
高校の英語の単位数を、学習指導要領の標準単位数の表で1科目ずつ数えました。
中学までは「週4コマ」で見当が付いたのに、高校の時間割は単位という別のものさしで並んでいます。
開いたのは、文部科学省が公示した高等学校学習指導要領(平成30年告示)の本文と、e-Gov法令検索の学校教育法施行規則です。
この記事の数字は、その告示の本文と施行規則の条文・別表から写したものです。
高校の英語の単位数は、6科目を足すと17単位
結論から書くと、普通科の高校に用意されている英語の科目は6つです。
学校教育法施行規則の別表第三に、外国語の教科に属する科目として並んでいるのがこの6つでした。
- 英語コミュニケーションⅠ・英語コミュニケーションⅡ・英語コミュニケーションⅢ
- 論理・表現Ⅰ・論理・表現Ⅱ・論理・表現Ⅲ
この6科目それぞれに、学習指導要領が標準単位数を1つずつ割り当てています。
英語コミュニケーションがⅠは3単位、ⅡとⅢは4単位ずつです。
論理・表現はⅠもⅡもⅢも2単位でした。
足すと3+4+4+2+2+2で、合計17単位になります。
英語コミュニケーションの3科目だけで11単位、論理・表現の3科目で6単位という内訳です。
17単位は、6科目を全部置いた場合の標準の合計です。
高校の教育課程がどう組み立てられるかは、学校教育法施行規則の第八十三条に根拠があります。
条文は「高等学校の教育課程は、別表第三に定める各教科に属する科目、総合的な探究の時間及び特別活動によつて編成するものとする」です。
さらに第八十四条で、教育課程の基準は文部科学大臣が公示する高等学校学習指導要領によるものとされました。
科目の名前は施行規則、単位数は告示という二段構えになっています。
高校の英語の単位数を科目ごとに書き出した標準単位数の表
告示の第1章第2款に「各学科に共通する各教科・科目及び総合的な探究の時間並びに標準単位数」の表があります。
外国語の行だけを抜き出して、年間の単位時間と必履修の印まで並べ直しました。
| 科目 | 標準単位数 | 年間の単位時間 | 必履修の印 |
|---|---|---|---|
| 英語コミュニケーションⅠ | 3 | 105 | ○(2単位まで減可) |
| 英語コミュニケーションⅡ | 4 | 140 | - |
| 英語コミュニケーションⅢ | 4 | 140 | - |
| 論理・表現Ⅰ | 2 | 70 | - |
| 論理・表現Ⅱ | 2 | 70 | - |
| 論理・表現Ⅲ | 2 | 70 | - |
| 6科目の合計 | 17 | 595 | - |
同じ表で、国語は6科目で20単位、数学は6科目で16単位になります。
外国語の17単位は、国語の20単位に次ぐ重さで置かれています。
単位数が3と4の系列と、2で固定されている系列に分かれているのには理由がありました。
英語コミュニケーションは、聞くこと・読むこと・話すこと[やり取り]・話すこと[発表]・書くことの「五つの領域」を扱う科目です。
論理・表現のほうは、話すこと[やり取り]・話すこと[発表]・書くことの「三つの領域」に絞られています。
扱う領域が5つの科目は3単位から4単位、3つの科目は2単位という割り当て方でした。
この「五つの領域」という言い方は、英語の4技能という言葉を告示で数え直した記事で確かめています。↓

告示は、標準単位数を上限として扱ってはいません。
「生徒の実態等を考慮し、特に必要がある場合には、標準単位数の標準の限度を超えて単位数を増加して配当することができる」という一文が同じ場所に置かれています。
高校の英語で必ず取る単位数は、英語コミュニケーションⅠの3単位
6科目のうち、全ての生徒が履修する科目は告示の「必履修教科・科目」で決まります。
外国語の項目は、次のとおりでした。
- 外国語のうち「英語コミュニケーションⅠ」
- 英語以外の外国語を履修する場合は、学校設定科目として設ける1科目とし、その標準単位数は3単位とする
必履修として外国語から挙げられているのは、英語コミュニケーションⅠの1科目だけです。
その単位数については「(1)のイに標準単位数として示された単位数を下らないものとする」が原則になります。
つまり、標準の3単位がそのまま下限という読み方です。
ただし、この原則には但し書きが付いていました。
「生徒の実態及び専門学科の特色等を考慮し、特に必要がある場合には、『数学Ⅰ』及び『英語コミュニケーションⅠ』については2単位とすることができ」という一文です。
名指しで減らせる科目として挙がっているのは、数学Ⅰと英語コミュニケーションⅠの2つでした。
英語で必ず積む単位数の下限は、この但し書きを使った学校で2単位になります。
残りの5科目を何単位置くかは、学校が教育課程を編成するときに決めます。
告示の言い方は「生徒に履修させる各教科・科目及び総合的な探究の時間並びにそれらの単位数について適切に定めるものとする」です。
同じ県の高校でも、英語の合計単位数が学校ごとに違ってくるのはここが理由でした。
高校の英語の単位数は50分×35回で1単位。週のコマ数に割り戻した
単位という言葉の中身も、告示が定義しています。
「単位については、1単位時間を50分とし、35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とする」が本文です。
1単位は50分×35回で1,750分、時間に直すと29時間10分になります。
授業の回数のほうにも標準があり、全日制の課程の各教科・科目の授業は年間35週行うことが標準とされました。
35週で35回なので、1単位はそのまま週1コマに対応します。
| 科目の単位数 | 年間の単位時間 | 週あたりのコマ数 | 分に直すと |
|---|---|---|---|
| 2単位 | 70 | 2コマ | 3,500分 |
| 3単位 | 105 | 3コマ | 5,250分 |
| 4単位 | 140 | 4コマ | 7,000分 |
| 17単位 | 595 | - | 29,750分 |
6科目を標準どおりに置くと、3年間の英語は595単位時間・29,750分です。
分を時間に直すと495時間50分になります。
学年ごとに割ると、1年生は英語コミュニケーションⅠの3単位と論理・表現Ⅰの2単位で、合わせて週5コマです。
この数字が、2年生からは週6コマに上がりました。
全日制の週当たりの授業時数は30単位時間が標準なので、英語は時間割の6分の1から5分の1を占める計算です。
週30コマのうち5コマから6コマが英語という配分になります。
この595単位時間で扱う新語の数は、高校の英語の単語数を告示の原文で数えた記事に書きました。↓

中学校の外国語は、施行規則の別表第二で各学年140単位時間、3年で420単位時間です。
高校の595単位時間は、その約1.4倍にあたります。
高校の英語の単位数は、卒業に必要な74単位の中で数える
学校を卒業するときに見られるのは、英語だけの単位数ではありません。
学校教育法施行規則の第九十六条が、卒業の条件を単位の数で定めています。
条文は「校長は、生徒の高等学校の全課程の修了を認めるに当たつては、高等学校学習指導要領の定めるところにより、七十四単位以上を修得した者について行わなければならない」です。
告示の側にも「各教科・科目及び総合的な探究の時間の単位数の計は……74単位以上とする」という同じ数字が置かれています。
英語の17単位は、この74単位のおよそ23%です。
卒業に要る4単位のうち1単位近くが英語という比率です。
74単位の中身には、自分の高校の授業以外から持ち込める分もありました。
- 第九十七条=他の高等学校又は中等教育学校の後期課程で修得した科目の単位を加えられる
- 第九十八条=大学・高等専門学校・専修学校での学修、知識及び技能に関する審査に係る学修、ボランティア活動等を科目の履修とみなして単位を与えられる
- 第九十九条=第九十七条と第九十八条で加えられる単位数の合計は36を超えません
英語の検定試験の扱いは、第九十八条の「知識及び技能に関する審査で文部科学大臣が別に定めるもの」の行に入ります。
どの審査を何単位と見るかを決めるのは校長で、条文は「校長は、教育上有益と認めるときは、当該校長の定めるところにより」から始まっていました。
多様なメディアを使った遠隔の授業にも上限があります。
第九十六条の第2項で、第八十八条の三の方法で修得する単位数は36単位を超えないものとされました。
74単位の半分近くまでは外からの学修で埋められる一方、残りは在学する高校の授業で積む設計です。
高校の英語の単位数は、履修する順番まで告示で決まっている
6科目は、好きな順に取れる並びではありませんでした。
告示の第2章第8節第3款に、履修の順序の原則が2本あります。
1本目は「『英語コミュニケーションⅡ』は『英語コミュニケーションⅠ』を、『英語コミュニケーションⅢ』は『英語コミュニケーションⅡ』を履修した後に履修させることを原則とすること」です。
2本目は「『論理・表現Ⅱ』は『論理・表現Ⅰ』を、『論理・表現Ⅲ』は『論理・表現Ⅱ』を履修した後に履修させること」でした。
この2本があるので、1年で11単位は積めません。
英語コミュニケーションの11単位は、最短でも3年かけて積む形になります。
いっぽうで、英語コミュニケーションと論理・表現は別々の系列です。
同じ学年に英語コミュニケーションⅠと論理・表現Ⅰを並べることは、順序の原則にぶつかりません。
縦には3年かけて、横には2系列を並行して走らせる組み方です。
同じ第3款には、授業の言語についての一文も入っています。
「生徒が英語に触れる機会を充実させるとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、授業は英語で行うことを基本とする」です。
中学校の告示にも同じ考え方が置かれていることは、中学の英語の授業は英語で行われるのかを調べた記事で確かめました。↓

通信制の高校の英語の単位数は、添削3回と面接指導4単位時間で1単位
通信制の課程では、単位の数え方そのものが入れ替わります。
告示の第1章第2款5が通信制の特例で、添削指導の回数と面接指導の単位時間数で1単位を定義していました。
教科ごとの標準は次のとおりです。
| 各教科・科目 | 添削指導(回) | 面接指導(単位時間) |
|---|---|---|
| 国語、地理歴史、公民及び数学に属する科目 | 3 | 1 |
| 理科に属する科目 | 3 | 4 |
| 保健体育に属する科目のうち「体育」 | 1 | 5 |
| 保健体育に属する科目のうち「保健」 | 3 | 1 |
| 芸術及び外国語に属する科目 | 3 | 4 |
| 家庭及び情報に属する科目並びに専門教科・科目 | 必要に応じて2〜3 | 必要に応じて2〜8 |
外国語は芸術と同じ行で、1単位につき添削3回・面接指導4単位時間でした。
面接指導の時間数は、国語や数学の4倍です。
ここでも1単位時間は50分として計算するものとされています。
英語を標準どおり17単位積むと、添削は51回、面接指導は68単位時間になる計算でした。
68単位時間を分に直すと3,400分、時間にすると56時間40分です。
通信制の1単位は、授業の回数ではなく添削と面接指導の量で定義されています。
面接指導の1回あたりの時間は、この標準を踏まえて各学校が定めます。
通信制の課程の設備や編制については、第百一条で高等学校通信教育規程に送られていました。
英語科のある高校の英語の単位数は、別の7科目で数える
別表第三には、もう1つ英語の教科が載っています。
「主として専門学科において開設される各教科」の表にある「英語」で、科目は7つでした。
- 総合英語Ⅰ・総合英語Ⅱ・総合英語Ⅲ
- ディベート・ディスカッションⅠ・ディベート・ディスカッションⅡ
- エッセイライティングⅠ・エッセイライティングⅡ
この7科目の単位数を決めるのは、国ではなく設置者です。
告示の書き方は「次の表に掲げる主として専門学科において開設される各教科・科目及び設置者の定めるそれぞれの標準単位数を踏まえ」でした。
数字そのものの代わりに、専門学科の単位数には3本の決まりが置かれています。
- 専門教科・科目について全ての生徒に履修させる単位数は25単位を下らない
- 英語に関する学科は「総合英語Ⅰ」及び「ディベート・ディスカッションⅠ」を原則として全ての生徒に履修させる
- 商業に関する学科は、25単位の中に外国語に属する科目の単位を5単位まで含めることができる
英語に関する学科の生徒は、共通の6科目と専門の7科目の両方を単位数で数えることになります。
専門の7科目にも、共通の科目とつながる履修順の原則が付いていました。
「『総合英語Ⅱ』は『総合英語Ⅰ』又は『英語コミュニケーションⅠ』を履修した後に、『総合英語Ⅲ』は『総合英語Ⅱ』を履修した後に」履修させるという書き方です。
6科目にも7科目にも当てはまらない授業は、学校設定科目という枠で置けます。
別表第三の備考一が「下欄に掲げる各教科に属する科目以外の科目を設けることができる」と定めていて、告示の側も学校設定科目の名称・目標・内容・単位数を各学校の定めるところによるとしました。
学校案内に載っている英語の独自科目の多くは、この枠にあたります。
高校の英語の単位数について親が確かめること
ここまでの数字を、子どもの高校を選ぶときに見る順番へ並べ直しました。
進学先を決める前に親が確かめる5つ
- ①必履修を確かめる=英語で全員が取るのは英語コミュニケーションⅠの3単位で、2単位まで減らせる
- ②合計を確かめる=6科目を標準どおり置くと17単位・595単位時間・週5〜6コマになる
- ③卒業の数を確かめる=修了の条件は74単位以上で、英語の17単位はその約23%
- ④順番を確かめる=ⅡはⅠの後、ⅢはⅡの後という原則があり、1年で積み切ることはできない
- ⑤学科を確かめる=英語科なら専門の7科目が加わり、単位数は設置者が決める
実際の単位数は、入学する高校の教育課程表に科目ごとの数字で載っています。
標準単位数の表はあくまで国が示した目安で、増やす方向の配当も告示が認めていました。
最新の内容は文部科学省の学習指導要領のページと、志望する高校の公式ページでご確認ください。
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中学校の外国語が各学年140単位時間である根拠は、中学校の英語の授業時数を別表第二で書き写した記事にあります。↓

小学校から中学校へ上がるときの段差を同じやり方で数えたのが、中学の英語のつまずきを授業時数と語数で並べた記事です。↓

参考文献
- 高等学校学習指導要領(平成30年告示)(文部科学省)
- 平成30年改訂 高等学校学習指導要領 各学科に共通する教科・科目等及び標準単位数(文部科学省)
- 学校教育法施行規則(e-Gov法令検索)
- 平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説)(文部科学省)
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