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小学生の英語アプリは1日何分か。WHOと文部科学省と民法を開いて、数字が書いてある場所だけ書き出した

子どもが「英語のアプリやりたい」と言い出したのは、学校で一人一台の端末を使い始めたあとでした。

習い事を増やす余裕はないし、アプリなら無料のものもあるし、とりあえずやらせてみようかと思いました。

でも、渡した瞬間に「じゃあ何分まで?」「課金は?」という問題が、まるごとこちらに戻ってきました。

ネットで「小学生 英語 アプリ」と調べると、おすすめアプリの順位表ばかりが出てきます。

順位表は誰かの感想の集計であって、うちの子に何分やらせていいかは書いてありません。

そこで、自分の感覚で決めるのをやめて、WHOと文部科学省と法律の条文を開いて、数字が書いてある場所だけを書き出しました。

この記事に書いてあるのは、2026年9月16日に公的資料を開いて、そこに書いてあったことと、書いていなかったことだけです。

アプリの個別の評価や順位は載せていません。制度や指針は改定されるので、最新の表記は各出典の公式ページでご確認ください。

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小学生の英語アプリで先に決めるのは「どれを入れるか」ではなく「いつやめるか」だった

先に結論を書きます。

公的資料をひととおり開いた結果、小学生の英語アプリについて国や国際機関が数字で示していたのは、アプリの中身ではなく「使い方の枠」のほうだけでした。

どのアプリが優れているかを公的機関が順位づけした資料は、今回探した範囲では見つかりませんでした。

一方で、端末を見る距離、目を休ませる間隔、就寝前に控える時間、授業で確保される時間数、覚える語の数、課金を取り消せる条件は、どれも数字か条文で書かれていました。

つまり、親が決められるのは「どれを入れるか」ではなく「どう枠をはめるか」のほうだ、ということになります。

アプリ選びに何時間も悩むより、先に「いつやめるか」を決めたほうが、公的資料に沿った判断になります。

この記事で扱う数字を、先に1枚にまとめておきます。

決めごと書かれていた数字出典
画面を見る距離30cm以上離す文部科学省 ガイドブック
目を休ませる間隔30分に1回は20秒以上、画面から目を離す文部科学省 ガイドブック
寝る前就寝1時間前は利用を控える文部科学省 ガイドブック
小3・小4の英語の時間年35単位時間(1単位時間45分)小学校学習指導要領 別表第一
小5・小6の英語の時間年70単位時間(1単位時間45分)小学校学習指導要領 別表第一
小学校で扱う語600〜700語程度小学校学習指導要領 第2章第10節
未成年の課金法定代理人の同意がなければ取り消すことができる民法 第五条
出典=WHO(2019)/文部科学省(令和4年3月改正版ガイドブック・平成29年告示学習指導要領)/民法・特定商取引法関連(2026年9月16日に閲覧)

この表に入っていないもの、たとえば「小学生は1日何分までアプリを使ってよいか」という数字は、今回の調査では公的資料の中に見つかりませんでした。

小学生の使用時間の上限を、WHOは数字で示していなかった(指針は5歳未満まで)

スクリーンタイムの話でいちばん引用されるのが、WHOの指針です。

ただ、原文を開いて確かめると、対象年齢がはっきり限定されていました。

WHOが2019年に出した指針の題名は「children under 5 years of age」=5歳未満の子ども向けで、小学生の年齢は対象に入っていません。

本文をテキストにして機械で検索しても、出てくる年齢の記述は「under 5 years of age」「Children under five」だけでした。

中身は次のようになっています。

年齢スクリーンタイムの記述
1歳未満Screen time is not recommended(推奨されない)
1歳sedentary screen time is not recommended(推奨されない)
2歳no more than 1 hourless is better(1時間を超えない。少ないほどよい)
3〜4歳no more than 1 hourless is better(1時間を超えない。少ないほどよい)
5歳以上この指針には記述なし
出典=WHO「To grow up healthy, children need to sit less and play more」(2019年4月24日)

つまり「WHOが1日1時間と言っている」を小学生に当てはめるのは、原文の対象年齢を1つ飛び越えた使い方になります。

同じ指針の中には、座っている時間の使い方についての記述もあります。

画面を使わない時間の過ごし方として、保護者と一緒に読む・物語を語る・歌う・パズルをすることが挙げられていました。

英語アプリを減らした分を、英語の絵本を一緒に読む時間に置き換えるのは、この記述の方向とは合っています。

ただしこれも5歳未満向けの文章なので、「小学生でもそうすべき」とWHOが書いたわけではありません。

ここは、分からないものは分からないと書くしかないところです。

小学生の端末利用で文部科学省が数字を書いていたのは3つだけだった

では、小学生の年齢について数字を出している日本の公的資料はあるのか。

文部科学省が出している「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック(令和4年3月改正版)」に、具体的な数字がありました。

この冊子は学校の授業と家庭学習の両方を想定して書かれていて、「目と画面の距離は30cm以上離す」「30分に1回は20秒以上、画面から目を離す」「就寝1時間前は利用を控える」の3つが数字で示されています。

1つずつ見ていきます。

小学生が画面を見るときの距離=30cm以上

冊子には、目とタブレットの画面との距離は30cm以上離すように指導する、と書かれています。

あわせて、姿勢がよい場合は視線と画面が直交するように、という記述もあります。

英語アプリを寝転がって使うと、この30cmはほぼ確実に切ります。

小学生が目を休ませる間隔=30分に1回、20秒以上

画面を長時間注視しないようにする工夫として、30分に1回は20秒以上、画面から目を離して遠くを見る、という記述があります。

別の箇所には、読書やスマホやゲームなどの近業は1時間したら5分から10分程度は休む、という記述もありました。

英語アプリの1回の学習を30分未満に設計しておけば、この記述に自然に収まります。

小学生が英語アプリを使わない時間帯=就寝1時間前

冊子のQ&Aには、家庭でのICT機器の利用について明確な答えが書かれています。

就寝前にICT機器を利用すると寝つきが悪くなる恐れがあるので、就寝1時間前は利用を控えるようにする、という内容です。

ブルーライトカット眼鏡については、日本眼科医会などが小児の日常使用に慎重意見を出していることが同じ冊子に書かれており、冊子は眼鏡より「就寝1時間前に画面を見ない」ほうを勧めています。

眼鏡を買う前に、時間を決めるほうが先だ、という順番になります。

  • 目と画面は30cm以上離す
  • 30分に1回は20秒以上、画面から目を離す
  • 就寝1時間前は画面を見ない

小学生が学校で受ける英語の時間は35時間と70時間に決まっている

アプリでどれだけ足せばいいのかを考えるには、学校で何時間やっているかを知らないと決められません。

小学校学習指導要領(平成29年告示)の別表第一に、授業時数が書いてあります。

第3学年と第4学年の外国語活動が年35単位時間、第5学年と第6学年の外国語が年70単位時間で、この表の一単位時間は45分と明記されています。

分に直すと、次のようになります。

学年教科等年間の単位時間45分換算
小1・小2英語の授業時数の定めなし--
小3・小4外国語活動351,575分(約26時間15分)
小5・小6外国語703,150分(約52時間30分)
出典=小学校学習指導要領(平成29年告示)別表第一。一単位時間は四十五分とする、と同表に注記あり

小3・小4は週に1回弱、小5・小6でも週に2回弱という計算になります。

この数字を見てから英語アプリの話に戻ると、見え方が変わります。

1日10分のアプリを毎日続けると、年間で約3,650分です。

小5・小6が学校で受ける外国語の授業時間(年3,150分)より多くなる計算で、家庭学習の1日10分は「学校と同じくらいの量」を意味します。

逆に言えば、1日10分を超える設計にすると、学校より家のほうが負荷が重くなります。

そこまでやる必要があるのかは、家庭ごとに決めることです。

小学生が小学校で扱う語は600〜700語程度と書かれている

量の目安として、もう1つ使える数字があります。

小学校学習指導要領の外国語の「語、連語及び慣用表現」の項に、扱う語数が書かれています。

第3学年と第4学年で外国語活動を履修する際に取り扱った語を含めて、600〜700語程度の語、というのが小学校の範囲です。

ここで1つ、混ざりやすい数字があるので注意が必要です。

同じ告示のPDFを通しで読むと「1600〜1800語程度の新語を加えた語」という記述も出てきますが、これは中学校の章の記述で、小学校の数字ではありません。

小学校の語数は600〜700語程度、中学校はそこにさらに1600〜1800語程度を加える、という積み上げになっています。

英語アプリで単語を扱うとき、この600〜700語をはみ出すかどうかは、選ぶ側の判断材料になります。

校種扱う語の数
小学校(外国語活動で扱った語を含む)600〜700語程度
中学校(小学校で学習した語に加えて)1600〜1800語程度
出典=小学校学習指導要領(平成29年告示)第2章第10節/中学校学習指導要領(平成29年告示)

小学校のうちに中学校の範囲まで先取りさせるアプリを選ぶなら、それは学習指導要領の範囲を超えた選択をしている、と自覚したうえで選ぶことになります。

先取りが悪いという話ではありません。

ただ、公的な基準ではないものを基準だと思い込むと、達成できないときに子どもを責めることになります。

小学生が扱う領域は学年で変わる。アプリが効く場所も変わる

時間と語数のほかに、もう1つ学年で切り替わるものがあります。

扱う「領域」です。

小3・小4の外国語活動は、聞くこと、話すこと[やり取り]、話すこと[発表]の三つの領域で、読むことと書くことは入っていません。

小5・小6の外国語になると、ここに読むことと書くことが加わって五つの領域になります。

学年領域
小3・小4(外国語活動)聞くこと/話すこと[やり取り]/話すこと[発表]の三つ
小5・小6(外国語)聞くこと/読むこと/話すこと[やり取り]/話すこと[発表]/書くことの五つ
出典=小学校学習指導要領(平成29年告示)第4章外国語活動 第2/第2章第10節外国語 第2

小3・小4の子に、文字を書かせるアプリを長時間やらせても、学校の進み方とはずれることになります。

この学年では、音を聞いて口に出すタイプのアプリのほうが、学習指導要領の並びとは合っています。

小5・小6になってから、読む・書くを扱うアプリを足す、という順番です。

アプリの機能一覧を見るときは、値段より先に「何の領域を扱っているか」と「うちの子は何年生か」を並べると、選ぶ数が一気に減ります。

小学生のアプリ課金は、民法第五条に「取り消すことができる」と書いてある

英語アプリでいちばん怖いのは、時間より課金かもしれません。

ここは感覚ではなく条文で確認できます。

民法第五条は「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない」と定めていて、第二項で「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる」と書かれています。

つまり、親の同意なしに子どもがアプリ内で課金した契約は、取り消しの対象になり得る、ということです。

ただし、同じ条文には例外も書かれています。

条文書いてあること
第五条第1項未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意が必要(単に権利を得、義務を免れる行為は除く)
第五条第2項同意のない法律行為は取り消すことができる
第五条第3項法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内で未成年者が自由に処分できる
第二十一条行為能力者であると信じさせるため詐術を用いたときは、取り消すことができない
出典=民法(明治二十九年法律第八十九号)第五条・第二十一条。e-Gov法令検索で2026年9月16日に全文を取得

第五条第3項がやっかいで、「このお金は好きに使っていい」と渡したおこづかいの範囲内なら、子どもが自分で処分できることになります。

プリペイドカードを渡して英語アプリに使わせている場合、その範囲の課金は取り消しの話にはなりにくい、と読めます。

小学生が年齢を偽って課金すると、民法第二十一条で取り消せなくなる

もう1つ、見落としやすい条文があります。

民法第二十一条は「制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない」と定めています。

アプリの登録画面には、生年月日を入力する欄や、年齢を確認するチェックがあります。

ここで子どもが大人の生年月日を入れて登録した場合、この条文にどう当たるかが問題になります。

「取り消せるから大丈夫」と構えるのではなく、そもそも子どものアカウントで大人の生年月日を登録させない、という予防のほうが確実です。

端末側にある保護者向けの設定で、購入時にパスワードを求める形にしておくのが、いちばん手前の対策になります。

条文は起きたあとの救済で、設定は起きる前の予防です。両方あって初めて意味があります。

  • 端末の購入時にパスワードを要求する設定を入れる
  • 子どものアカウントに正しい生年月日を登録する
  • おこづかいの範囲を口約束ではなく金額で決めておく

小学生の英語アプリの月額は、クーリング・オフ8日の対象に入っていない

「合わなかったら解約すればいい」と思っていましたが、ここも制度を見ると単純ではありませんでした。

消費者庁が説明している「特定継続的役務提供」という枠組みがあります。

対象とされているのは、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7つで、この一覧に「アプリ」は入っていません。

念のため、消費者庁の解説ページの本文を機械で検索しました。

「アプリ」「オンライン」「サブスク」「タブレット」のいずれも0件で、この枠組みの説明文の中では一度も触れられていません。

この7つの役務には、契約期間と金額の要件もついています。

項目書かれていた内容
対象の役務エステ・美容医療・語学教室・家庭教師・学習塾・結婚相手紹介・パソコン教室の7つ
語学教室の期間要件2月を超えるもの(入学試験対策や学校の補習は除く)
金額の要件契約金の総額が5万円を超えていること
クーリング・オフ法定書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面または電磁的記録で解除できる
出典=消費者庁「特定継続的役務提供」(no-trouble.caa.go.jp)を2026年9月16日に閲覧

なお、この5万円という線について、消費者庁のページには税込か税抜かの書き分けがありません。契約金の総額としか書かれていないので、税の扱いはそのまま引いています。

英語アプリの月額課金は、この7つの役務に入っていない以上、8日間のクーリング・オフを前提に契約するのは危険だ、ということになります。

解約の条件は、アプリを配信しているストアの規約と、アプリ提供者の規約のほうを読むしかありません。

契約する前に、解約の導線がどこにあるかを1回押して確かめておくのが現実的です。

小学生の英語アプリを選ぶとき、公的資料から引ける判断材料は5つだけだった

ここまで開いた資料から、親が判断に使える材料を整理します。

公的資料から引けたのは「学年に合う領域か」「600〜700語の範囲か」「1回30分未満で切れるか」「就寝1時間前を避けられるか」「課金の入口を閉じられるか」の5つでした。

逆に、公的資料から引けなかったものもはっきりしました。

確かめられたこと確かめられなかったこと
学年ごとの領域と語数の範囲どのアプリが優れているか
目と画面の距離・休憩の間隔・就寝前の時間小学生の1日あたりの上限時間
未成年の課金を取り消せる条件と例外アプリのサブスクを解約する統一ルール
2026年9月16日時点で、今回開いた公的資料の範囲での整理

「小学生は1日何分まで」という数字を、公的資料の中には見つけられませんでした。書いていないものを、書いてあるかのように使わないことにします。

数字がないところは、上の5つで代わりに枠をはめる、という考え方になります。

アプリの名前を1つも出さずに、ここまで決められました。

小学生の英語アプリについて、今日、家で決められること

最後に、今日のうちに手を動かせることを3つに絞ります。

1つ目は、端末の設定を開いて、アプリ内購入にパスワードを要求する形にすることです。これは条文を読むより速く、確実です。

購入のたびにパスワードを求める設定は、iOSでもAndroidでも保護者向けの項目にあります。

2つ目は、英語アプリを使う時間帯を「就寝1時間前より前」に固定することです。文部科学省のガイドブックに書いてある唯一の時間帯の指定です。

何時に寝るかを先に決めれば、何時までアプリなのかは自動的に決まります。

3つ目は、アプリの機能一覧を開いて、扱っている領域が子どもの学年に合っているかを確かめることです。小3・小4なら聞く・話す、小5・小6ならそこに読む・書くが加わります。

この3つは、どのアプリを選ぶかとは関係なく決められることです。

アプリの比較に時間を使う前に、先にこの枠を作っておくと、あとから入れ替えても運用が崩れません。

それでも迷ったら、学校で使っている端末に何が入っているかを子どもに見せてもらうのがいちばん早いです。学校の進度と一致しているものが、すでにそこにあります。

制度も指針も改定されます。数字を使うときは、下の出典で最新の表記をご確認ください。

小学生の英語アプリを調べるときに使った出典(小学生向けの記述だけを抜いた)

今回開いた資料は次のとおりです。

いずれも2026年9月16日に閲覧しました。

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