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英語の4技能という言葉は告示に0件だった。いまの学習指導要領は「5つの領域」で書かれている

英語教室の説明会で「これからは4技能ですから」と言われました。

家に帰ってから、子どもの教科書をめくってみました。

読む・書く・聞く・話す、の4つがどこかに書いてあるはずだと思ったのです。

ところが、学校の資料に出てくるのは「領域」という聞き慣れない言葉でした。

私は、そのもやもやを自分の感覚で決めたくなかったので、学習指導要領の告示そのものを開いて、機械で数えました。

この記事に書いてあるのは、そこに書いてあったことと、書いていなかったことだけです。

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英語の4技能は、いまの学習指導要領では「5つの領域」として書かれている

先に結論を書きます。

世間で「英語の4技能」と呼ばれているものは、いまの学習指導要領では「五つの領域」という名前で整理されています。

数が1つ増えているのは、技能が増えたからではありません。

「話すこと」が2つに割られているからです。

学習指導要領の「5つの領域」ふだん言われる「4技能」
聞くこと聞く(リスニング)
読むこと読む(リーディング)
話すこと[やり取り]話す(スピーキング)
話すこと[発表]話す(スピーキング)
書くこと書く(ライティング)

「話すこと」は、相手とやり取りするのと、人前で発表するのとでは、できることがまったく違います。

うちの子も、家族とのやり取りは平気なのに、人前で1人で話すとなると固まります。

告示は、その2つを別の目標として立てています。

だから4ではなく5になるのです。

英語の「4技能」という言葉を、告示の本文で数えたら0件だった

ここは印象で書きたくなかったので、告示のPDFを全文テキストにして、機械で数えました。

数えたのは、小学校学習指導要領(平成29年告示)と、中学校学習指導要領(平成29年告示)の2冊です。

空白と改行をすべて詰めてから、同じ語を数えています。

数えた言葉小学校の告示中学校の告示
4技能0件0件
4技能(全角)0件0件
四技能0件0件
四つの技能0件0件
技能別0件0件
五つの領域12件12件
三つの領域2件2件

「4技能」という言葉は、告示の本文には1件も出てきませんでした。

これは「4技能という考え方が否定されている」という意味ではありません。

実際、小学校の外国語の第1の目標には「聞くこと,読むこと,話すこと,書くことの言語活動を通して」という、4つ並びの書き方がちゃんと出てきます。

つまり4つの活動は存在するけれど、目標の立て方は5つに割られている、ということです。

「4技能」は、告示の用語ではなく、世の中で使われている呼び名だと理解しておくと混乱しません。

英語の5つの領域は、告示にどう書かれているのか

小学校の外国語(第5学年・第6学年)の条文は、こう始まります。

「英語学習の特質を踏まえ,以下に示す,聞くこと,読むこと,話すこと[やり取り],話すこと[発表],書くことの五つの領域別に設定する目標の実現を目指した指導を通して」。

そして、この5つそれぞれに、ア・イ・ウという具体的な到達点がぶら下がっています。

  • 聞くこと=ゆっくりはっきり話されれば、身近な事柄の語句や情報、短い話の概要が分かる
  • 読むこと=活字体の文字を見分けて読み方を発音でき、音声で慣れ親しんだ語句の意味が分かる
  • 話すこと[やり取り]=指示や依頼に応じたり、その場で質問し合ったりできる
  • 話すこと[発表]=内容を整理した上で、自分の考えや気持ちを話せる
  • 書くこと=大文字・小文字を活字体で書き、慣れ親しんだ語句を書き写せる

私がいちばん驚いたのは「書くこと」の中身でした。

小学校の目標は、作文を書くことではなく、文字を書けることと書き写せることが中心です。

「読むこと」も同じで、初見の文章を読み解くことではありません。

音で先に知っている言葉を、あとから文字で確かめる、という順番になっています。

第1の目標にも「読むこと,書くことに慣れ親しみ」と書かれていて、「できるようにする」ではなく「慣れ親しむ」段階だと明記されています。

小3・小4の英語は3領域だけで、読む・書くは目標に入っていない

ここが、親としていちばん知っておいてよかったところです。

小学校3年生・4年生は「外国語活動」という名前で、教科ではありません。

その第2の英語の条文は、こうです。

「聞くこと,話すこと[やり取り],話すこと[発表]の三つの領域別に設定する目標」。

学年名前目標が立っている領域数
小1・小2外国語の欄なし—0
小3・小4外国語活動聞く/話す[やり取り]/話す[発表]3
小5・小6外国語(教科)聞く/読む/話す[やり取り]/話す[発表]/書く5
中1〜中3外国語(教科)聞く/読む/話す[やり取り]/話す[発表]/書く5

小3・小4には「読むこと」「書くこと」の目標がありません。

第1の目標も「聞くこと,話すことの言語活動を通して」となっていて、読む・書くは出てきません。

正確に言うと、聞くことの中に「文字の読み方が発音されるのを聞いた際に,どの文字であるかが分かるようにする」という項目はあります。

でもそれは耳で聞いて文字が分かるということで、読む・書くの練習ではありません。

3年生の子が英単語を書けなくても、学校の目標からは外れていない、ということです。

中学校の英語も5領域。小学校と同じ枠のまま、中身だけが上がる

中学校の告示を開くと、外国語の第2は小学校と同じ書き出しでした。

「聞くこと,読むこと,話すこと[やり取り],話すこと[発表],書くことの五つの領域別に設定する目標」。

枠は完全に同じで、変わるのは要求される中身です。

領域小5・小6の目標中学校の目標
聞くことゆっくりはっきり話されれば、短い話の概要はっきり話されれば、社会的な話題の短い説明の要点
読むこと活字体の文字を識別し、慣れた語句の意味が分かる短い文章の概要や要点を捉える
話すこと[やり取り]その場で質問したり答えたりする関心のある事柄について即興で伝え合う
話すこと[発表]内容を整理して考えや気持ちを話すまとまりのある内容を話す
書くこと文字を書く・語句を書き写すまとまりのある文章を書く

「書き写す」から「まとまりのある文章を書く」まで、中学校の3年間で一気に上がります。

語彙の数も告示に書かれていて、小学校は外国語活動で扱った語を含めて600〜700語程度です。

中学校は、そこに1600〜1800語程度の新語を加えた語、と書かれています。

中学校の条文には、仮定法のうち基本的なものまで含まれていました。

教材についても「五つの領域別の目標と内容との関係を、単元ごとに各教材の中で明確に示す」と条文で求められています。

英語の授業時数を並べると、5領域を回す時間の量が見える

領域の話だけだと、どれくらいの時間で回しているのかが分かりません。

そこで、告示に付いている別表から授業時数を拾いました。

学年教科等年間の授業時数1単位時間領域の数
小3・小4外国語活動3545分3
小5・小6外国語7045分5
中1外国語14050分5
中2外国語14050分5
中3外国語14050分5

出典=小学校は別表第一(第五十一条関係)、中学校は別表第二(第七十三条関係)です。

小3・小4は35単位時間なので、年間35週で割ると週1コマです。

45分が週に1回で、3つの領域を回している計算になります。

小5・小6は週2コマ、中学校は週4コマ前後です。

領域が3から5に増えるタイミングで、時間も35から70へ倍になっています。

ここを見てから、私は家での過ごし方の見方が変わりました。

学校が1つの領域に割ける時間は、思っていたよりずっと短いということです。

英検のCAN-DOは英語の4技能で書かれている。ここが親の混乱の正体

では、なぜ世の中では「4技能」のほうをよく聞くのか。

英検のCAN-DOリストのページを読んで、腑に落ちました。

日本英語検定協会のページには、こう書かれています。

「学習者自身の『読む』、『聞く』、『話す』、『書く』の4技能別の自信の度合いを把握する『自己診断リスト』として利用できます」。

同じページを機械で数えると「4技能」は3件、「技能別」は4件ありました。

つまり、学校の告示は「5領域」で書き、英検は「4技能」で書いているのです。

どちらかが間違っているのではありません。

英検は「話すこと」をやり取りと発表に割らずに、1つにまとめているだけです。

そして英検のページには「CEFRや学習指導要領における英語力の考え方を踏まえ」と書かれていて、学校の考え方とつながっていることも明記されています。

英検の級ごとに、英語の技能別で何ができるとされているか

実際の文言も並べておきます。

小学生から中学生がまず受けることの多い5級・4級・3級を、技能別に取り出しました。

技能5級4級3級
読む初歩的な語句で書かれた短い文章から必要な情報を読み取れる初歩的な語句で書かれた短い文章の概要を読んで捉えられる基本的な語句で書かれた短い文章の概要や要点を捉えられる
聞くゆっくりはっきり話されれば、短い話から必要な情報を聞き取れるゆっくりはっきり話されれば、短い話の概要を捉えられるゆっくりはっきり話されれば、短い話の概要や要点を捉えられる
話す関心のある事柄を初歩的な語句で簡単に話して伝えられる自身の考えや感想を、まとまりのある内容で簡単に話せる自身の考えや感想を、理由を含めて話して伝えられる
書く関心のある事柄を初歩的な語句で簡単に書いて伝えられる自身の考えや感想を、まとまりのある内容で簡単に書ける自身の考えや感想を、理由を含めて文章で書ける

「必要な情報」→「概要」→「概要や要点」と、級が上がるごとに読み取る深さが変わっていきます。

話すと書くは「簡単に伝える」→「まとまりのある内容」→「理由を含めて」という順でした。

級の目安も公開されていて、5級が中学初級程度、4級が中学中級程度、3級が中学卒業程度とされています。

4級と5級には、一次試験とは別にスピーキングテストが用意されていることも案内されています。

この4区分を、学校の5領域に重ねると、話すの欄だけが「やり取り」と「発表」の2つに分かれる、と考えれば整理できます。

英語の4技能と5領域のズレで、親が誤解しやすい3つのこと

ここまで読み直して、私自身が誤解していたことを書いておきます。

  • 「4技能をバランスよく」は小3・小4には当てはまらない。告示の目標は3領域だけで、読む・書くは入っていない
  • 小学校の「書くこと」は作文ではない。文字を書く、書き写す、例文を参考に書く、という段階で書かれている
  • 「話す」は1つの技能ではない。やり取りが得意でも発表は苦手、という子は、告示の枠組みでは何もおかしくない

とくに3つ目は、家で子どもを見る目が変わりました。

人前で話せないことと、会話が続かないことは、別の課題として扱われています。

逆に、告示に書いていなかったことも書いておきます。

「4技能のうちどれを先にやるべきか」という優先順位は、条文のどこにも書かれていませんでした。

書かれていたのは「音声で十分に慣れ親しんだ」語句を読んだり書いたりする、という順番の考え方のほうです。

英語の4技能を気にする前に、今日うちで決められること

調べ終わって、家でできることは3つに絞れました。

  • 学年と領域を照らし合わせる。うちの子が今どの学年で、学校では何領域までが目標なのかを上の表で確認する
  • 「話す」を2つに分けて見る。やり取り(相手がいる)と発表(1人で話す)のどちらが苦手なのかを、1週間だけ観察してメモする
  • 教材や教室の説明を、5領域の言葉で聞き返す。「4技能対応」と言われたら、やり取りと発表のどちらを扱うのかを質問してみる

3つ目は、実際にやってみて手応えがありました。

言葉の粒が細かくなるだけで、話が具体的になります。

「4技能」という言葉は便利ですが、便利すぎて中身が見えなくなることがあります。

学校が使っているのは「領域」という言葉で、しかも学年で数が変わる。

それだけ知っておけば、説明会でも教材選びでも、自分の頭で判断できるようになりました。

この英語の4技能の記事で使った出典

英語の4技能に関する情報の確認日と免責

本記事の内容は、2026年9月12日に上記の資料とページを開いて確認したものです。

語の件数は、告示のPDFを全文テキストにして、空白と改行を詰めたうえで数えた実測値です。

制度・試験の内容・公開資料は変わることがあります。

最新の情報は、それぞれの公式ページでご確認ください。

子どもの発達には個人差があります。

気になることがあるときは、学校の先生など、お子さんを直接見ている方にご相談ください。

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