小学生の英語の通信教育を申し込む前に、私は法律の側から見た決まりを確かめました。
気になったのは「合わなかったら返せるのか」と「広告のどこまでを信じていいのか」の2つです。
そこで各社の規約ではなく、e-Gov法令検索で特定商取引に関する法律の原文を開きました。
あわせて小学校学習指導要領(平成29年告示)の語数も並べています。
この記事に書いてあるのは、法律と政令と告示の条文に書いてあったことだけです。
小学生の英語の通信教育は、法律では通信販売として扱われる
ネットや郵送で申し込む形は、特定商取引に関する法律の「通信販売」の節に入ります。
この節には、広告の表示・誇大広告の禁止・契約の解除の3つが並んでいます。
条文が守らせているのは業者側の表示なので、家で見るときは「広告に何が書いてあるか」が手がかりになります。
この記事は条文を写したもので、個別の契約についての判断は消費生活センターなどにご相談ください。
小学生向けの広告に表示させる項目が、第11条に並んでいる
第11条は、通信販売の広告に表示しなければならない事項を挙げています。
- ①商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(送料が含まれない場合は販売価格及び商品の送料)
- ②代金又は対価の支払の時期及び方法
- ③商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
- ④申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
- ⑤申込みの撤回又は解除に関する事項(特約があるときはその内容を含む)
- ⑥前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項
ただし第11条にはただし書きがあり、請求すれば書面や電磁的記録を交付する旨を表示する場合は一部を表示しないことができます。
広告に書いていないときは、請求して書面で受け取る道が残されているという作りです。
小学生向けの英語教材でも、誇大広告は第12条で禁止されている
広告の中身についても条文があります。
第12条は「著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない」です。
対象になるのは、商品の性能や役務の内容、それに申込みの撤回や解除に関する事項です。
つまり教材の効果の書き方も、返品の条件の書き方も、同じ条文で縛られています。
何が誇大に当たるかの線は、条文の中では主務省令に委ねられています。
小学生の英語教材を8日で返せるかは、第15条の3で決まる
返品については、第15条の3が定めています。
原文は「その売買契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転を受けた日から起算して八日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除を行うことができる」です。
起算点は契約日ではなく、商品の引渡しを受けた日になっています。
ただし続くただし書きは「当該販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合」は適用されないとしています。
広告に「返品不可」などの特約が表示されていれば、8日の返品はその特約に従う形です。
もう1つ、この条文が対象にしているのは商品と特定権利の売買契約です。
役務そのものの契約について、第15条の3が8日と書いている箇所は見つかりませんでした。
小学生向けの通信教育で、返送の費用は購入者の負担と書かれている
送料の扱いも同じ条文にありました。
第15条の3第2項は「その引取り又は返還に要する費用は、購入者の負担とする」です。
教室の契約とは逆で、通信販売の返品では送料が家庭側の負担になります。
教室の契約を解除する場合は、第48条第5項が事業者側の負担としていました。
同じ英語の契約でも、どの節に入るかで送料の扱いが変わります。
小学生の英語の通信教育が「特定継続的役務」に入る場合もある
通信販売の節とは別に、特定継続的役務提供の章があります。
第41条第1項第1号は、政令で定める期間を超え、政令で定める金額を超える契約を対象にしています。
施行令第24条第2項の金額は「五万円」で、別表第四の「語学の教授」の期間は「二月」です。
別表第四の四と五には提供する場所の限定が書かれていますが、三の語学の教授にはその限定がありません。
どの項に当たるかは条文からは決められないので、ここでは条文の違いだけを書いておきます。
小学生向けの契約が特定継続的役務なら、書面が2回渡される
特定継続的役務提供の章に入る場合は、第42条が書面を渡させます。
第42条第1項は契約を締結するまでに概要を記載した書面、第2項は締結後に遅滞なく内容を明らかにする書面です。
第2項が挙げる記載事項には、役務の内容・対価の額・支払の時期と方法・役務の提供期間が並びます。
この書面を受け取った日が、第48条の8日の起算点になります。
第48条第1項は、8日を経過したときを除き、書面又は電磁的記録で解除できるとしています。
第48条第4項は、その解除に伴う損害賠償や違約金の支払を請求できないとしています。
小学生の英語の通信教育を途中でやめるときの上限額
8日を過ぎたあとは、第49条の中途解約になります。
| 別表第四の項 | 期間 | 解除によって通常生ずる損害の額 | 締結・履行に通常要する費用の額 |
|---|---|---|---|
| 三 語学の教授 | 二月 | 5万円又は契約残額の100分の20に相当する額のいずれか低い額 | 1万5千円 |
| 四 入学試験の準備・学校教育の補習(事業所以外の場所) | 二月 | 5万円又は1月分の役務の対価に相当する額のいずれか低い額 | 2万円 |
| 五 入学試験の準備・学校教育の補習(事業所などで提供) | 二月 | 2万円又は1月分の役務の対価に相当する額のいずれか低い額 | 1万1千円 |
第49条第2項は、損害賠償額の予定や違約金の定めがあってもこの額を超える請求はできないとしています。
教材の扱いは第48条第2項の関連商品の定めで、別表第五の三に書籍と記録物が挙げられています。
小学生の英語の通信教育の中身は、告示の語数と並べて見る
学校で扱う量も確かめました。
小学校学習指導要領の外国語には600〜700語程度の語です。
授業時数は施行規則の別表第一で、小学5年と小学6年の外国語が各70単位時間です。
小学3年と小学4年は外国語活動で各35単位時間と定められています。
教材の広告が「学校の何倍」と書いているときは、この数字と並べて読むことができます。
小学生の英語の通信教育と、教室の契約の違いを並べる
ここまで読んだ条文を、通信教育と教室で並べ直しました。
| 項目 | 通信販売として読む場合 | 特定継続的役務として読む場合 |
|---|---|---|
| 根拠の条文 | 第11条・第12条・第15条の3 | 第41条・第42条・第48条・第49条 |
| 8日の起算日 | 商品の引渡しを受けた日 | 第42条の書面を受領した日 |
| 特約で外れるか | 広告に表示された特約が優先される | 特約で外せる定めは書かれていない |
| 返送の費用 | 購入者の負担(第15条の3第2項) | 事業者側の負担(第48条第5項) |
同じ「英語を学ぶ契約」でも、どちらで読むかで8日の数え方まで変わります。
だから広告で先に見るのは、返品の特約が表示されているかどうかになります。
小学生の英語の通信教育について、条文に書いていなかったこと
読んでも分からなかったことも並べておきます。
- ①返金の期限=何日以内に返金するかの期限は第15条の3には書かれていない
- ②開封後の扱い=開けた教材を返せるかは条文には書かれていない
- ③デジタル教材の扱い=ダウンロード型の商品の引渡日は条文からは決められない
- ④どの節に入るか=各社の契約がどの章に当たるかは条文からは決められない
条文に無いことは、この記事でも書きませんでした。
小学生の英語の通信教育を選ぶとき、家で確かめられる4つ
ここまでの条文だけで確かめられることを並べます。
- ①広告に返品の特約が出ているか見る=表示があれば第15条の3の8日は適用されない
- ②引渡しの日を残す=返品の8日は商品を受け取った日から起算する
- ③期間と総額を見る=2月を超えて5万円を超えるなら特定継続的役務の章も関係する
- ④第11条の6項目が広告にそろっているか見る=足りなければ書面を請求できる
この記事の条文は、2026年9月21日にe-Gov法令検索で取得した原文をそのまま写しました。
法令は改正されることがあるので、申し込む前に最新の条文と消費生活センターでご確認ください。
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