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小学校の英語の授業の内容は実際になにをやっている?学習指導要領の本文だけで、3・4年と5・6年の違いを全部書き出した

「今日、英語の授業なにやったの?」と聞くと、「ゲーム」と返ってきます。

次の日も「歌」でした。

ノートも持ち帰らないし、テストの紙も出てこないので、何をどこまでやっているのかが親からはまったく見えません。

私は、そのもやもやを自分の感覚で決めたくなかったので、文部科学省が出している小学校学習指導要領の本文を開いて、外国語活動と外国語のところを最初から最後まで読み直しました。

この記事に書いてあるのは、そこに書いてあったことと、書いていなかったことだけです。

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小学校の英語の授業の内容は、3・4年と5・6年でまったく別物になっている

先に結論を書きます。

小学校の英語は、ひとつの教科としてつながっているように見えて、3・4年と5・6年では名前も目標も扱う技能も別でした。

3・4年は「外国語活動」といって、告示のなかでは第4章という独立した章に置かれています。

5・6年は「外国語」で、国語や算数と同じ第2章(各教科)の第10節に入っています。

章が違うということは、制度上の位置づけが違うということです。

まずは、その差を一覧にしました。

項目小3・小4小5・小6
呼び方外国語活動外国語(教科)
告示での位置第4章第2章 第10節
扱う領域聞くこと/話すこと[やり取り]/話すこと[発表]の3つ上の3つ+読むこと/書くことの5つ
目標の言葉コミュニケーションを図る素地コミュニケーションを図る基礎
年間の授業時数35単位時間70単位時間

出典=文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)

この表を作っただけで、子どもの「ゲーム」という返事の意味が少し変わりました。

3・4年のあいだは、そもそも読み書きが領域に入っていません。

だからノートが持ち帰られないのは、たぶん自然なことでした。

小学校3・4年の英語の授業の内容は「聞くこと」と「話すこと」しかない

3・4年の外国語活動で設定されている領域は、3つだけです。

告示には、それぞれの領域でどこまでを目指すのかが、かなり具体的に書かれていました。

  • 聞くこと=ゆっくりはっきりと話された際に、自分のことや身の回りの物を表す簡単な語句を聞き取る/身近で簡単な事柄に関する基本的な表現の意味が分かる/文字の読み方が発音されるのを聞いた際に、どの文字であるかが分かる
  • 話すこと[やり取り]=挨拶・感謝・簡単な指示をしたり、それらに応じたりする/動作を交えながら自分の考えや気持ちを伝え合う/サポートを受けて質問をしたり答えたりする
  • 話すこと[発表]=人前で実物などを見せながら、身の回りの物・自分のこと・日常生活に関する事柄を話す

私がいちばん驚いたのは、「話すこと」の3項目すべてに「人前で」が入っていたことです。

英語が話せるかどうかの前に、みんなの前で立って何かを見せながら話す、という設計になっていました。

つまり3・4年の英語は、英語の力と同じくらい「人前に立つ力」を使う時間だということです。

文字の扱いについても、はっきりした一文がありました。

文字については,児童の学習負担に配慮しつつ,音声によるコミュニケーションを補助するものとして取り扱うこと。

3・4年で文字が出てくるのは、あくまで音声の「補助」としてです。

アルファベットを書かせて覚えさせる時間ではありません。

小学校5・6年の英語の授業の内容に「読むこと」と「書くこと」が加わる

5年生から、領域が3つから5つになります。

ここで「読むこと」と「書くこと」が入ってくるのですが、その中身は私が想像していたものより、ずっと手前でした。

領域告示に書かれている到達点
読むこと ア活字体で書かれた文字を識別し、その読み方を発音することができるようにする
読むこと イ音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現の意味が分かるようにする
書くこと ア大文字、小文字を活字体で書く。語順を意識しながら、音声で十分に慣れ親しんだ語句や表現を書き写す
書くこと イ例文を参考に、音声で十分に慣れ親しんだ語句や表現を用いて書く

出典=文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)第2章第10節

「読むこと」は、文章を読んで内容をつかむところまでは求められていません。

文字を見分けて発音できること、そして耳で十分に慣れた語句なら意味が分かること。

そこまでです。

「書くこと」も、自由に英作文をさせる形にはなっていませんでした。

「書き写す」「例文を参考に」という条件が、そのまま条文に書いてあります。

どの項目にも「音声で十分に慣れ親しんだ」という前置きが付いているのも、読み落とせないところでした。

順番が決まっているのです。

耳が先、文字は後。

小学校の英語の授業の内容を決めているのは「素地」と「基礎」という2語

目標の文は、3・4年と5・6年でほとんど同じ形をしています。

違うのは、技能の並びと、最後のほうの1語だけでした。

目標の文のどこか第4章 外国語活動(3・4年)第2章第10節 外国語(5・6年)
通す言語活動聞くこと、話すこと聞くこと、読むこと、話すこと、書くこと
育てるものコミュニケーションを図る素地となる資質・能力コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力
文末次のとおり育成することを目指す

出典=文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)それぞれの「第1 目標」

素地と基礎です。

どちらにも、「英語が話せるようになる」とは書かれていませんでした。

国が6年間の設計図として掲げている言葉が、「素地」と「基礎」だということです。

この2語を知ってから、私は学校の授業に対する期待の置き方を変えました。

学校が土台を作る場所だとすると、その上に何を積むかは家庭の側の判断になります。

逆に言えば、土台の部分は学校がやってくれる、とも読めます。

どちらに読むかで、家でやることが変わりました。

小学校の英語の授業の内容にあてられる時間は、年35時間と年70時間

内容と同じくらい大事なのが、それをどれだけの時間でやるのかです。

授業時数は、学校教育法施行規則の別表第一に数字で決まっていました。

学年欄年間の授業時数1単位時間週あたりの目安
小1・小2外国語の欄なし—45分—
小3・小4外国語活動3545分週1コマ
小5・小6外国語7045分週2コマ

「1単位時間は45分」というのは私が計算したものではなく、別表第一の備考に「この表の授業時数の一単位時間は,四十五分とする。」と明記されています。

3・4年は、1年かけて合計35コマ。

時間にすると、1年でおよそ26時間です。

それでも、教室のなかに英語の時間があることに変わりはありません。

もうひとつ、時間割まわりで知っておくと学校の様子が読めるようになる条文がありました。

各教科等の特質に応じ,10 分から 15 分程度の短い時間を活用して特定の教科等の指導を行う場合において,(中略)その時間を当該教科等の年間授業時数に含めることができること。

朝の10分や15分の短い時間を、年間の授業時数として数えてよい、と書いてあります。

だから学校によっては、45分の授業だけでなく、朝の短い時間に英語をやっていることがあります。

時間割を見ても英語が見当たらないのに子どもが英語の話をする、という場合はここが理由かもしれません。

小学校の英語の授業の内容で扱う語は600〜700語(3・4年の分を含む)

語数は、はっきり数字で書かれていました。

第3学年及び第4学年において第4章外国語活動を履修する際に取り扱った語を含む 600 〜 700 語程度の語

読み落としやすいのは、「3・4年で取り扱った語を含む」というところです。

3・4年で数百語をやって、5・6年でさらに600語を足す、という積み上げではありませんでした。

小学校を卒業するまでの合計が、600〜700語程度です。

語だけでなく、連語と慣用表現についても、具体例まで載っていました。

  • 連語=get up、look at などの活用頻度の高い基本的なもの
  • 慣用表現=excuse me、I see、I’m sorry、thank you、you’re welcome などの活用頻度の高い基本的なもの
  • 文字と符号=活字体の大文字・小文字/終止符や疑問符、コンマなどの基本的な符号

条文に実際の英単語が例として並んでいるのは、この部分だけでした。

逆に言うと、ここに並んでいる水準が、国の想定している小学校英語の手触りです。

小学校の英語の授業の内容に入っている文と文構造は、この範囲まで

文法という言葉は使われていませんが、扱う文の種類は列挙されていました。

5・6年の「文及び文構造」の項目に書かれていたのが、次の範囲です。

分類告示に挙がっているもの
文単文/肯定・否定の平叙文/肯定・否定の命令文
疑問文be動詞で始まるもの/助動詞(can、do など)で始まるもの/疑問詞(who、what、when、where、why、how)で始まるもの
代名詞I、you、he、she などの基本的なものを含むもの
動詞の形動名詞や過去形のうち、活用頻度の高い基本的なものを含むもの
文構造[主語+動詞]/[主語+動詞+補語]/[主語+動詞+目的語]の3つ

出典=文部科学省 小学校学習指導要領(平成29年告示)第2章第10節

文構造は3つしかありません。

そして、その扱い方にも条件が付いていました。

文法の用語や用法の指導に偏ることがないよう配慮して,言語活動と効果的に関連付けて指導すること。

用語や用法を教える方向に偏らないように、と条文の側から釘が刺してあります。

同じ項目には、日本語と英語の語順の違いに気付かせること、という記述もありました。

語順を「教える」のではなく、「気付かせる」です。

動詞の書き換え練習のようなものが出てこないのは、この一文があるからでした。

小学校の英語の授業の内容は「〜する活動」という形で条文に並んでいる

子どもが「ゲームだった」と言うのは、たぶん嘘ではありません。

告示の「言語活動に関する事項」には、授業でやることが「〜する活動。」という文末でずらりと並んでいました。

  • 身近な人や身の回りの物に関する語句や表現を聞いて、それらを表すイラストや写真などと結び付ける活動(3・4年)
  • 自分や相手の好み及び欲しい物などについて、簡単な質問をしたり質問に答えたりする活動(3・4年)
  • 身の回りの物の数や形状などについて、人前で実物やイラスト、写真などを見せながら話す活動(3・4年)
  • 日付や時刻、値段などを表す表現など、日常生活に関する事柄について、具体的な情報を聞き取る活動(5・6年)
  • 日常生活に関する事柄を内容とする掲示やパンフレットなどから、自分が必要とする情報を得る活動(5・6年)
  • 語句や表現を用いて、自分の趣味や得意なことなどを含めた自己紹介をする活動(5・6年)
  • 名前や年齢、趣味、好き嫌いなど自分に関する事柄について、例の中から言葉を選んで書く活動(5・6年)

全部が「活動」です。

さらに、その活動をどんな場面で行うかまで例示されていました。

学年条文に挙がっている「特有の表現がよく使われる場面」
小3・小4挨拶/自己紹介/買物/食事/道案内 など
小5・小6挨拶/自己紹介/買物/食事/道案内/旅行 など

5・6年で「旅行」が1つ増えるだけで、あとは同じ場面が繰り返されます。

新しいことをどんどん足すのではなく、同じ場面を学年をまたいで繰り返す設計でした。

実際、5・6年の指導計画の項には「3・4年で扱った簡単な語句や基本的な表現などの学習内容を繰り返し指導し定着を図ること」と書かれています。

小学校の英語の授業の内容に、宿題や単語テストのことは書かれていない

ここは、見つからなかったことをそのまま書きます。

告示の全文を機械で検索したところ、次の言葉は1件も出てきませんでした。

検索した語告示の全文での件数
宿題0件
単語テスト0件
暗記0件
予習0件
復習0件

つまり、単語を覚えさせる宿題も、小テストも、国が求めているものではありません。

⛔ 出している学校が間違っている、という話ではありません。

どこまでやるかは各学校が決めてよいことになっているので、宿題が出ることも、出ないこともあります。

言えるのは、「出ていないからうちの学校は遅れている」という心配は、条文の側からは根拠がない、というところまでです。

もうひとつ、親が勘違いしやすいところがありました。

アルファベットを「書く」のは5・6年の外国語ですが、ローマ字は3年生の国語で扱います。

国語の第3学年の内容に、「日常使われている簡単な単語について,ローマ字で表記されたものを読み,ローマ字で書くこと」と書いてありました。

英語のアルファベットとローマ字は、別の教科で、別の学年に出てきます。

小学校の英語の授業の内容から逆算すると、家で補えるのは3つだけ

ここからは、条文を読んで私が家の方針として決めたことです。

⛔ 「こうしなさい」と告示に書いてあったわけではないので、そこは分けて読んでください。

授業の内容が分かると、家でやることは自然と絞れました。

  • ①音と文字を結び付ける時間を増やす:3・4年の目標に「文字の読み方が発音されるのを聞いた際に、どの文字であるかが分かる」とあります。家でアルファベットの音を一緒に言うだけで、ここに重なります
  • ②語順を口に出す機会を作る:5・6年は「語順を意識しながら書く」が到達点です。書かせる前に、言う回数を増やすほうが条文の順番と合っています
  • ③扱う場面を家の中に持ち込む:挨拶・自己紹介・買物・食事・道案内は、そのまま家で再現できる場面です

3つとも、条文に書かれている到達点をそのまま家に置き換えただけです。

新しい教材を探す前に、まずここが埋まっているかを見ました。

逆に、家でやらないと決めたこともあります。

単語をリストで覚えさせることと、文法用語を教えることの2つです。

どちらも、小学校の側は明確にそこを目指していませんでした。

学校がやっていない形を家だけで先にやると、子どもの中で英語が別のものになってしまう気がしたので、やめました。

小学校の英語の授業の内容を、親が自分で確かめる方法

最後に、今日そのままできることを3つ書いておきます。

  • 学校からもらった年間指導計画を見て、外国語活動または外国語の時数を数える(3・4年は35、5・6年は70が標準です)
  • 子どもに「今日は何の活動だった?」と聞き方を変える(条文の側が「活動」という単位で書かれているので、こう聞くと答えが返ってきやすくなりました)
  • 告示の第4章と第2章第10節だけを読む(この2つで、小学校6年分の英語の内容はすべてです)

3つ目は、実際にやってみると30分もかかりませんでした。

ページ数にすると、外国語活動が5ページほど、外国語が9ページほどです。

ほかのどんな解説記事より、この2章を読むのが早かったというのが、私の正直な感想です。

授業参観で何を見ればいいかも、読んだあとのほうがはっきりしました。

小学校の英語の授業の内容について、この記事で使った出典

この記事の事実部分は、すべて次の資料から取りました。

数字と引用は、上のPDFの本文をそのまま確認したものです(2026年9月時点)。

学習指導要領は改訂されることがあるので、最新の内容は上のページで確認してください。

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