ESAT-Jがとは何かを、東京都教育委員会が出している実施要項の原文だけで確かめました。
子どもの中学校から「11月にスピーキングテストがある」と紙をもらって、それが入試に何点効くのかを知りたくなりました。
塾の解説ページではなく、東京都教育委員会の「令和7年度 中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J YEAR 3)実施要項」を開いています。
点数化の表は、同じく東京都教育委員会が教育委員会の会議資料として公開している「ESAT-J YEAR 3 結果の都立高校入試への活用について」で確かめました。
この記事に書いてあるのは、その2つの資料に書いてあったことだけです。
ESAT-Jとは、東京都教育委員会が都内公立中学校の全学年に実施するテストのこと
実施要項の第1-1に、名称の決め方が書いてあります。
都内の公立中学校、中等教育学校前期課程、義務教育学校後期課程、特別支援学校中学部を「都内公立中学校等」と呼び、その全学年を対象に実施するものを「ESAT-J」としています。
このうち中学校第3学年を対象に実施するものが「ESAT-J YEAR 3(Y3)」です。
ESAT-J は English Speaking Achievement Test for Junior High School Students の略だと、要項の脚注に書かれていました。
つまり「ESAT-J」は1つのテストの名前ではなく、学年ごとに分かれた3つのテストをまとめた呼び方でした。
ESAT-Jの目的として、実施要項には3つが並んでいた
第1-2に、目的が3つ書き出されています。
- ①都内公立中学校等における英語4技能育成に向けた「話すこと」の指導の充実
- ②都立高等学校入学者選抜における「話すこと」に関する評価の活用
- ③都立高等学校における「使える英語力」を育成するための指導の充実
①は、「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」の4技能のうち「話すこと」の習得状況の成果と課題を検証することです。
②が、保護者がいちばん気にする入試での扱いです。
③は入学後の話で、都立高校入学者の結果をふまえて高校の指導に生かす、という順番になっていました。
入試のためだけに作られたテストではなく、指導の検証がひとつ目に置かれている書き方です。
ESAT-Jを受けるのは、都内公立中学校等の第3学年の全生徒
第1-3の「対象」は1行です。
都内公立中学校等に在籍する第3学年全生徒です。
ただし都内公立特別支援学校の中学部と、都内公立中学校の特別支援学級に在籍している生徒については、希望による受験とされています。
希望する・しないを選べるのは、この2つに在籍している場合だけでした。
ESAT-Jの受験対象外にも、都立高校を受けるなら受験の道が用意されている
同じ第1-3に、受験対象外となる人が5つ挙げられています。
- 都内にある国私立中学校に在籍する第3学年生徒
- 都外の中学校に在籍する第3学年生徒
- 学校教育法施行規則第95条第1号に規定する外国において学校教育における9年の課程(現地校)を修了する見込みの者
- 同条第2号に規定する文部科学大臣が認定した教育施設(日本人学校)の当該課程を修了する見込みの者
- 中学校を卒業した者
そのうえで「ただし、ESAT-J YEAR 3 の結果を都立高等学校入学者選抜に活用する場合は受験を可能とする」と続きます。
私立中学に通っていても、都立高校を受けるつもりなら受験できる、という書き方でした。
受験できないのではなく、自動では対象に入らない、と読むのが正確です。
ESAT-Jの実施日と会場は、実施要項に日付で書いてある
第1-4の会場は「都立学校、大学及び民間施設等」でした。
第1-5の実施日時は、令和7年度は次のとおりです。
| 区分 | 日にち | 時刻 |
|---|---|---|
| 本試験日 | 令和7年11月23日(日・祝) | 午後0時30分集合/午後1時開始/午後3時40分解散(予定) |
| 追・再試験日 | 令和7年12月14日(日) | 午後0時30分集合/午後1時開始/午後3時40分解散(予定) |
追・再試験日のほうは、対象が別に書かれています。
都内国私立中学校在籍者、都外中学校等在籍者、現地校を修了する見込みの者、日本人学校の当該課程を修了する見込みの者、中学校の卒業者、そしてインフルエンザ等学校感染症への罹患等の理由で本試験日に受験できなかった者です。
実施体制は第1-6にあり、東京都教育委員会が事業者と協定を締結し、区市町村教育委員会の協力を得て実施する、となっていました。
ESAT-Jの試験時間は、準備時間を含めて65分程度だった
第1-8(3)の試験時間は準備時間を含み前半試験実施と後半試験実施、各 65 分程度とすます。
実施方法は同(2)で、事業者が用意するタブレット端末等を用いて、受験者を前半試験実施と後半試験実施の2組に分けて実施する、とされていました。
同じ会場にいても、受ける時間帯が2つに分かれるということです。
集合から解散までが3時間ほどあるのは、この2組に分けるためだと読めます。
ESAT-Jの問題はPart A〜Dの4つで、出題数は合わせて9問
第1-8(4)に、問題構成と評価の観点の表があります。
| Part | ねらい | 出題数 | 評価の観点 |
|---|---|---|---|
| A | 英文を読み上げる形式の問題で、英語音声の特徴を踏まえ音読できる力をみる。 | 2 | 音声(発音と強勢、音読するペースや間の取り方などが適切か。) |
| B | 図示された情報を読み取り、それに関する質問を聞き取った上で、適切に応答する力や、提示された情報をもとにやり取りする力をみる。 | 5 | コミュニケーションの達成度(求められていることに適切に対応しているか。) |
| C | 日常的な出来事について、話の流れを踏まえて相手に伝わるように状況を説明する力をみる。 | 1 | 言語使用(語彙や文法、文構造の使用が適切か。) |
| D | 身近なテーマに関して聞いたことについて、自分の意見とその意見を支える理由などを伝える力をみる。 | 1 | 音声(発音、話すペースや間の取り方などが適切か。) |
出題数を足すと、2+5+1+1で9問になります。
いちばん多いBは、要項の言葉では「質問する」「考えや意図を伝える」「相手の行動を促す」やり取りの力をみるものでした。
出題内容は同(1)で、中学校学習指導要領(外国語)における「話すこと」に準拠した内容とする、と定められています。
ESAT-Jの評価はA〜Fの6段階で、IRTで算出される
第1-8(5)の評価方法は2行でした。
東京都教育委員会による ESAT-J GRADE(6段階評価)で評価し、IRT(項目応答理論)により採点結果を統計的に処理して算出します。
もう1行は測る範囲で、CEFRのA1程度からA2程度までの範囲を測定する、とされていました。
素点をそのまま足すのではなく、統計処理をはさんで段階を出す仕組みです。
なお ESAT-J YEAR 1 と YEAR 2 は3段階で評価され、6段階の ESAT-J GRADE が付くのは YEAR 3 だけだと、東京都教育委員会のQ&Aに書かれています。
ESAT-J GRADEは、都立高校入試で20点満点に点数化される
中学校は、AからFまでの6段階評価を調査書の「諸活動の記録」の欄に記載します。
調査書を都立高校へ提出するときは、個人レポートも合わせて提出する決まりです。
A〜Fのほかに、次の3つの表記もあります。
- N=受験対象でない者(国私立中学校生徒、特別支援学校及び中学校の特別支援学級に在籍している者等でテストを受けていない者)
- H=受験対象者であるが、やむを得ない事情で受験することができず「措置申請承認書」の交付を受けた者
- W=それ以外の者
点数化の表は次のとおりです。
| スピーキングテスト結果(評価) | A | B | C | D | E | F |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 都立高校入試での活用(点数化) | 20点 | 16点 | 12点 | 8点 | 4点 | 0点 |
1段階の差が4点で、AとFの差は20点です。
ESAT-Jの20点は、1020点満点の総合得点に足される
総合得点の作り方も、同じ資料に書いてあります。
学力検査は100点×5教科で500点、それを換算して700点にします。
調査書点は(5教科×5)+(4教科×5×2)で65点、それを換算して300点にします。
その700点と300点に、調査書に記載されたスピーキングテストの20点を足して、1020点が総合得点です。
ただし注記があり、学力検査の得点と調査書点との比は7:3の高校と6:4の高校があります。
20点は1020点の約2.0%にあたる大きさです。
ESAT-Jの結果が使われるのは、第一次募集・分割前期募集だけ
活用の範囲は、資料のQ&Aに書かれています。
推薦入試では活用されません。
分割後期募集・第二次募集以降の選抜についても、同様に活用されません。
使われるのは第一次募集・分割前期募集においてのみで、そのなかでも英語学力検査を実施しない学校は活用しない、とされています。
準備については、普段の授業で行っているペア・ワークやグループ活動、スピーチやプレゼンテーション、教科書の「音読」などにこれまでどおり取り組むことです。
ESAT-Jを受けられなかった人には「仮のスピーキングテスト結果」が出る
不受験者については、「仮のスピーキングテスト結果」を算出・点数化し、不利にならないように取り扱います。
換算の対象になるのは2通りです。
- 都内公立中学校に在籍する者のうち、インフルエンザの罹患など、やむを得ない理由により予備日を含めて受験することができなかった者(中学校を経由した措置申請書と理由を証明する書類の提出が必要)
- 都内公立中学校に在籍していないため、スピーキングテストを受験していない者
算出のしかたは、英語学力検査の得点により順位を決め、英語学力検査の得点が同じ者のスピーキングテスト結果をそれぞれ点数化して、その平均値を使う方法です。
平均値が18点以上はA、14点以上18点未満はB、10点以上14点未満はC、6点以上10点未満はD、2点以上6点未満はE、2点未満はFとされています。
資料の例では、同じ英語の得点の者にAが3名・Bが5名・Cが2名いて平均値が16.4点となり、仮の結果はBになっていました。
一方で、上の2通りに該当しない人が受験しなかった場合は、仮の結果は算出されず加点されません。
東京都教育委員会のQ&Aでも、テスト回避を目的とした不受験は0点扱いになります。
ESAT-Jの受験料は無料。実施要項に「受験料」の語は0件だった
保護者としていちばん知りたかったのが費用でした。
令和7年度の実施要項を全文で検索しましたが、「受験料」「費用」「負担」のいずれの語も0件でした。
そこで東京都教育委員会の報道発表までさかのぼると、「受験料」の欄は「無料」と定められています(東京都教育委員会「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)における国私立中学校に在籍する生徒への対応について」)。
ESAT-Jの受験そのものに、生徒・保護者の自己負担はありません。
お金が出るのは申込みの手続きだけで、都外の中学校から申し込む場合は、申込関連資料を請求するための角2返信用封筒と簡易書留分の切手490円分を自分で用意します(令和7年度実施要項)。
ESAT-Jで親が確かめておく4つ
- ①受ける学年を確かめる=6段階で入試に使われるのはYEAR 3だけで、YEAR 1・YEAR 2は3段階
- ②在籍校を確かめる=都内公立中学校等なら全員、国私立・都外なら都立高校を受ける場合に受験できる
- ③日にちを空ける=令和7年度は本試験が11月23日、追・再試験が12月14日で、どちらも午後いっぱい
- ④点数の重みを知る=Aなら20点、1段階下がるごとに4点減り、総合得点1020点のうちの20点になる
この記事の数字は、2026年9月25日に東京都教育委員会のウェブサイトで公開されている資料から写しました。
年度によって日付も扱いも変わるので、受験の前に最新の実施要項でご確認ください。
Comments