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小学生の英語教材を、文科省の資料だけで整理した。教科書は無償・補助教材は家庭負担、家で足すなら5領域のどれを補うか

小学5年生の子が、学校から英語の教科書を持ち帰ってきました。

同じ週に、書店の学習コーナーで「小学生の英語」と書かれた棚の前に立って、何を買えばいいのか分からないまま帰ってきました。

家でやらせるなら何を使うのが正しいのか、自分の感覚では決められませんでした。

そもそも学校で使っている教科書が何をどこまで扱うのかを知らないまま、家の教材だけを増やしても意味がないと思ったからです。

そこで、文部科学省が出している学習指導要領と、教科書制度の説明と、補助教材についての通知を、上から順番に読み直しました。

この記事に書いてあるのは、文部科学省の公的資料に書いてあったことと、書いていなかったことだけです。

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小学生の英語教材は、公的には「教科書」と「補助教材」の2つに分かれていた

先に結論を書きます。

学校で使うものは、法律の上で「教科用図書(教科書)」と「それ以外の教材(補助教材)」の2つに分かれていました。

文部科学省の通知には、その根拠がそのまま書かれています。

「学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならないが、教科用図書以外の図書その他の教材(補助教材)で、有益適切なものは、これを使用することができる」という文です。

根拠として挙げられているのは学校教育法第34条第2項、第49条、第62条、第70条、第82条でした。

同じ通知は、補助教材が何を指すのかも具体的に並べています。

「一般に、市販、自作等を問わず、例えば、副読本、解説書、資料集、学習帳、問題集等のほか、プリント類、視聴覚教材、掛図、新聞等も含まれる」と書かれていました。

つまり、家でよく見る学習帳も、先生が配るプリントも、動画の教材も、公的には同じ「補助教材」の箱に入ります。

小学生が学校で使う英語の教科書は、国の負担で無償で配られる

教科書だけは、ほかの教材と扱いがはっきり違いました。

文部科学省の「教科書制度の概要」には、義務教育諸学校で使われる教科書は全児童生徒に対し国の負担によって無償で給与される、と書かれています。

対象は国立・公立・私立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程、特別支援学校の小学部・中学部です。

つまり、学校が英語で使う主たる教材については、家庭がお金を出す前提になっていません。

家で追加の教材を検討するときに最初に確かめるべきなのは、この無償で配られた1冊が何を扱っているかです。

教科書は「教科の主たる教材」と位置づけられている、という説明も同じ資料にありました。

小学生の英語教科書が手元に届くまでには、検定・採択・発行の3段階がある

教科書がどう作られているのかも、同じページに書かれていました。

日本の教科書制度は、民間の発行者が著作・編集するのが基本です。

発行者は学習指導要領と教科用図書検定基準をもとに図書を作り、文部科学大臣に検定を申請します。

検定は、文部科学省の教科書調査官の調査と、教科用図書検定調査審議会の審議を経て行われます。

合格した図書だけが、学校で教科書として使う資格を与えられます。

段階誰がやるか資料に書かれていたこと
著作・編集民間の教科書発行者学習指導要領と教科用図書検定基準をもとに作る
検定文部科学大臣教科書調査官の調査+審議会の答申にもとづいて判断する
採択公立は教育委員会/国・私立は校長種目ごとに1種類を決める
発行・供給発行者と供給業者需要数の報告を受けて製造し、学校へ届ける
無償給与国義務教育諸学校の全児童生徒に無償で配る
出典=文部科学省「教科書制度の概要 2.教科書が使用されるまで」(2026年9月16日に閲覧)

検定はおおむね4年ごとの周期で行われる、とも書かれていました。

小学生が使う英語教科書は4年間同じ。どれを使うかは担任が選ぶわけではない

ここは、読むまで誤解していたところでした。

公立学校で使う教科書を決める権限は、その学校を設置する市町村や都道府県の教育委員会にあると書かれています。

国立・私立学校については、校長に権限があります。

市町村立の小学校では、都道府県教育委員会が「採択地区」を設定し、地区が2つ以上の市町村にまたがるときは採択地区協議会の協議の結果にもとづいて1種類を決めます。

採択地区は令和6年6月現在で全国581地区あり、1地区は平均して約3市町村で構成されていました。

そして、義務教育諸学校用の教科書は原則として4年間同じものを採択することとされています。

採択の時期も決まっていて、使用する年度の前年度の8月31日までに行わなければならないとされていました。

つまり、隣の市と使っている英語教科書が違っても、それは制度どおりの姿です。

保護者が中身を見る道もあります。

都道府県教育委員会は毎年6月から7月の間に教科書展示会を行っていて、会場となる教科書センターは令和7年5月現在で全国に962か所ありました。

近年は公立図書館や学校図書館での教科書の整備も進められている、と書かれています。

小学生の英語教材に求められる中身は、学習指導要領に文章で書いてある

「教材はこうあるべき」という基準も、実は公的に文章で存在していました。

小学校学習指導要領(平成29年告示)の外国語には、「教材については、次の事項に留意するものとする」という項があります。

そこに書かれている1つ目は、教材が5つの領域をまとめて育てるものであること、でした。

原文では「聞くこと、読むこと、話すこと[やり取り]、話すこと[発表]、書くことなどのコミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を総合的に育成するため」と書かれています。

つまり、聞く・読む・やり取り・発表・書くの5つが公的な単位で、4技能ではなく5領域という数え方をしています。

2つ目は、題材についてです。

「英語を使用している人々を中心とする世界の人々や日本人の日常生活、風俗習慣、物語、地理、歴史、伝統文化、自然などに関するもの」から選ぶ、と書かれていました。

そのうえで、多様な考え方の理解、文化への関心、国際理解という観点に配慮することが挙げられています。

家の教材を見比べるときも、この「5領域のどれを扱っているか」と「題材が偏っていないか」は、そのまま物差しとして使えます。

指導計画の側にも教材に触れた一文があります。

「視聴覚教材やコンピュータ、情報通信ネットワーク、教育機器などを有効活用し」と書かれていて、紙以外を使うことは想定の中に入っていました。

小学生の英語教材が扱う範囲は、授業時数と語数で線が引かれている

どこまでが小学校の範囲なのかも、告示の中に数字で書かれています。

学年教科等の名前年間の授業時数1単位時間
小学3年・小学4年外国語活動35単位時間45分
小学5年・小学6年外国語70単位時間45分
出典=小学校学習指導要領(平成29年告示)別表第一(2026年9月16日に本文で確認)

語数についても、小学5年・6年の外国語で「第3学年及び第4学年において第4章外国語活動を履修する際に取り扱った語を含む600〜700語程度の語」と書かれています。

この600〜700語には、3年・4年の外国語活動で触れた語も含まれます。

つまり、5年・6年の2年間で新しく600語を覚えるという意味ではありません。

なお、同じ告示のファイルには中学校の条文も入っていて、そちらには「小学校で学習した語に1600〜1800語程度の新語を加えた語」と書かれています。数字を見るときは、どの校種の章かを確かめる必要があります。

連語や慣用表現の例も具体的に挙げられていました。

get up、look at のような連語と、excuse me、I see、I’m sorry、thank you、you’re welcome のような表現です。

家の教材が扱う語や表現がこの範囲から大きく外れているなら、それは学校の授業の補強ではなく、別のことをしている教材だと考えられます。

小学生の英語のデジタル教科書は、令和6年度から段階的に配られている

紙以外の教材についても、公的な定義がありました。

文部科学省は、学習者用デジタル教科書を「紙の教科書の内容の全部をそのまま記録した電磁的記録である教材」と説明しています。

根拠は学校教育法第34条第2項および学校教育法施行規則第56条の5です。

ここで大事なのは、その次に書かれていた一文でした。

動画・音声やアニメーション等のコンテンツは学習者用デジタル教科書に該当せず、補助教材として扱われる、と明記されています。

つまり、画面の中で動いて音が出るものすべてが「デジタル教科書」なのではありません。

使える量の決まりも変わってきました。

もともとは各教科等の授業時数の2分の1に満たない範囲という基準でしたが、令和3年4月から2分の1以上使えることになった、と書かれています。

そして配付の話です。文部科学省のお知らせには、令和6年度から段階的に導入していること、各参加校に「小学校5年生〜中学校3年生の英語及び算数・数学」のデジタル教科書を提供することが書かれていました。

提供されるのは、その学校で採択された教科書と同じ発行者のものです。

英語は、小学校でデジタル教科書が先に入っている教科の1つ、ということになります。

うちの学校で配られているかどうかは、教育委員会に確認するよう案内されていました。

小学生の英語で使う「補助教材」には、学校側にも決まりがある

補助教材は自由に何でも使えるわけではありませんでした。

平成27年3月4日の通知に、留意事項が3つ並んでいます。

  • 教育基本法、学校教育法、学習指導要領等の趣旨に従っていること
  • その使用される学年の児童生徒の心身の発達の段階に即していること
  • 多様な見方や考え方のできる事柄、未確定な事柄を取り上げる場合には、特定の見方や考え方に偏った取扱いとならないこと

出典=文部科学省「学校における補助教材の適正な取扱いについて(通知)」26文科初第1257号(平成27年3月4日)。

さらに、教育委員会の関与についても書かれています。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律第33条第2項にもとづき、補助教材の使用をあらかじめ届け出させるか、承認を受けさせる定めを設けるものとされています。

ただし同じ通知は、すべてを事前の届出や承認にかからしめる趣旨ではない、とも書いていました。

学校で有益適切な補助教材を効果的に使うことを抑制しないように、という但し書きが付いています。

この3つの留意事項は、家で教材を選ぶときの見方としてもそのまま使えます。

学年に合っているか、指導要領の趣旨から外れていないか、片寄った見方を刷り込む作りになっていないか、の3点です。

小学生の英語教材でお金がかかるのは、教科書ではなく補助教材のほう

費用についても、通知に一行だけ書かれていました。

「補助教材の購入に関して保護者等に経済的負担が生じる場合は、その負担が過重なものとならないよう留意すること」という文です。

教科書が無償である一方で、補助教材には家庭の負担が生じうる、という前提がここに表れています。

この論点は、その後さらに新しい通知になりました。

令和7年6月25日付けの「学校における補助教材及び学用品等に係る保護者等の負担軽減について(通知)」(7文科初第873号)です。

この通知では、物価高により家計の負担軽減が一層重要になっていることを踏まえ、教育委員会が工夫している事例を整理して周知する、と書かれています。

国が「負担を減らす工夫を集めて配る」段階に来ている、ということです。

家の教材を足すかどうかを考えるときも、まず無償で配られている教科書とデジタル教科書を使い切ってから、というのが資料に沿った順番になります。

小学生の英語教材を家で選ぶとき、今日できること3つ

読み終えて、家ですぐに動かせることは3つに絞れました。

  • 1つ目=学校から持ち帰った英語の教科書を開いて、いま何の単元をやっているかを見る。国の負担で配られた、その学年の主たる教材がこれ。
  • 2つ目=家で足す教材を、5つの領域(聞く/読む/やり取り/発表/書く)のどれを補うものか1つに決める。指導要領が教材に求めているのはこの5つ。
  • 3つ目=学校でデジタル教科書が配られているかを確認する。令和6年度から小学5年生以上の英語で段階的に提供されており、配られていれば家でも同じ内容に触れられる。

逆に、いま決めなくていいのは「どのブランドの教材か」です。

公的資料は、教材の中身が満たすべき条件は書いていますが、特定の商品を推してはいません。

5領域のどれを補うかが決まっていれば、棚の前で迷う時間はかなり短くなります。

そして、学校で使う補助教材について疑問があるときは、担任の先生か学校に直接たずねるのがいちばん早いです。

お子さんに合うかどうかで迷うときは、担任の先生など、直接見ている方にご相談ください。

この記事を書くために開いた出典

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