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小学生の英語のテストは何を測っているのか。学校のパフォーマンステストと家から受けられる外部テストを公的資料で並べた

小学5年生の子の通知表に、外国語の欄が付くようになりました。

ただ、家には英語のテスト用紙が1枚も持ち帰られてきません。

漢字テストや計算テストは毎週のように出てくるのに、英語だけ何をどう測られているのかが見えませんでした。

そのうえ「英検を受けさせたほうがいい」という話も耳に入ってきて、学校のテストと外のテストがどう関係するのかも分からなくなりました。

そこで、自分の想像で埋めるのをやめました。

文部科学省の通知と調査、そして各テストの運営団体が出しているページを、順番に開いて読み直しました。

この記事に書いてあるのは、公的資料と運営団体の公式ページに書いてあったことと、書いていなかったことだけです。

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小学生の英語のテストは、学校の中と外で測っているものがそもそも違う

先に結論を書きます。

学校の英語のテストは成績を付けるためのもので、家庭で受ける外部テストは成績を付けるためのものではありません。

これは感想ではなく、文部科学省の通知にそう書いてあります。

平成31年3月29日付の「児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」は、外部試験や検定等の結果について、こう書いています。

「これらの結果は教師が行う学習評価の補完材料であることに十分留意が必要であること」。

補完材料、という言葉が通知の中で使われています。

同じ通知は、その理由も書いています。

外部試験は「学習指導要領に示す目標に準拠したものでない場合や、学習指導要領に示す各教科の内容を網羅的に扱うものではない場合がある」からです。

この1行が分かった時点で、家の中の悩みは半分消えました。

ここから先は、では中と外でそれぞれ何が行われているのかを見ていきます。

小学生が学校で受けている英語のテストは、紙ではなく「パフォーマンステスト」だった

紙が持ち帰られない理由は、調査の集計表に出ていました。

文部科学省の令和3年度「公立小学校における英語教育実施状況調査」には、「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」を評価するためのパフォーマンステストの実施状況という項目があります。

学年実施ありの学校数実施なし実施している割合(欠学年のある学校を除く)
第5学年18,077校642校96.6%
第6学年18,176校565校97.0%
合計36,253校1,207校96.8%

5・6年のほぼ全部の学校が、話す力を実際に話させて測るテストを行っていました。

「話すこと[やり取り]」で126,765回、「話すこと[発表]」で135,035回、その他が12,880回、合計274,680回という実施回数も出ています。

この「実施回数」とは、当該学年の児童全員を対象としたパフォーマンステストの回数だと注記されています。

つまり、家に持ち帰る答案が無いのは、テストが無いからではなく、その場で話して終わる形式だからです。

子どもに聞いても「先生の前で英語で言うやつ」としか説明できなかった理由が、これで分かりました。

小学生の英語の授業は、毎週テストをする前提で組まれていない

もう1つ、頻度の話も通知に書いてありました。

同じ平成31年の通知は、観点別学習状況の評価の記録について、こう書いています。

「毎回の授業ではなく原則として単元や題材など内容や時間のまとまりごとに、それぞれの実現状況を把握できる段階で行うなど、その場面を精選することが重要であること」。

評価の場面を絞ることが、通知の側から求められています。

授業時数のほうも見ておきます。

小学校学習指導要領(平成29年告示)の別表第一には、外国語活動が第3学年と第4学年で年35単位時間、外国語が第5学年と第6学年で年70単位時間と書かれています。

5・6年でも週2コマ相当で、そこから毎週テストを切り出す余裕はありません。

さらに、授業の中身も「テストのための時間」とは逆を向いています。

令和3年度の調査では、5・6年の授業で児童が英語で言語活動をしている時間の割合も集計されています。

授業に占める言語活動の時間第5学年第6学年
おおむね行っている(75%程度以上)18,575学級18,819学級
半分以上(50%程度以上〜75%程度未満)15,161学級15,352学級
半分未満(25%程度以上〜50%程度未満)2,982学級2,814学級
あまり行っていない(25%程度未満)61学級68学級

50%程度以上を言語活動にあてている学級は、5・6年あわせて92.0%でした。

授業時間の半分以上を、子どもが英語を使うことに使っている、という数字です。

小学生の英語は、全国学力・学習状況調査の対象にも入っていない

「全国のテストで比べられるのでは」とも考えたので、そちらも確かめました。

文部科学省の「全国学力・学習状況調査の概要」には、対象学年と内容がこう書かれています。

  • 調査の対象学年=小学校第6学年、中学校第3学年
  • 教科に関する調査=国語、算数・数学
  • 平成24年度から理科を追加。理科は3年に1度程度の実施
  • 平成31年度(令和元年度)から英語を追加。英語は3年に1度程度の実施

英語は追加されていますが、公開されている資料はすべて「中学校英語」の名前が付いています。

国立教育政策研究所の「全国学力・学習状況調査」のページを開いて、文字列を機械で数えました。

「中学校英語」は2件、「小学校英語」は0件でした(2026年9月16日に取得したページで実測)。

サンプル問題も、結果返却の説明資料も、英語はすべて中学校のものです。

ですので、小学生の英語には全国規模の共通の物差しが今のところありません。

これが「隣の子と比べようがない」ことの正体でした。

小学生が家庭から申し込める英語テストを、運営団体ごとに並べてみる

では、外のテストには何があるのか。

「保護者が家から申し込めるか」で選び直して、公式ページに書いてあった情報だけを並べます。

テスト運営家庭から個人で申し込めるか受験料(税込)
英検Jr. オンライン版日本英語検定協会個人でいつでも申し込めるテストのみ 2,300円〜2,700円
英検Jr. ペーパー版日本英語検定協会グループ会場のみ(公開会場は無い)2,500円〜2,900円
英検(5級〜)日本英語検定協会個人でインターネット申込・コンビニ申込ができる本会場 5級4,000円/4級4,600円/3級6,800円
英検IBA日本英語検定協会学校・学習塾・教育委員会が実施する形公式ページに個人向けの記載なし
TOEFL Primary Reading & ListeningGC&T(公文グループ)個人で申し込める4,000円
ケンブリッジ英語検定 Pre A1 Startersケンブリッジ大学英語検定機構テストセンターで実施公式の級ページに金額の記載なし

英検IBAについては、公式ページの本文を機械で数えたところ「個人申込」「個人でお申し込み」「保護者」がいずれも0件で、「団体」だけが6件でした。

ページには「学校で実施」「学習塾・英会話教室で実施」「教育委員会単位で実施」の3区分しか置かれていません。

つまり、家庭から直接申し込むテストではありません。

この表を作った時点で、選択肢は思っていたより少ないことが分かりました。

小学生の最初の1回になりやすい英検Jr.は、合格・不合格で返ってこない

英検Jr.は、協会が1994年に開発した児童向けのリスニングテストだと説明されています。

グレードは3つあり、それぞれの対象が公式ページに書かれています。

グレード公式ページの説明試験時間ペーパー版の受験料(税込)
BRONZE小学校低学年を対象としたエントリーテスト約30分2,500円
SILVER小学校中学年程度、BRONZEでの正解率80%以上の児童が対象約35分2,700円
GOLD小学校高学年程度、SILVERでの正解率80%以上の児童が対象約45分2,900円

次のグレードへ進む条件が「正解率80%以上」と書かれていることから、結果が合否ではなく正解率で返ってくる設計だと読み取れます。

解答方法も、小さい子に配慮されています。

協会は「問題冊子に直接○を書き込みます。(マークシートではありません)」と明記しています。

隣接した2つのグレードを同時に受ける「ダブル受験」ができることも書かれています。

なお、ペーパー版は2011年度から公開会場を設置しておらず、受けられるのはグループ会場だけです。

個人で受けたい場合は、オンライン版を使うように案内されています。

オンライン版のテストだけの価格は、BRONZE 2,300円、SILVER 2,500円、GOLD 2,700円(いずれも税込・有効期限3ヵ月)です。

学習教材とセットの「フルパック」もあり、1ヵ月版でBRONZE 3,900円、SILVER 4,100円、GOLD 4,300円と書かれています。

小学生でもマークシートで受けられるTOEFL Primaryは、合否が無いことを前面に出している

もう1つ、家から申し込めるテストがありました。

TOEFL Primary Reading & Listening は、Step 1 と、難易度が高い Step 2 に分かれています。

項目Step 1Step 2
リーディングの設問数39問37問
リスニングの設問数41問39問
時間(各セクション)約30分約30分
スコア範囲100〜109100〜115
CEFRの範囲A1未満〜A2A1未満〜B1

公式ページは受験のメリットの筆頭に「合否がないので自信がつく。学習意欲の継続につながる」を置いています。

採点は項目応答理論を用いてコンピュータで行う、と書かれています。

初めて外のテストを受ける子の親として、当日の記述も具体的で助かりました。

「受験者が小学生以下の保護者の方は、テスト開始直前まで会場に入室が可能です」と明記されています。

アンサーシート表面の受験者情報は、保護者が代筆してよいとも書かれています。

受験の注意にも「間違っても減点されませんので、わからない問題は選択肢をどれか一つ塗りつぶして、次に進んでください」とあります。

受験料はReading & Listeningで4,000円(税込)です。

小学生が英検の級を受けるなら、費用と受験者数はこうなっている

英検Jr.ではなく、5級・4級・3級といった級を受ける小学生も実際に多くいます。

協会が公開している「受験の状況」に、区分別の志願者数が出ています。

区分2025年度の志願者数
小学校以下516,844人
中学・高等学校(高専含む)3,144,528人
大学(短大・専修学校含む)41,963人
その他839,787人
合計4,543,122人

これは実用英語技能検定・英検IBA・英検Jr.を合算した数字だと注記されています。

小学校以下だけで50万人を超えています。

検定料は、どこで受けるかで変わります。

級2026年度 本会場(個人申込)2026年度 準会場(団体申込)
3級6,800円4,900円
4級4,600円2,800円
5級4,000円2,400円

いずれも税込で、協会は「2026年度の検定料は、2025年度の検定料より一律100円引き下げております」と書いています。

4級と5級は一次試験のみで、スピーキングテストは一次の合否に関係なく受けられるテストだと説明されています。

小学生の外部テストの結果を、学校の成績にどう結びつけるか

ここが一番知りたかったところです。

平成31年の通知は、外部試験の結果の使い方について、先に肯定を書いています。

「外部試験や検定等の結果は、児童生徒の学習状況を把握するために用いることで、教師が自らの評価を補完したり、必要に応じて修正したりしていく上で重要であること」。

そのうえで、さきほどの「補完材料であることに十分留意」が続きます。

ここから読み取れることは、はっきりしています。

  • 外部テストのスコアを提出すれば成績が上がる、という仕組みは通知に書かれていない
  • 通知が認めているのは、教師が自分の評価を補ったり修正したりする材料として使うこと
  • 外部テストは学習指導要領の内容を網羅していない場合がある、と通知自身が断っている

だから「英検を取ったので成績を上げてほしい」という頼み方は、制度の形と合いません。

一方で、担任に「家でこういうテストを受けて、この結果でした」と共有すること自体は、通知が想定している使い方の範囲です。

なお、3・4年の外国語活動については、指導要録に数値の評定が付きません。

通知は「児童の学習状況に顕著な事項がある場合にその特徴を記入する等、児童にどのような力が身に付いたかを文章で端的に記述する」と書いています。

小学生の英語のテストについて、資料に書かれていなかったこと

分からなかったことも、そのまま書いておきます。

まず、学校が行うパフォーマンステストの具体的な出題内容です。

調査に載っているのは実施の有無と回数だけで、どんな課題を出しているかは集計されていません。

次に、外国語の通知表に何点満点のテストが何回反映されているかです。

通知は「単元や題材など内容や時間のまとまりごと」としか書いていないので、回数は学校ごとに決まります。

そして、ケンブリッジ英語検定 Pre A1 Starters の受験料です。

日本語の級ページにはテストの構成(リスニング20分、リーディング&ライティング20分、スピーキング3〜5分)は出ていましたが、金額は載っていませんでした。

金額は各テストセンターに問い合わせる形になります。

最後に、小学生の英語力の全国平均です。

中学生についてはCEFR A1レベル相当以上の割合が毎年出ていますが、小学生に対応する数字は公開されていません。

小学生の英語のテストをめぐって、今日、家で決められること

読み終えて、家でできることは3つに絞れました。

  • 子どもに「先生の前で英語で話す場面があるか」を聞く。あるなら、それが学校の英語のテストそのもの
  • 外のテストを1回だけ受けるなら、合否が出ない形式から選ぶ(英検Jr.オンライン版のテストのみ2,300円〜2,700円、TOEFL Primary Reading & Listening 4,000円/いずれも税込)
  • 結果を成績の交渉材料にしない。通知が認めているのは「教師の評価の補完材料」までだと理解しておく

逆に、今日やらないと決めたのは「他の子と点数で比べること」でした。

全国共通の物差しが小学生の英語には用意されていない以上、比べる相手の数字が存在しません。

代わりに、同じテストを半年おきに受けて、去年の自分と比べるほうが数字として意味を持ちます。

TOEFL Primaryがスコア範囲を100〜109や100〜115という帯で出しているのも、伸びを見るための設計です。

学校のテストが見えないことに、私はずっと不安を感じていました。

ただ、見えないのは隠されているからではなく、話す力をその場で測る形式だからでした。

そのことは、調査の集計表と通知の本文に、はっきり書いてありました。

小学生の英語のテストを調べるために開いた資料の一覧

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