小学3年生の子が持ち帰った時間割に、見慣れない4文字が並んでいました。
「外国語活動」と書いてあって、でも別の欄には「英語」とは書かれていません。
本人に聞くと「歌ったりゲームしたりする」と言うので、これは授業なのか遊びなのか、正直よく分かりませんでした。
ネットで調べると「英語の授業のこと」と書いてあるページと「英語とは別物」と書いてあるページが両方出てきて、余計に迷いました。
そこで、誰かの説明を読むのをやめて、国が出している告示そのものを開くことにしました。
読んだのは、文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)と、そこに載っている学校教育法施行規則の条文です。
この記事に書いてあるのは、その告示に書いてあったことと、書いていなかったことだけです。
外国語活動とは、小3・小4が年35単位時間受ける「各教科とは別の時間」のこと
先に結論を書きます。
外国語活動は、小学校3年生と4年生が受ける時間で、年間の授業時数はそれぞれ35単位時間です。
そして、学校教育法施行規則の中で「各教科」とは別に並べられていて、国語や算数と同じ列には入っていません。
だから「英語の授業のこと」と言い切ってしまうと、少しずれます。
英語を扱う時間ではあるのですが、制度上の置かれ方が教科とは違うのです。
教科としての「外国語」が始まるのは小学5年生からで、こちらは年70単位時間です。
つまり小学校の英語は、3年生から6年生までの4年間が、前半2年と後半2年で性格の違う2段構えになっています。
この2段構えを知っているかどうかで、家でのつき合い方がかなり変わりました。
外国語活動が教科と分けて書かれていることは、施行規則の条文で確かめられる
小学校学習指導要領の巻末には、関係する法令が載っています。
そこにある学校教育法施行規則の第五十条は、こう書かれています。
「小学校の教育課程は、国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭、体育及び外国語の各教科、特別の教科である道徳、外国語活動、総合的な学習の時間並びに特別活動によつて編成するものとする。」
読点の位置に注目すると、並びがはっきりします。
- 各教科=国語・社会・算数・理科・生活・音楽・図画工作・家庭・体育・外国語
- 特別の教科である道徳
- 外国語活動
- 総合的な学習の時間
- 特別活動
「各教科」というくくりの中に入っているのは「外国語」で、「外国語活動」はそのくくりの外に、別の項目として置かれています。
名前が似ているので、この2つはとても混同しやすいところでした。
ちなみに、第4章「外国語活動」の本文を通して読んでも、点数のつけ方の話は出てきません。
第4章の中に「評価」「評定」という語が何回あるか機械で数えたところ、どちらも0件でした。書かれているのは目標と内容と、指導上の配慮だけです。
外国語活動の授業時数は年35単位時間で、1単位時間は45分と決まっている
時数は、学校教育法施行規則の別表第一に載っています。
| 学年 | 外国語活動 | 外国語(教科) | 総授業時数 |
|---|---|---|---|
| 第1学年 | — | — | 850 |
| 第2学年 | — | — | 910 |
| 第3学年 | 35 | — | 980 |
| 第4学年 | 35 | — | 1015 |
| 第5学年 | — | 70 | 1015 |
| 第6学年 | — | 70 | 1015 |
そして別表第一の備考一に、こう書かれています。
「この表の授業時数の一単位時間は、四十五分とする。」
35単位時間を年間の週数でならすと、おおよそ週1コマという計算になります(計算値)。
小5・小6の70単位時間なら、おおよそ週2コマです(計算値)。
週に1回45分、という規模感が分かると、家で「学校でやっているから大丈夫」と考えてよいのかどうかも見えてきます。
なお、第3学年の総授業時数980に対して35なので、外国語活動が占める割合は3.6%ほどです(計算値)。
思っていたより小さい数字で、私はここで一度、期待の置き場所を調整しました。
外国語活動が目指すのは「素地」、小5からの外国語科は「基礎」
この2つの言葉の違いが、いちばん分かりやすい線引きでした。
第4章「外国語活動」の第1「目標」には、こうあります。
「外国語による聞くこと、話すことの言語活動を通して、コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。」
一方、第2章第10節「外国語」の第1「目標」はこうです。
「外国語による聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動を通して、コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。」
「素地」と「基礎」で、言葉が1つだけ変えてあります。
そして、扱う技能も「聞くこと・話すこと」の2つから、「聞くこと・読むこと・話すこと・書くこと」の4つへ増えています。
小3・小4のあいだは、読む・書くは正面から目標に入っていない、ということです。
外国語活動の領域は3つ、小5からの外国語科は5つに増える
告示は、目標を「領域別」に立てるという書き方をしています。
| 比べる点 | 外国語活動(小3・小4) | 外国語科(小5・小6) |
|---|---|---|
| 制度上の位置 | 各教科とは別の項目 | 各教科の1つ |
| 年間の授業時数 | 35単位時間 | 70単位時間 |
| 目標の言葉 | コミュニケーションを図る素地 | コミュニケーションを図る基礎 |
| 領域の数 | 3つ | 5つ |
| 領域の中身 | 聞くこと/話すこと[やり取り]/話すこと[発表] | 聞くこと/読むこと/話すこと[やり取り]/話すこと[発表]/書くこと |
増えているのは「読むこと」と「書くこと」の2つです。
小3・小4で英語の文を書く宿題が出ないことに、これで説明がつきました。
ただし、まったく文字に触れないわけでもありません。
外国語活動の「聞くこと」の目標には「文字の読み方が発音されるのを聞いた際に、どの文字であるかが分かるようにする」という項目があります。
アルファベットの名前を耳で聞き分けるところまでは、小3・小4の範囲に入っている形です。
外国語活動で扱った語は、小5・小6の600〜700語の中に含まれている
語数の話は、読み間違えやすいところでした。
第2章第10節「外国語」の内容には、こう書かれています。
「五つの領域別の目標を達成するために必要となる、第3学年及び第4学年において第4章外国語活動を履修する際に取り扱った語を含む600〜700語程度の語」
ここで大事なのは「取り扱った語を含む」という部分です。
小3・小4に別枠で語数が決められていて、それに600〜700語が積み増されるのではありません。
小3から小6までの4年間をまとめて、600〜700語程度という書き方になっています。
なお、同じ告示のシリーズには中学校のものもあり、そちらには「小学校で学習した語に1600〜1800語程度の新語を加えた語」と書かれています。
1600〜1800語は中学校の数字なので、小学校の外国語活動の話に持ち込むと桁がずれます。
外国語活動の中身は、まず「知ること」と「気付くこと」から始まっている
第4章の「内容」を読むと、並び順そのものにメッセージがありました。
〔知識及び技能〕の最初に置かれているのは、英単語でも文法でもありません。
「言語を用いて主体的にコミュニケーションを図ることの楽しさや大切さを知ること」です。
次に「日本と外国の言語や文化について理解すること」が来て、その中に「英語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに、日本語との違いを知り、言葉の面白さや豊かさに気付くこと」が入っています。
「知る」「気付く」「慣れ親しむ」という動詞が続いていて、「覚える」「書ける」という動詞は出てきません。
言語活動の例として挙げられている場面も、生活に寄せてあります。
| 区分 | 告示に挙げられている例 |
|---|---|
| 児童の身近な暮らしに関わる場面 | 家庭での生活/学校での学習や活動/地域の行事/子供の遊び |
| 特有の表現がよく使われる場面 | 挨拶/自己紹介/食事/道案内/買物 |
子どもが「歌ったりゲームしたりする」と言っていたのは、この設計のとおりの姿だったわけです。
外国語活動で文字は、音声を助けるものとして扱うと書かれている
文字の扱いについては、内容の取扱いの中にはっきりした一文があります。
「文字については、児童の学習負担に配慮しつつ、音声によるコミュニケーションを補助するものとして取り扱うこと。」
主役は音声で、文字はそれを助ける側だと書かれています。
同じ箇所には、言葉によらないコミュニケーションについての記述もあります。
ジェスチャーなどを取り上げて、その役割を理解させるようにする、という書き方です。
ペア・ワークやグループ・ワークといった学習形態を適宜工夫すること、とも書かれています。
そのうえで、相手とコミュニケーションを行うことに課題がある児童については、個々の特性に応じて指導内容や指導方法を工夫するとされています。
人前で話すのが苦手な子のことも、告示の側で明示的に触れられている点は、親として知っておいてよかったところでした。
外国語活動を教えるのは誰か、告示にはどう書いてあるか
指導体制についても、第4章の中に一文があります。
「学級担任の教師又は外国語活動を担当する教師が指導計画を作成し、授業を実施するに当たっては、ネイティブ・スピーカーや英語が堪能な地域人材などの協力を得る等、指導体制の充実を図る」
指導計画をつくって授業をするのは、学級担任の先生か、外国語活動を担当する先生です。
そのうえで、外部の人の協力を得ることが想定されています。
「ネイティブ・スピーカーが常にいる」とは書かれておらず、協力を得る等、という書き方にとどまっています。
使う言語についても、第4章の末尾に原則が置かれています。
「外国語による聞くこと、話すことの言語活動を行う際は、英語を取り扱うことを原則とすること。」
名前は「外国語活動」ですが、実際に扱う言語は英語が原則、ということです。
外国語活動は2学年でひとまとまり、という前提で書かれている
1年で完結しない設計になっている点も、家での見方を変えてくれました。
「学年ごとの目標を適切に定め、2学年間を通じて外国語活動の目標の実現を図るようにすること。」
小3の1年間だけを見て「思ったより進んでいない」と判断する必要はない、という読み方ができます。
題材の選び方についても、記述があります。
児童の興味・関心に合ったものとし、国語科や音楽科、図画工作科など他教科等で学習したことを活用したり、学校行事で扱う内容と関連付けたりする、と書かれています。
もう1つ、私が意外だったのがこの一文です。
「外国語活動を通して、外国語や外国の文化のみならず、国語や我が国の文化についても併せて理解を深めるようにすること。」
英語に触れる時間なのに、日本語と日本の文化への理解も目的に入っています。
外国語活動について、今日、家で決められること
告示を読み終えて、今日のうちに手を動かせることは3つでした。
- 時間割を見て、外国語活動が週に何コマ入っているかを数える。年35単位時間・1単位時間45分という規模を、実物で確かめる
- 小3・小4のうちは「書けたか」を家で確認しない。読むこと・書くことは、告示の上では小5からの外国語科の領域に入っている
- 小5に上がるタイミングを、家のカレンダーに書いておく。時数が35から70へ、領域が3つから5つへ変わる切り替え点になる
この3つは、どれも文部科学省の小学校学習指導要領(平成29年告示)に書いてあったことだけを根拠にしています。
割り算をした数字には、本文中に「計算値」と書き添えました。
学習指導要領や施行規則は改正されることがあるので、最新の記載は文部科学省とe-Govのページでご確認ください。
実際の時数や進め方は学校ごとの教育課程で決まるので、気になることは担任の先生に直接確かめるのが早いです。
この記事は特定の教材や教室をすすめるものではなく、告示に書かれている制度を整理したものです。
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