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ALTとは何かを、学習指導要領と文部科学省の調査で確かめた。小学校の告示本文にこの語は0件だった

子どもが「今日は外国の先生の日だった」と言って帰ってくることがあります。

学校からのお便りには、ALTという3文字が書いてあります。

担任の先生とは別に、英語の授業に入っている人がいる、というところまでは分かりました。

ただ、その人が毎週来るのか、月に何回なのか、誰が雇っているのかは分かりませんでした。

そこで、国が学校に求めていることが書いてある資料と、国が実際に数えている調査の両方を開きました。

この記事に書いてあるのは、その2つに書いてあったことと、書いていなかったことだけです。

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ALTという語は、小学校学習指導要領の告示本文に1件も出てこない

先に、意外だったほうから書きます。

小学校学習指導要領(平成29年告示)と中学校学習指導要領(平成29年告示)の告示本文PDFを全文テキスト化し、空白を詰めて数えたところ、「ALT」も「外国語指導助手」も両方とも0件でした。

数えた日は2026年9月16日です。

代わりに出てくるのは、別の言い方でした。

中学校の告示本文には「ネイティブ・スピーカーや英語が堪能な地域人材などの協力を得る等,指導体制の充実を図る」と書かれています。

小学校の外国語活動の側にも「学級担任の教師又は外国語を担当する教師が」という書き方が出てきます。

つまり、国の告示は「誰を何人置くか」までは書いていません。

ALTという呼び名と人数は、告示ではなく別の資料の側にあります。

ALTの正式な呼び方は「外国語指導助手」で、文部科学省の調査で数えられている

その別の資料が、文部科学省の英語教育実施状況調査です。

調査項目の一覧には、はっきり書かれています。

小学校の調査項目に「外国語指導助手(ALT)等の活用人数」が入っています。

調査の対象も明記されています。

「各都道府県・市区町村教育委員会及び全ての公立小学校、中学校、高等学校」です。

つまり、一部を抜き出した調査ではなく、公立の全校が対象です。

令和3年度の調査の基準日は、令和3年12月1日と書かれています。

ALTの人数は、小学校で13,903人と書かれている

人数は表で出ています。

契約の形小学校のALT等の人数全体に占める割合
JETプログラム2,472人17.8%
直接任用2,693人19.4%
労働者派遣契約3,580人25.7%
請負契約899人6.5%
その他4,259人30.5%
合計13,903人―
出典=文部科学省 令和3年度「英語教育実施状況調査」概要。「小学校」の欄は他の学校種を兼務している場合を含む人数。「その他」は留学生や英語が堪能な地域人材(日本人を含む)の人数

合計は13,903人で、令和元年度の13,326人から増えています。

調査の本文には、増え方も一言で書かれています。

「ALT等の活用人数の純数(兼務を含まない)は一昨年度より582名増加している」という表記です。

ここで大事なのは、ALTが1つの職種ではないことです。

契約の形が4つに分かれていて、いちばん多いのは「その他」でした。

調査の注記によれば、その他には留学生や英語が堪能な地域人材が入り、日本人も含まれます。

つまり「ALT=外国人の先生」とは限りません。

ALTが授業に入る割合は、小学校がいちばん高い

何回来るのか、という疑問にも、調査は答えを出しています。

「外国語指導助手(ALT)を活用した時数の割合は、小学校ほど高く、学校種が上がるにつれて下がる傾向にある」と書かれています。

具体的な線も示されています。

「授業時数の40%より多くALTを活用する割合は、小学校では7割以上だが、中学校では約3割、高等学校では約1割に留まる」という表記です。

小学校の外国語は、第5学年と第6学年で年70単位時間です。

その4割より多くにALTが入っている学校が7割以上ある、という読み方になります。

子どもが「外国の先生の日」と言う日が多いのは、統計のうえでも自然でした。

ALTが授業で何をしているかも、調査に割合で出ている

来る回数だけでなく、何をしているかも数えられています。

ALTを活用した活動小学校中学校高等学校
教師とのやり取りを児童生徒に示す/やり取り・発表のモデル提示98.3%98.2%94.0%
児童生徒のやり取りの相手98.4%98.4%94.0%
発音のモデル・発音指導98.3%97.6%91.7%
パフォーマンステスト等の補助87.1%95.9%79.4%
児童生徒の発言や作文等に対するコメント・フィードバック87.1%96.7%91.2%
外国語(英語)の授業外での児童生徒との交流71.3%78.3%75.9%
出典=文部科学省 令和3年度「英語教育実施状況調査」概要。小・中学校は全学校に占める割合、高等学校は全学科に占める割合

小学校で9割を超えているのは、モデルを示すこと、やり取りの相手になること、発音の指導の3つです。

逆にいちばん低いのは、授業外での交流で71.3%でした。

調査の本文にも、その点が書かれています。

「授業外での児童生徒との交流や、高等学校におけるパフォーマンステスト等の補助に一層の活用の余地がある」という表記です。

ALTと担任の先生は、どちらが英語を教えているのか

ここは、資料の読み方に注意が必要でした。

調査の項目名は「ALT等の活用人数」です。

活用、という言葉が使われていて、担任に代わって教える人という書き方はされていません。

告示本文の側も、指導体制の充実という言い方でした。

上の表を見ると、小学校でALTがやっていることの上位3つは、モデルを示す・相手になる・発音を示す、です。

授業を設計しているのは学校の先生で、ALTはその中で役割を持っている、という構図が数字からは読めます。

ただ、これは全国の割合であって、その学校がどうかは別です。

ALTを画面越しに呼ぶ授業は、小学校ではまだ6.5%

同じ調査には、ICT機器の活用状況という項目もあります。

その中に、ALTに関わる行が1つ入っていました。

「遠隔地の教師やALT等とティーム・ティーチングを行う授業」を行った小学校の割合は6.5%でした。

令和元年度は2.8%だったので、2年で2倍以上になっています。

それでも、100校のうち6校か7校です。

ALTが画面の向こうから授業に入る形は、小学校ではまだ少数でした。

一方で、ICT機器そのものを使った小学校の割合は99.9%と書かれています。

機器は行き渡っていて、遠隔でALTを呼ぶ使い方だけが少ない、という形になります。

ALTの人数を読むときに、注記を先に読む必要がある

13,903人という数字には、注記が3つ付いています。

  • 「小学校」「中学校」「高等学校」の欄は、それぞれ他の学校種を兼務している場合を含む人数
  • 「純計」欄は、小・中・高等学校の学校種間で兼務している場合に、重複を除いた
  • 「その他」は、留学生や英語が堪能な地域人材(日本人を含む。)の人数

つまり小学校の13,903人には、中学校と掛け持ちしている人も入っています。

1人が複数の学校種を回っているなら、実際の人の数はこれより少なくなります。

調査が「純数(兼務を含まない)」という別の数え方を併記しているのは、そのためです。

数字を見るときは、どちらの数え方かを先に確かめる必要がありました。

ALTについて、この記事で分からなかったこと

調査を読んでも分からなかったことが3つあります。

  • 自分の子どもの学校にALTが何人いるか(この調査は全国と都道府県別の集計です)
  • ALTが週に何回来るか(調査にあるのは授業時数に占める割合で、回数ではありません)
  • ALTの資格や採用の条件

この3つは今回開いた資料に書かれていなかったので、分からないと書いておきます。

文部科学省は都道府県別の一覧表も別のPDFで公開しています。

「ALT活用人数(小中高)及び小学校」という名前のファイルです。

住んでいる都道府県までなら、そこで確かめられます。

ALTのことを学校に聞くときに、使える材料

ここまでで分かったことを、聞き方に置き換えます。

  • 「ALTの方はどの契約の形ですか」=JETプログラム・直接任用・労働者派遣契約・請負契約の4つがある
  • 「年間の授業のうち、何割にALTが入りますか」=国の調査も回数ではなく割合で数えている
  • 「授業の中でALTの方は何をされますか」=モデル提示・やり取りの相手・発音指導が全国では9割を超えている

どれも、文部科学省の調査に出てくる言葉をそのまま使っています。

人数と割合は、令和3年度の調査の値です。

取得した日は2026年9月16日です。

最新の年度の数字は、文部科学省の外国語教育のページでご確認ください。

この記事は特定の指導体制の良し悪しを判定するものではなく、公開されている資料に書いてあることと書いていないことを整理したものです。

この記事を書くために開いた出典

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