
国際バカロレアとは何なのかを、文部科学省のページと資料だけで確かめました。
「IB」という言葉が気になって、公式のページを開いたのがきっかけです。
開いたのは、文部科学省IB教育推進コンソーシアムの「IBの概要」「IBのプログラム」「IB認定校・候補校」のページと、文部科学省の「大学入学資格について」のページでした。
この記事の数字と名称は、そのページとPDFに書いてあったものだけです。
国際バカロレアとは、ジュネーブの国際バカロレア機構が提供する教育プログラム
国際バカロレアは、コンソーシアムの「IBの概要」のページの言葉で「国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム」です。
設置は1968年です。
目的として並んでいたのは、世界の複雑さを理解して対処できる生徒を育てること、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせること、そして国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与えて大学進学へのルートを確保することの3つでした。
機構がいま行っている仕事は、認定校に対する共通カリキュラムの作成、世界共通の国際バカロレア試験、国際バカロレア資格の授与などです。
つまり国際バカロレアとは、学校の名前ではなく機構が提供するプログラムの名前です。
「IB認定校」という言い方は、そのプログラムを使う認定を機構から受けた学校という意味になります。
同じページには「IBの学習者像」として、IB認定校が価値を置く人物像が10個並んでいました。
- 探究する人(Inquirers)/知識のある人(Knowledgeable)
- 考える人(Thinkers)/コミュニケーションができる人(Communicators)
- 信念をもつ人(Principled)/心を開く人(Open-minded)
- 思いやりのある人(Caring)/挑戦する人(Risk-takers)
- バランスのとれた人(Balanced)/振り返りができる人(Reflective)
この10項目は、どのプログラムにも共通する土台として置かれています。
世界の規模は、認定校・候補校のページの令和8年6月の数字で、163の国と地域の約6,200校でした。
国際バカロレアとは、年齢で分かれた4つのプログラムのこと
国際バカロレアのプログラムは、子どもの年齢ごとに4つ用意されています。
| プログラム | 正式名 | 対象年齢 | 実施する言語 |
|---|---|---|---|
| PYP | Primary Years Programme | 3〜12歳 | どのような言語でも提供可能 |
| MYP | Middle Years Programme | 11〜16歳 | どのような言語でも提供可能 |
| DP | Diploma Programme | 16〜19歳 | 原則として英語・フランス語・スペイン語(一部科目は日本語) |
| CP(IBCP) | Career-related Programme | 16〜19歳 | 一部科目を英語・フランス語・スペイン語 |
表の年齢と言語は、「IBの概要」のページの書き方をそのまま写したものです。
PYPとMYPは、日本語でも提供してよいプログラムでした。
英語で受けるのが原則になるのは、高校段階のDPからです。
PYPのページによると、PYPでは教科の枠をこえた6つのテーマを扱います。
- 私たちは誰なのか
- 私たちはどのような時代と場所にいるのか
- 私たちはどのように自分を表現するか
- 世界はどのような仕組みになっているのか
- 私たちは自分たちをどう組織しているのか
- この地球を共有するということ
そのテーマの中で学ぶ教科は、言語・社会・算数・芸術・理科・体育の6教科です。
MYPのページでは、MYPの教科が8つ挙げられていました。
- 言語と文学/言語の習得
- 個人と社会/理科
- 数学/芸術
- 保健体育/デザイン
全ての生徒が、5年のプログラム期間にわたってこの8教科に取り組みます。
MYPの集大成として、第3年次か第4年次に「コミュニティープロジェクト」、第5年次に「パーソナルプロジェクト」が置かれています。
プログラムは全部入れても、どれか1つだけ入れてもよい決まりです。
そのため、同じ「IB認定校」でも、小学校段階だけの学校もあれば高校段階だけの学校もあります。
国際バカロレアとは何を学ぶのか、DPの6つのグループと3つのコア
高校段階のDPは、学ぶ中身が科目ごとに細かく決まっていました。
DP/CPのページによると、DPは6つのグループ(教科)と「コア」と呼ばれる3つの必修要件でできています。
| グループ | 教科 | 科目の例(ページの記載から) |
|---|---|---|
| 1 | 言語と文学(母国語) | 言語A:文学、言語A:言語と文学 |
| 2 | 言語習得(外国語) | 言語B、古典言語、初級言語(SLのみ) |
| 3 | 個人と社会 | 地理、歴史、経済、心理学、グローバル政治など |
| 4 | 理科 | 生物、化学、物理、コンピュータ科学など |
| 5 | 数学 | 数学:解析とアプローチ、数学:応用と解釈 |
| 6 | 芸術 | 音楽、美術、ダンス、フィルム、演劇 |
生徒は6つのグループから1科目ずつ選び、6科目を2年間で学びます。
芸術(グループ6)だけは、ほかのグループの科目に代えてもよいとされていました。
6科目のうち3〜4科目を上級レベル(HL、各240時間)、残りを標準レベル(SL、各150時間)で学ぶ形です。
コアの3つは次のとおりでした。
- 課題論文(EE)=関心のある分野を個人で研究し、4,000語(日本語の場合は8,000字)の論文にまとめる
- 知の理論(TOK)=「知識」の本質とはなにかを学び、問いの立て方と取り組み方を学ぶ
- 創造性・活動・奉仕(CAS)=芸術などの活動、身体的活動、無報酬での自発的な交流活動に取り組む
HLを3科目選んだ場合、HLだけで240時間×3で720時間になり、SL3科目の450時間と合わせて1,170時間です。
HLを4科目にすると960時間と300時間で、6科目の合計は1,260時間になりました。
ここにEEの4,000語の論文とTOK、CASが並行して乗るので、2年間の学習の量は数字で見ても大きいと分かります。
国際バカロレア資格とは、45点満点のうち原則24点以上で取れる大学入学資格
DPを修了すると取れるのが、国際バカロレア資格です。
取得の条件は、DPカリキュラムを全て履修し、外部評価(国際バカロレア試験等)と内部評価を通じて、45点満点中、原則として24点以上を取ることです。
| 評価の部分 | 点数 |
|---|---|
| 6科目 | 各7点、計42点 |
| コア(TOKとEEの組み合わせ) | 最大3点 |
| 合計 | 45点満点(原則24点以上で取得) |
CASは点数の付く部分の外に置かれていて、点が付くのはTOKとEEの評価の組み合わせでした。
試験の時期は次のとおりです。
- 回数=南半球と北半球の学校年度に合わせて年2回、世界で一斉に実施
- 日本の一条校の場合=原則として3年次の11月に実施
- 最終スコア=翌年の1月5日に通知
この資格の日本での扱いを一覧にしているのが、文部科学省の「大学入学資格について」のページです。
大学の入学資格が認められる人の一覧の中に、「外国の大学入学資格である国際バカロレア、アビトゥア、バカロレア、GCEAレベル、国際Aレベル、欧州バカロレア資格を保有する者」という1行がありました。
根拠として示されていたのは、昭和23年文部省告示第47号第20号〜第24号です。
国際バカロレア資格は、高校の卒業とは別の経路で日本の大学の入学資格になるということでした。
国際バカロレアの認定校とは、国内に273校(プログラム単位で数えた数)
日本の認定校の数は、コンソーシアムの「IB認定校・候補校」のページに出ていました。
令和8年6月30日の集計で、国内の国際バカロレア認定校等数は273校です。
| プログラム | 認定校 | 候補校 | 合計 |
|---|---|---|---|
| PYP | 91校 | 36校 | 127校 |
| MYP | 48校 | 10校 | 58校 |
| DP | 80校 | 6校 | 86校 |
| CP | 1校 | 1校 | 2校 |
| 合計 | 220校 | 53校 | 273校 |
合計の列と行は、ページの数字を足して出したものです。
この273校は、注1に「IB認定校等をプログラム単位で数えた校数であり、IB機構が公表している校数とは異なります」とある数字でした。
1つの学校がPYPとMYPの2つを持っていれば、2校と数える数え方になります。
文部科学省大臣官房国際課の資料「国際バカロレアの大学入試における活用について」では、2024年3月末の認定校等数が241校で、同じプログラム単位の内訳が載っていました。
| プログラム | 2024年3月末(認定・候補) | 令和8年6月30日(認定・候補) |
|---|---|---|
| PYP | 63校・46校 | 91校・36校 |
| MYP | 39校・16校 | 48校・10校 |
| DP | 68校・8校 | 80校・6校 |
| CP | 0校・1校 | 1校・1校 |
| 合計 | 241校 | 273校 |
PYPの認定校が63校から91校へ、28校増えています。
国はIB認定校等を2022年度までに200校以上にする目標を政策文書で掲げ、2023年3月に207校となって目標を達成した、というのが同じ資料の経過です。
CPは、2024年の資料では候補校1校だけで、いまの一覧では長野日本大学高等学校が認定校として○の付いた1校です。
国際バカロレアの認定校とは、一条校と非一条校の2種類に分かれるもの
認定校の一覧は、「一条校」と「非一条校」の2つの表に分かれていました。
一条校とは、学校教育法第1条に規定する学校のことです。
| 区分 | 学校数 | PYP | MYP | DP | CP | 日本語DP実施校 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 一条校 | 95校 | 24校 | 27校 | 50校 | 1校 | 37校 |
| 非一条校 | 73校 | 67校 | 21校 | 30校 | 0校 | 2校 |
この2つの表の行を数えると、認定を受けている学校は合わせて168校でした。
プログラムの数を足した220は、上の表の認定校の合計と同じ数です。
日本人の保護者は、義務教育段階の子を一条校に就学させる義務を負っています。
非一条校は大きく分けて、各種学校、専修学校、認定こども園、認可保育園、認可外保育施設、在外教育施設、無認可施設の7種類でした。
小学校・中学校の年齢の子をIB校に通わせるときは、その学校がどちらの表に入っているかが最初に確かめる点になります。
インターナショナルスクールと就学義務の関係は、インターナショナルスクールが学校教育法の「学校」に入っているかを条文で確かめた記事にまとめています。↓

一条校の表のうち、名称の後ろに(都立)(県立)(市立)(町立)などが付いた公立の学校は21校でした。
一条校の95校がある都道府県は27、非一条校の73校は20で、両方を合わせると28都道府県になります。
非一条校の73校のうち31校は東京都にあり、一条校のほうは静岡県の10校が最多でした。
一条校が認定校になるには、学校教育法などの法令と、国際バカロレア機構の定める教育課程の双方を満たす必要があります。
DP認定校の高校では、1年次に必履修科目の大半を履修し、2年次以降に学校設定科目としてIBの科目を学ぶ工夫をしている例が紹介されていました。
国際バカロレアの日本語DPとは、DPの一部の科目を日本語で学ぶ仕組み
一条校の表で37校に付いている◎は、日本語DP(デュアルランゲージ・ディプロマ・プログラム:DLDP)を行っている印です。
DPの授業と試験は原則として英語・フランス語・スペイン語ですが、文部科学省と国際バカロレア機構が協力して、一部の科目を日本語で行えるようにしています。
DP/CPのページに並んでいた、日本語で実施可能または実施予定の科目は次のとおりでした。
- グループ1=言語A:文学、言語A:言語と文学
- グループ3=地理、歴史、経済
- グループ4=生物、化学、物理
- グループ5=数学:解析とアプローチ、数学:応用と解釈
- グループ6=音楽、美術
- コア=課題論文(EE)、知の理論(TOK)、創造性・活動・奉仕(CAS)の全て
ただし日本語DPでも、6科目中2科目(通常は、グループ2の外国語に加えてもう1科目)は英語等で履修する必要があります。
日本語DPでも英語で学ぶ科目は2つ残るということでした。
英語で教科を学ぶことと「バイリンガル」という言葉の関係は、バイリンガルの意味を学習指導要領とCEFRで調べ直した記事で整理しています。↓

国際バカロレアを使った大学入試とは、IBのスコアで出願する選抜のこと
コンソーシアムの「IBを活用した入試」のページのとおり、国際バカロレア資格を持つ人には日本の大学への入学資格が認められます。
そのうえで入学には個々の大学の入学者選抜を経る必要があり、IB資格はAO入試や帰国子女特別選抜などの出願資格の一つとして、多くの大学の募集要項に明記されていました。
選抜の中身は、IBのスコアに、必要に応じて小論文や面接などを合わせて総合する形が見られます。
文部科学省大臣官房国際課の資料には、IBを活用した入試を行う大学が並んでいました。
| 区分 | 大学数 |
|---|---|
| 全学部で実施 | 39大学 |
| 一部の学部で実施 | 39大学 |
| 計 | 78大学 |
この表は、各大学へのアンケートに基づく2024年1月の調査結果で、日本の学校の卒業生を対象とする入試を載せたものです。
全学部で実施する国立大学には、筑波大学・お茶の水女子大学・東京外国語大学・名古屋大学などの名前がありました。
一部の学部で実施する国立大学には、北海道大学・東北大学・東京大学・京都大学・大阪大学・九州大学などが並んでいます。
海外の大学については、英国の大学ではUCASが国際バカロレアやAレベルのスコアの換算表を作り、各大学が入学オファーの目安にしているとページにありました。
海外の大学には、HLで一定の得点を取った生徒に入学後の履修免除(単位認定)を与えるところも多くあります。
国際バカロレアで親が見る5つ
- ①プログラムを確かめる=PYP(3〜12歳)・MYP(11〜16歳)・DP(16〜19歳)・CP(16〜19歳)のどれがある学校か
- ②学校の種別を確かめる=一条校の表か非一条校の表か(義務教育段階の就学義務に関わる)
- ③言語を確かめる=DPなら英語等か日本語DP(◎)か、日本語DPでも2科目は英語等
- ④資格の条件を知る=45点満点で原則24点以上、試験は一条校なら原則3年次の11月
- ⑤進学先の入試を確かめる=IBのスコアを使う入試は大学・学部ごとに募集要項で決まる
認定校の一覧はプログラム単位で更新されるので、最新の内容は文部科学省IB教育推進コンソーシアムの公式ページでご確認ください。
あわせて読みたい
英語の資格を国際的な物差しで見るなら、ケンブリッジ英検のレベルと受けられる日を公式で確かめた記事が参考になります。↓

参考文献
- IBの概要(教育理念と学習者像)(文部科学省IB教育推進コンソーシアム)
- IB認定校・候補校(文部科学省IB教育推進コンソーシアム)
- IBのプログラム(DP/CP)(文部科学省IB教育推進コンソーシアム)
- 大学入学資格について(文部科学省)
- 国際バカロレアの大学入試における活用について(文部科学省大臣官房国際課)
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