中学の英語の文法を、どの学年で何を習うのか知りたくて、私は最初に検索しました。
出てくるのは「中1はbe動詞、中2は不定詞、中3は関係代名詞」といった一覧表ばかりでした。
けれど中学校学習指導要領(平成29年告示)を開いて外国語の章を上から読んでいくと、その学年の割り振りがどこにも書かれていませんでした。
代わりに書かれていたのは、3年間で扱う文法事項の一覧と、それをどう扱うかという方針でした。
この記事に書いてあるのは、その告示の本文に書かれていたことと、書かれていなかったことだけです。
中学の英語の文法は、学年で割り振られていなかった
指導計画の作成についての欄に、学年の扱いが1行で書かれています。
原文は「学年ごとの目標を適切に定め、3学年間を通じて外国語科の目標の実現を図るようにすること」です。
学年ごとの目標を「定める」のは学校の側だという書き方になっています。
だから「中2で習う文法」という国の標準は、探しても出てきません。
ネット上の学年別の一覧表は、教科書の単元の並びをもとにした整理だと考えるのが自然です。
教科書は会社ごとに単元の順番が違うので、学年別の表も会社によって前後します。
確かめたいときは、子どもが使っている教科書の目次を見るのがいちばん早いという結論になりました。
中学の英語の文法事項は、告示に11項目だけ並んでいる
告示の「文、文構造及び文法事項」という項目の中に、文法事項の一覧があります。
aからkまでの記号が振られていて、全部で11項目でした。
- 代名詞(人称や指示、疑問、数量を表すもの/関係代名詞のうち主格のthat・which・who、目的格のthat・whichの制限的用法)
- 接続詞
- 助動詞
- 前置詞
- 動詞の時制及び相など(現在形・過去形・現在進行形・過去進行形・現在完了形・現在完了進行形・助動詞などを用いた未来表現)
- 形容詞や副詞を用いた比較表現
- to不定詞
- 動名詞
- 現在分詞や過去分詞の形容詞としての用法
- 受け身
- 仮定法のうち基本的なもの
3年間で扱う文法の範囲は、この11行に収まっているということになります。
ここに「仮定法のうち基本的なもの」が入っているのが、親世代の記憶とずれる部分です。
現在完了進行形も同じ欄に書かれているので、中学校の範囲として扱われます。
中学の英語の文法は「文」と「文構造」が別に書かれている
文法事項の前に、「文」と「文構造」という2つの欄があります。
「文」の欄に書かれているのは3つで、重文と複文、助動詞やorや疑問詞which・whoseで始まる疑問文、基本的な感嘆文です。
「文構造」の欄には、主語と動詞の並び方が5つに整理されています。
| 文構造の型 | 告示に書かれている中身 |
|---|---|
| 主語+動詞+補語 | be動詞以外の動詞+名詞/形容詞 |
| 主語+動詞+目的語 | 動名詞/to不定詞/how(など)to不定詞/that で始まる節/what などで始まる節 |
| 主語+動詞+間接目的語+直接目的語 | 名詞/代名詞/how(など)to不定詞/that で始まる節/what などで始まる節 |
| 主語+動詞+目的語+補語 | 名詞/形容詞/原形不定詞 |
| その他 | There+be動詞/It+be動詞+(for〜)+to不定詞/主語+tell・wantなど+目的語+to不定詞/主語+be動詞+形容詞+thatで始まる節 |
文型を5つ覚えるという学び方は、この表の形とほぼ重なっています。
ただし告示に「第1文型」「第5文型」という呼び名は出てきません。
中学の英語の文法には、小学校からの続きが明記されている
文法事項の冒頭には、小学校の告示を参照する1行があります。
「小学校学習指導要領第2章第10節外国語第2の2の⑴のエ及び次に示す事項について」という書き方です。
つまり中学校の文法は、小学校で扱った文と文構造を含んだ上に足されています。
小学校側には、単文、肯定と否定の平叙文、肯定と否定の命令文、be動詞や助動詞や疑問詞で始まる疑問文などが並んでいます。
中1でつまずいたときに戻る先は、中学の文法書ではなく小学校で触れたこの範囲だということになります。
中学の英語の文法の扱い方も、告示に書いてある
扱い方については、同じ欄に条件が付けられています。
原文は「意味のある文脈でのコミュニケーションの中で繰り返し触れることを通して活用すること」です。
文法だけを切り出して練習させる形は、告示の書き方とずれます。
ただし練習を否定しているわけでもありませんでした。
指導計画の欄には言語材料について理解したり練習したりするための指導を必要に応じて行うことです。
必要に応じて、という条件付きで練習が位置づけられている形です。
中学の英語の文法は、五つの領域のための材料として置かれている
文法事項が入っている大きな枠の名前は「言語材料」です。
その冒頭には「1に示す五つの領域別の目標を達成するのにふさわしいもの」という条件が書かれています。
五つの領域とは「聞くこと」「読むこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」「書くこと」です。
文法は目標そのものではなく、5つを達成するための材料として置かれています。
だから成績が文法の知識だけで決まる設計にはなっていません。
中学の英語の文法を、3年間のコマ数で割り戻してみる
範囲が11項目だと分かったので、どれくらいの時間が使えるのかも確かめました。
学校教育法施行規則の別表第二では、中学校の外国語は各学年140単位時間です。
3学年で420単位時間になり、1単位時間は50分と同じ表の備考に書かれています。
420コマを文法事項の11項目で割ると、1項目あたり38コマという計算になります。
もちろん授業は文法だけをやる場ではないので、これは上限の目安にすぎません。
それでも「1つの文法に何週間もかけられる設計ではない」ことは、この割り算で見えてきます。
だから家で1項目を完璧にしてから次へ進む形にすると、学校の進度から離れていきます。
中学の英語の文法は「言語の働き」とセットで書かれている
告示には、文法事項とは別に「言語の働きの例」という欄があります。
そこには、英語を何のために使うのかが5つのグループで並べられています。
- コミュニケーションを円滑にする(話し掛ける・相づちを打つ・繰り返す・聞き直す・褒める など)
- 気持ちを伝える(礼を言う・苦情を言う・謝る・歓迎する など)
- 事実・情報を伝える(説明する・描写する・報告する・発表する など)
- 考えや意図を伝える(申し出る・約束する・意見を言う・賛成する・反対する・承諾する・断る・仮定する など)
- 相手の行動を促す(質問する・命令する・依頼する・招待する など)
4つ目の「仮定する」が、文法事項の「仮定法のうち基本的なもの」と対応しています。
文法が入っているのは、この働きを実際に使うためだという設計です。
家で文法の練習をするときも、このどれをやりたいのかを決めると形が決まります。
中学の英語の文法について、告示に書いていなかったこと
見つからなかったものも、はっきり書いておきます。
- ①学年ごとの文法の割り振り=中1・中2・中3で何を扱うかの一覧は無い
- ②文法用語の一覧=「五文型」「第3文型」といった呼び名は使われていない
- ③問題集や練習量の指定=何問やる、何回書くといった数字は1つも無い
- ④定期テストの出し方=評価の方法は告示の外に置かれている
国が決めているのは3年間で扱う範囲と扱い方までで、順番と量は学校と家庭が決める部分でした。
中学の英語の文法で、家が確かめられる3つ
ここまでの条文から、家の側でできることを並べます。
- ①学年別の一覧はネットではなく教科書の目次で確かめる=国に学年の割り振りは無い
- ②3年間の範囲は告示の11項目で足りると知る=範囲外を先回りして足さない
- ③つまずいたら小学校で触れた文と文構造まで戻る=告示が参照している範囲がそこ
この記事の引用は、2026年9月21日に取得した告示の本文をそのまま写しました。
学習指導要領は改定されることがあるので、進路の判断に使う前に最新の本文をご確認ください。
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