品・図書の購入費
出典=文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」報告書。金額は保護者が実際に支出した額の平均で、報告書には税込・税抜の区別の記載はありません

入会金も教材費も交通費も、この1つの数字に入っているという点が、見積書と比べるときに効いてきます。

英語も含めた塾代は学年で変わり、小1の3万1504円が小6では14万5161円になる

平均だけ見ていると、うちの学年の目安が分かりません。

同じ報告書には、学年別の学習塾費も載っています。

学年公立小学校私立小学校
第1学年31,504151,589
第2学年35,291145,569
第3学年46,108179,560
第4学年80,935267,097
第5学年106,550375,686
第6学年145,161442,735
出典=文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」表6 学年別補助学習費(学習塾費の欄)。単位は円

公立では第3学年から第4学年にかけて金額がほぼ倍になっていて、ここに1本の段差があります。

報告書の本文にも、私立小学校と私立中学校を除いて学年とともに学習塾費が多くなる、と書かれています。

小学校で英語の塾を始めるかどうかを考えるとき、この段差の手前にいるのか後ろにいるのかで、家計への当たり方が変わります。

公立・私立を問わず最も多いのは私立小学校第6学年の約44万3千円だ、とも本文に書かれていました。

英語の塾に通わせている家だけで見ると、平均は年19万3000円になる

0円の家庭を平均に含めると、数字は実態より小さく見えます。

報告書は、そこも分けて書いていました。

年間1円以上支出した者だけの平均は、公立小学校で19万3000円、私立小学校で36万1000円です。

全員の平均である7万5194円と比べると、2.5倍以上の開きがあります。

見積書を見て「相場より高い気がする」と感じたときは、全員平均ではなく、この支出者だけの平均と並べたほうが近い比較になります。

金額分布も載っていて、公立小学校で学習塾費が40万円以上の家庭は4.7%でした。

小学生の英語の習い事は「学習塾費」ではなく別の項目に入っていた

ここは、調べていていちばん間違えやすいと思ったところです。

学習費調査の項目定義では、外国語会話などを習うために支出した経費は「その他の学校外活動費」の中の「教養・その他」に分類されています。

一方の学習塾費は、予習・復習・補習などの学校教育に関係する学習のための「補助学習費」の側にあります。

つまり、同じ「英語を習う」でも、けいこごととしての英会話教室と、補習や受験のための塾とでは、統計上の入れ物が違うということです。

公立小学校の「教養・その他」は年3万6111円、私立小学校は年9万6198円でした。

ただし「教養・その他」には、習字、そろばん、一般図書・雑誌の購入費、博物館などへの入場料、自主的な検定試験の受験料なども一緒に入っています。

だから、この3万6111円を「英会話の月謝の平均」と読むことはできません。

報告書は英語だけを取り出した金額を出していないので、ここは分からない、と書いておきます。

小学生の英語の塾の契約は、特定継続的役務提供に当たることがある

ここから契約の話です。

消費者庁は、長期・継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引を「特定継続的役務提供」と呼んでいます。

対象は7つで、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室です。

英語の塾は、この中の「語学教室」か「学習塾」か「家庭教師」のどれかに当たる可能性があります。

当たるかどうかは、期間と金額の2つで決まります。

役務期間の条件金額の条件
語学教室2月を超えるもの5万円を超えるもの
学習塾2月を超えるもの5万円を超えるもの
家庭教師2月を超えるもの5万円を超えるもの
出典=消費者庁「特定継続的役務提供」。金額は契約金の総額で、税込・税抜の別は同ページに記載がありません

金額の5万円は授業料だけではなく、入学金、受講料、教材費、関連商品の販売などを合わせた契約金の総額で見る、と注記に書かれています。

週1回の英語の教室を1年契約にすれば、期間の条件はまず超えます。

入会金と年間の教材費を足した時点で5万円を超えることも多いので、「うちは対象外」と決めつける前に総額で足し算したほうが確実です。

英語の「語学教室」と「学習塾」は、法律の上では別の役務だった

同じ英語の教室でも、どちらの役務に当たるかで扱いが変わります。

消費者庁のページには、それぞれの定義がそのまま載っています。

役務定義(ページの表記)
語学教室語学の教授(入学試験に備えるため又は大学以外の学校における教育の補習のための学力の教授に該当するものを除く)
学習塾学校(幼稚園及び小学校を除く)の入学試験に備えるため又は学校教育の補習のための学校(幼稚園及び大学を除く)の児童、生徒又は学生を対象とした学力の教授(役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る)
家庭教師学校(幼稚園及び小学校を除く)の入学試験に備えるため又は学校教育(幼稚園及び大学を除く)の補習のための学力の教授(いわゆる学習塾以外の場所において提供されるものに限る)
出典=消費者庁「特定継続的役務提供」の対象役務の定義

語学教室の定義は「補習や入試対策に当たるものを除く」となっているので、学校の英語の補習をする教室は語学教室ではなく学習塾の側で読むことになります。

もうひとつ、注記に小学生の家庭に関係する一文があります。

「家庭教師」及び「学習塾」には、幼稚園又は小学校に入学するためのいわゆる「お受験」対策は含まれません、と書かれています。

中学受験の対策は、小学校を除く学校の入学試験に備えるものなので、定義の中に入ります。

英語の塾の契約書は、書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフできる

対象になる契約には、契約を結んだあとに解除できる期間があります。

法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録で契約を解除できる、と消費者庁は書いています。

政令で関連商品として指定されたものも一緒に解除でき、語学教室・家庭教師・学習塾の関連商品は、書籍(教材を含む)、カセット・テープ、CD、CD-ROM、DVDなど、ファクシミリ機器、テレビ電話です。

英語の教室で最初に買わされることの多い教材一式は、この「書籍(教材を含む)」に当たる形になります。

クーリング・オフをした場合、すでに授業が始まっていても、その対価を支払う必要はないと書かれています。

損害賠償や違約金を支払う必要もなく、すでに払った頭金などは速やかに返してもらえる、とも書かれています。

英語の塾を途中でやめるときに請求できる額は、上限が決まっている

8日を過ぎたあとは中途解約になります。

このとき事業者が請求できる額には、役務ごとに上限が政令で決められています。

役務授業が始まる前授業が始まったあとに上乗せできる額
語学教室1万5000円5万円又は契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額
学習塾1万1000円2万円又は1か月分の授業料相当額のいずれか低い額
家庭教師2万円5万円又は1か月分の授業料相当額のいずれか低い額
出典=消費者庁「特定継続的役務提供」中途解約(法第49条)。金額の税込・税抜の別は同ページに記載がありません

授業が始まったあとは、この上限額に加えて、すでに提供された分の対価を払う形になります。

契約残額とは、役務の対価の総額から、すでに提供された役務の対価に相当する額を差し引いた額だと定義されています。

上限を超える額をすでに受け取っている場合は、残額を返還しなければならない、とも書かれています。

年間一括で先に払う形をすすめられたときに、いちばん効いてくるのがこの条文でした。

英語の塾の契約前に渡される概要書面には、何が書かれているか

消費者庁は、契約の前と後で2種類の書面を渡さなければならないと説明しています。

契約の前に渡すのが概要書面、契約の後に遅滞なく渡すのが契約書面です。

  • 概要書面に書くこと=事業者の氏名・住所・電話番号/役務の内容/購入が必要な商品の商品名・種類・数量/対価その他支払う金銭の概算額/支払時期と方法/役務の提供期間/クーリング・オフに関する事項/中途解約に関する事項/割賦販売法に基づく抗弁権の接続/前受金の保全/特約があるときはその内容

書面をよく読むべきことは赤枠の中に赤字で書かなければならず、契約書面のクーリング・オフの事項も赤枠に赤字だと決められています。

文字と数字の大きさも、8ポイント以上であることが必要だと書かれていました。

体験の帰りに渡される紙に、役務の提供期間と中途解約に関する事項が書かれていなければ、それは概要書面ではないということになります。

前払方式で5万円を超える契約をする事業者には、貸借対照表や損益計算書などを用意して、求めに応じて閲覧できるようにしておく義務もあります。

今日、小学生の英語の塾について家で決められること

調べ終わって、家で決められることは3つでした。

  • 見積書の金額を「入会金+授業料+教材費+その他」の総額に足し直して、5万円を超えるかと、期間が2月を超えるかを確かめる
  • 渡された紙に、役務の提供期間・クーリング・オフに関する事項・中途解約に関する事項の3つが載っているかを見る。無ければ概要書面をくださいと頼む
  • 学年別の学習塾費(公立小学校で第1学年3万1504円、第6学年14万5161円)と見積額を並べて、どの学年から始めるかを家で決める

この3つは、どれも文部科学省と消費者庁が公開している資料に書かれていることだけを根拠にしています。

本文の金額は資料に載っている数字をそのまま引いたもので、学習費調査は保護者が支出した額の平均です。

税込か税抜かはどちらの資料にも区別して書かれていないので、実際の契約では提示された金額が税込か税抜かを書面で確かめてください。

制度や金額は改定されることがあるので、契約の前には消費者庁のページで最新の表記をご確認ください。

この記事は特定の教室や学習方法の効果を保証するものではなく、公的資料に書かれていることと書かれていないことを整理したものです。

契約で困ったときは、消費者ホットライン188など、お住まいの地域の消費生活センターにご相談ください。

この記事を書くために開いた出典

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